まず結論から

  • ショッピング46.4% + 医療・ウェルネス24.4% = 70.8%. 訪韓消費の7割はこの2つ。残りは飲食13.1%、宿泊10.7%。
  • 「中国人はミョンドン」は正解、「日本人はソンス」は半分だけ正解。 ソンス・ソウルの森の訪問比率1位は米州観光客で、日本人の決済が突出して集中したのはウルチロ6街とプサン、そして皮膚科だった。
  • 観光はカンブク、消費はカンナム。 訪問者数トップ10にカンナムは0カ所なのに、カード決済額の29.3%がカンナム区1区から出ている。
5兆6,172億ウォン
2026年上半期 ソウル 外国人カード消費(前年同期比 +56.8%)
65.0%
カンナム区・中区・麻浦区の3区が占める消費比率
2.7
観光客増加率(+21.3%)対 消費増加率(+56.8%)
37.7%
外国人患者に占める日本人の割合 — 国籍別1位(2024年)

外国人は韓国で何にお金を使うのか?

ショッピングと医療だ。他はおまけに近い。

ソウル市が集計した2026年上半期の外国人カード消費5兆6,172億ウォンを業種別に分解すると、こうなる。

📊 2026年上半期 ソウル 外国人カード消費 業種別比率(ソウル市)

業種比率上半期消費額 増減
ショッピング業46.4%大型ショッピングモール 7,063億 → 1兆2,234億ウォン(+73.2%)
医療・ウェルネス業24.4%医療観光 5,563億 → 9,084億ウォン(+63.3%)
飲食業13.1%外食 3,782億 → 5,843億ウォン(+54.5%)
宿泊業10.7%
その他5.4%ビューティー 3,311億 → 4,637億ウォン(+40.0%)

ショッピングと医療を合わせると70.8%だ。訪韓消費の10回中7回が、物を買うか施術を受けるかに使われていることになる。

人よりお金の伸びが速い。 2026年上半期にソウルを訪れた外国人は823万人で前年比21.3%増だったが、カード消費は56.8%増。伸び率に2.7倍の差がある。名所だけをなぞる旅から、長く滞在して消費する旅へと性格が変わったことを示すシグナルだ。

韓国だけ異質 — 医療が1位の国

韓国文化観光研究院が2026年7月に発行したKCTIデータフォーカス3号は、興味深い実験をしている。日本・シンガポール・ベトナム・タイの観光客が6カ国でそれぞれどのようにお金を使ったかを、VISAカードの決済データで比較したのだ。同じ人々が国だけ変えて使ったお金だから、その差は旅行者ではなく国の特性である。

🌏 同じアジア観光客、訪問国別 最大消費業種(2024〜2025、VISAカード)

訪問国1位業種比率医療比率
韓国医療20.1%20.1%
日本プレミアムショッピング37.0%1.1〜8.9%区間
香港プレミアムショッピング / ファッション雑貨各25.0%1.1〜8.9%区間
アメリカ飲食店25.4%1.1〜8.9%区間
オーストラリア飲食店25.6%1.1〜8.9%区間
シンガポール飲食店22.6%1.1〜8.9%区間

6カ国中、医療が1位の国は韓国だけだった。韓国での消費構成は、医療20.1%・プレミアムショッピング18.3%・生活ショッピング13.0%・飲食店12.2%の順。

国籍別に分解すると偏りがさらに鮮明になる。日本人は訪韓決済の22.3%を医療に使った。タイ18.2%、シンガポール17.2%が続き、ベトナムは7.6%と低めだった — ところがこのベトナムの7.6%でさえ、同じ観光客が他国で使った医療費比率(0.4〜2.9%)の数倍だ。

注意 — この分析に中国と台湾は含まれていません

KCTI分析はVISAカード決済のみを集計した。現金・他社カード・簡易決済(アリペイ、ウィチャットペイなど)は含まれておらず、中国・台湾など中華圏は現地のセキュリティポリシー上、分析対象から除外された。訪韓客1位・3位の市場が抜けていることを意味するため、この表は「アジア観光客が韓国で見せる傾向」として読む必要がある。

「日本人はソンス、中国人はミョンドン」は本当か?

半分は正解、半分は不正解。データの種類によって答えが分かれる。

中国人のミョンドンは確かだ。 2025年上半期、ミョンドン1街・ミョンドン2街・忠武路1街で中国人が切ったカードは411億ウォン。前年同期216億ウォンから90.2%増加した。ミョンドン商圈全体(ミョンドン1・2街合算2,879億ウォン)の中でも目立つ塊だ。

日本人のソンスはあいまいだ。 ここで2つのデータが食い違う。

🔍 ソンスドン、誰の街か — データによって異なる答え

データ出典ソンスドンに関する結論
人流データ(2025年)ソウルAI財団 · SKテレコムソウルの森・ソンスドンは米州観光客の比率が相対的に高い。日本・中国はミョンドン・南大門市場・広蔵市場方面
カード決済(2025年上半期)ナイスジニデータ · ハナカードソンス決済額 1,315億ウォン(+226.3%)。日本人の流入が顕著。アメリカ人 +167.3%、中国人 +101.1%、東南アジア 76億 → 261億ウォン

2つのデータは衝突しているのではなく、測定対象が違うのだ。誰が多く行くか(人流)と誰が多く使うか(決済額)は別の質問である。ソンスは米州観光客の訪問比率が高いが、日本人はセレクトショップで実際に財布を開く側に近い。

ところが日本人の決済が最も劇的に集中した場所はソンスではなかった。 2025年上半期、ウルチロ6街(シンダンドン〈新堂洞〉隣接)の外国人決済額662億ウォンのうち日本人が164億ウォン。この1エリアだけでソンス全体の決済額(1,315億ウォン)の8分の1を超える金額を日本人1国籍が使った。ローカルな雰囲気の小さな店を好む傾向がヒプタンドンヒプチロでそのまま表れたかたちだ。

国籍別消費マップ — どこに散らばるのか

複数のビッグデータを重ねると、国籍別の傾向がかなりはっきり浮かび上がる。

🗺️ 国籍別 消費・訪問傾向 総合(2025〜2026年データ)

国籍ソウルでは地方では特徴的消費
中国ミョンドン・南大門・広蔵市場、チョンダムドン(清潭洞)のラグジュアリーチェジュ(最多訪問トップ20中6カ所がチェジュ)時計・貴金属 1件あたり平均 1,215万ウォン。超高額ラグジュアリーに偏り
日本ミョンドン・広蔵市場 + ウルチロ6街・シンダンドンプサン(釜山)皮膚科など医療(外国人患者 国籍1位 37.7%)、少額高頻度
アメリカ・米州ソウルの森・ソンスドンウルサン(蔚山)・ピョンテク(平沢)・クァンヤン(光陽)(家族訪問・駐在・基地)在来市場で2〜3万ウォン台の決済も躊躇なし
台湾プサン(ロッテ百貨店・マートの外国人中、台湾人が半数以上)スナック81%、袋ラーメン69%、海苔加工品61% — 食品に偏り
ヨーロッパプクチョン韓屋村(北村韓屋村)クンサン(群山)・チャンウォン(昌原)・カドクド(加徳島)・チョンジュ(清州)・シナン(新安)など全国分散歴史・自然中心の目的型旅行
東南アジアキョンボックン(景福宮)・プクチョン韓屋村ソンス決済 76億 → 261億ウォンへ急増

特に台湾とプサンの組み合わせはあまり知られていない軸だ。ロッテメンバーズが2026年7月に公開したエルポイント消費レポートによると、プサンのロッテ百貨店・ロッテマートの外国人顧客のうち台湾人が半数を超え、彼らのスナック・ラーメン・海苔の購入比率はソウルの外国人観光客よりも明確に高かった。

旅行者へのヒント

  • ミョンドンは依然として最多訪問地だが訪問者数は減少している(2024年上半期540万 → 2025年上半期455万)。代わりにウルチロ・忠武路・フィルドン(筆洞)へ分散した。混雑を避けるなら、ミョンドンから1駅半径の外が正解だ。
  • 同じものを買うなら地方が空いている。オリーブヤングの非首都圏店舗の外国人売上増加率(+72%)が全国平均(+45%)を大きく上回る — まだ余裕があるということでもある。
  • カンナムで決済額が爆増する理由は観光ではなく施術だ。観光目的ならカンナムの優先順位は低い。

観光はカンブク、消費はカンナム — なぜここまで分かれるのか

訪問者数と決済額のランキングを並べると、奇妙なずれが見える。

📊 2025年上半期 外国人 訪問 vs 決済、上位地域比較

順位訪問者が多い場所訪問者数決済額が多い場所決済額
1ミョンドン455万人中区 小公洞4,604億ウォン
2インチョン(仁川)雲西洞(空港)407万人インチョン 雲西洞(空港)4,550億ウォン
3チョンノ(鐘路)1・2・3・4街洞383万人カンナム区 新沙洞3,131億ウォン
4ソギョドン(西橋洞/ホンデ)339万人カンナム区 三成洞2,879億ウォン
5中区 小公洞324万人カンナム区 駅三洞2,518億ウォン
6中区 会賢洞307万人ソチョ区(瑞草区) 瑞草洞2,345億ウォン

訪問トップ10のうちカンナムは1カ所もない。 ところが決済トップ10のうち4カ所がカンナムだ。2026年上半期のソウル市集計でも、カンナム区が全カード消費の29.3%で1位、中区28.4%、麻浦区7.3%の順だった。

このギャップを生み出すのは医療ショッピングだ。カンナム商圈の医療用役販売額は2024年上半期179億ウォンから2025年上半期278億ウォンへ、ソチョは86億 → 150億ウォン、アプクジョン(狎鴎亭)・チョンダムは53億 → 94億ウォンへ跳ね上がった。いずれも該当地域の全業種中、増加幅1位だった。

外国人患者統計で見る国籍別の医療消費(2024年、保健福祉部)

  • 国籍: 日本 37.7% · 中国 22.3% · アメリカ 8.7% · 台湾 7.1% · タイ 3.3%
  • 診療科: 皮膚科 70万5,000人(56.6%) · 形成外科 14万2,000人(11.4%)

つまり「訪韓医療観光」の実体は、おおむね日本人が受ける皮膚科施術である。重症治療ではなく美容施術が圧倒的だ。


2026年、何が最も速く変化しているのか?

韓国観光公社がデータラボのカードビッグデータで分析した2026年5月の数値は、消費地形の変化を圧縮して見せてくれる。この月の外国人カード消費は2兆1,222億ウォンで史上初めて2兆ウォンを突破し、前年同月比67.1%増で2023年以降最高の成長率を記録した。

📈 2026年5月 詳細業種別成長率(前年同月比、韓国観光公社)

業種成長率解釈
薬局+206.1%皮膚科施術後の再生クリーム・軟膏購入連携
玩具・ゲーム機器+191.4%キャラクターIPポップアップストア限定グッズ
スキンケア・マッサージ+153.9%医療ではない生活型ビューティーへ裾野拡大
百貨店+89.2%免税店の代替チャネルとして浮上
免税店+87.6%回復中だが過去の地位には及ばず
皮膚科+85.5%医療観光の核心
スポーツ用品・衣類+84.5%ゴープコア・カスタム体験消費

ここで最も韓国的な発見は薬局だ。ソンス2街1洞・ソンス2街3洞などソンス一帯のプレミアム薬局とプサン・ヘウンデ区佑1洞で同じパターンが現れた — 皮膚科で施術を受け、処方箋なしで買える医薬品等級の再生クリームを薬局で買って帰る。施術とショッピングが1つの消費動線に結びついたのだ。

中国人消費の回帰スピードが圧倒的だ。 中国人カード消費の増加率は、2026年1月 +56.8% → 2月 +89.1% → 3月 +160.5% → 4月 +193.8% → 5月 +214.0%と毎月加速した。ただし中身は過去とは異なる。チョンダムドンで時計・貴金属 +135.0%、アクセサリー +197.7%。時計・貴金属の1件あたり平均決済額は1,215万ウォンだった。

免税店の時代は終わったか — 消費が移った先

団体観光客が免税店でバルク買いしていた構造は確実に終わった。代わりに消費が流れた先は2方向だ。

第一に、韓国人の日常空間。 CJオリーブヤングの集計によると、2026年オリヤングセール期間に韓国を訪れてショッピングした外国人は3年前の11倍になり、セールに合わせて1年に2回以上リピート訪問した外国人は2023年以降年平均2倍ずつ増えた。GS25の上半期の外国人決済売上は60.2%増加し、よく売れたのはバナナウユ(バナナ牛乳)・グリークヨーグルト・カムドンラン(味付けゆで卵)・チャムケラミョン(ごまラーメン)・プルダクポックンミョン(辛い鶏の炒め麺)・ハニーバターアーモンドだった。観光商品ではなく、韓国人が普段買っている物だ。

第二に、ソウルの外。 GS25のカンヌン(江陵)・ソクチョ(束草)・ヘウンデ・チェジュなど海岸観光地の店舗約100店の外国人決済売上は前年比136.9%増加した。ABCマートの上半期外国人売上は全体で40%増加し、コンデ(建大)+50%、テグ(大邱)+58%、ウルサン+78%と地方店舗が平均を押し上げた。ABCマートの国籍別売上比率は中国 > 台湾 > 日本 > シンガポール > フィリピンの順だった。

「ソンスは発火点、ミョンドンは転換点」

ロッテメンバーズが2026年7月に発行したエルポイントレポートは、この流れを一文で要約した。新しいブランドはSNSとソンスでまず発見され(発火)、検証された需要はミョンドンと百貨店で購買につながる(転換)というものだ。実際、ロッテ百貨店の外国人購入ブランド上位15のうち27%がソンスで人気を得た国内ファッションブランドだった。


検証結果 — 5つの通説はどこまで正しかったか

この記事で検証した5つを整理すると、以下のとおりだ。

✅ 通説 vs データ

通説判定根拠
中国人はミョンドン⭕ 正解ミョンドン圏 中国人決済 411億ウォン、前年比 +90.2%
日本人はソンス🔺 半分ソンス訪問比率1位は米州。日本人決済の最大集中地はウルチロ6街(164億ウォン)
外国人は免税店でショッピングする❌ 過去の話百貨店 +89.2%、薬局 +206.1%。消費が日常店舗へ移動
外国人消費はソウルに集中する🔺 揺らぎオリーブヤング 非首都圏 +72%(全国 +45%)、GS25 海岸観光地 +136.9%
韓国観光 = 見どころ観光❌ 違う韓国は6カ国中唯一医療が最大消費業種(20.1%)

数字を旅行者の目線に翻訳すると、こうなる。いま韓国を訪れる外国人の平均的な1日は、カンブクで歩き、カンナムで施術を受け、オリーブヤングとコンビニで買い物をする姿に近い。ミョンドンで免税店の袋を提げて出てくる風景は、すでにデータ上では昔の景色になった。

データと出典

※ 基準: 地域別決済・訪問データは2025年上半期(1〜6月)、ソウル市消費統計と業種別成長率は2026年上半期および2026年5月。カードデータは発行会社・決済手段別にカバレッジが異なるため、絶対額より増減率と相対比率で読むのが正確です。

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