韓国の旅行ガイドはたいてい「これはしないで」で終わります。いくらなのか、誰が取り締まるのか、払わないとどうなるのかは書いてありません。

この記事はその空白を埋めます。金額と法律の条文、取締りの主体をそのまま書きました。旅行者がソウルの街で実際に直面する項目だけを選び、運転・ビザ関連は②編で扱います。

まず結論から

  • 信号無視は3万ウォン — 観光客も同じように取られます。明洞・弘大・江南で集中取締り。
  • 吸い殻のポイ捨ては5万ウォン — 軽犯罪処罰法(3万ウォン)と廃棄物管理法(5万ウォン)の2系統で、実務はほとんど区役所の5万ウォン。
  • 2026年6月23日からリキッド式電子タバコも禁煙エリアで取締り — 10万ウォン。韓国旅行情報で最も最近変わったルール。
  • 地下鉄の不正乗車は運賃の30倍。うっかり改札を一緒に通っても捕まります。
  • 最も重いのは文化財への落書き。過料ではなく3年以上の有期懲役で、復旧費用も請求されます。

反則金・過料・罰金はなぜ名前が違うのか?

韓国のニュースと看板は3つの言葉を混ぜて使いますが、性格がまったく違います。この区別を知れば「捕まったとき何が起きるか」が予測できます。

📊 3つのお金の性格 — 名前が違えば結果も違う

区分性格科す主体払わないと
反則金(범칙금)軽微な刑事事件をお金で済ませるもの警察即決審判へ → 前科の可能性
過料(과태료)行政上の秩序罰。刑事ではない区役所・市役所など自治体加算金の累積、財産差押え
罰金(벌금)裁判所が言い渡す刑罰裁判所前科の記録、未納なら労役場

旅行者が知るべき実質的な違い

  • 過料はいくら積んでも前科ではありません。ただし出入国記録に残り、ビザ・再入国審査で不利に働くことがあります。
  • 反則金は違います。期限内に納付すれば事件は終わりますが、払わなければ刑事手続きに進みます。信号無視がここに該当します。
  • 同じ行為が2つの法律にまたがる場合があります。吸い殻が代表例です — 下で説明します。

信号無視 — 3万ウォン、観光客も例外なし

歩行者の無断横断の反則金は3万ウォンです。根拠は道路交通法施行令の別表9で、2つの場合に適用されます。

2つ目が落とし穴です。横断歩道の上に立っていても、赤信号で渡れば無断横断です。車が1台もいなくても同じです。

外国人が特に捕まりやすい場所

  • 往復2車線の細い路地 — 明洞・弘大・益善洞で「車道っぽくないから」とそのまま渡って捕まります。道路は道路です。
  • 中央分離帯を越える行為 — 地下道・歩道橋があるのに道路を横切ると別項目で取られます。
  • 深夜 — 人がいないからと信号を無視する時間帯に取締りが集中します。

取締りは常時ではありません。警察が事故多発区間と観光密集地域で期間を決めて集中取締りを行う方式なので、何か月も何もなく、ある週だけ捕まるというように体感されます。捕まるとパスポート確認の後、その場で通告書を受け取ります。


ゴミ・吸い殻 — 同じ行為、2つの金額

韓国で吸い殻を捨てる行為には法律が2つかかっています。どちらの法律で処理されるかで金額が変わります。

🚮 何を、誰が取り締まるかで変わる金額

行為軽犯罪処罰法(警察・反則金)廃棄物管理法(区役所・過料)
吸い殻・ガム・ティッシュを捨てる3万ウォン5万ウォン
その他のゴミを捨てる5万ウォン5万ウォンから(量・種類で上乗せ)
車から投げ捨てる1回目5万 / 2回目10万 / 3回目15万ウォン
屋外で用を足す5万ウォン
唾を吐く3万ウォン

実務では区役所の取締りが圧倒的に多いです。警察が路上で吸い殻1本を捕まえるより、区役所の環境課がCCTVと市民通報で処理する件数のほうがはるかに多いからです。なので5万ウォンを基準線として覚えるのが現実的です。

ソウルに路上のゴミ箱がない理由

1995年のゴミ従量制導入以降、家庭ゴミを路上のゴミ箱にこっそり捨てるのを防ぐため、公共ゴミ箱を意図的に撤去しました。最近また増やしつつありますが、それでも足りません。

代案: コンビニ前のゴミ箱、地下鉄駅の改札付近、カフェの中。持ち歩いて宿で捨てるのが最も確実です。

市民通報制度があることも知っておきましょう。スマートフォンで撮影して区役所や生活不便申告アプリで申告すれば過料が科されます。担当職員が見ていなくても捕まります。


喫煙 — 2026年6月にルールが変わりました

この項目がこの記事で最も最近変わった内容で、まだほとんどの英語圏の旅行情報に反映されていません。

2026年6月23日から: 禁煙エリアでリキッド式電子タバコを使っても過料10万ウォンが科されます。以前はリキッド式が法令上のたばこの定義から外れており、取締りの盲点でした。周知期間が6月23日で終わり、本格取締りが始まりました。

つまり今は紙巻きたばこ・加熱式タバコ・リキッド式電子タバコすべて禁煙エリアで使えません。

10万ウォン
禁煙エリア喫煙の過料(国民健康増進法)
10万ウォン
地下鉄の駅構内・ホームでの喫煙(国民健康増進法を適用)
30万 → 90万ウォン
車内喫煙(鉄道安全法、1〜3回)

地下鉄で特に混乱する部分があります。ホーム・駅構内で吸えば10万ウォン(国民健康増進法)で、走行中の車内で吸えば鉄道安全法が適用され、1回目30万ウォン、2回目60万ウォン、3回目90万ウォンと跳ね上がります。同じ地下鉄なのにドアの内側と外側で金額が3倍違います。

韓国でタバコを吸える場所

  • 通りに設置された喫煙ブース(グレーのガラス箱) — ソウル都心のあちこちにあります。
  • 建物の外の指定喫煙エリア — 灰皿が置いてあればおおむね許可区域です。
  • 屋内は事実上すべて禁止です。カフェ・レストラン・PC방(ネットカフェ)・飲み屋すべて含まれます。
  • 禁煙の看板がないからといって吸えるわけではありません。灰皿があるかで判断してください。

過料の減免制度もあります。違反者が禁煙教育や禁煙支援サービスを修了すると減免されますが、短期滞在の旅行者が利用するのは現実的に難しいです。


公共の場での飲酒 — 漢江はOK、町の公園は別

この部分は誤解が多いので正確に説明します。

漢江公園は2026年9月現在、禁酒区域ではありません。 漢江のチメク(チキン+ビール)は合法で、過料の対象ではありません。ソウル市が条例で指定できる法的根拠は整えてありますが、実際の指定はしていません。2024年のソウル市議会調査で市民の60.1%が指定に反対し、市は「漢江のチメクは漢江のブランド」という立場を維持しています。

ただし個別の自治区の町の公園は別です。 一部の区は管轄の公園を禁酒区域に指定し、違反すると10万ウォンです。指定区域には必ず看板が立っています。

迷わないための基準

  • 漢江公園 = 飲んでOK。ただしゴミは必ず持ち帰るか分別排出してください。ここで捕まるのは酒ではなくゴミです。
  • 町の公園・児童公園 = 看板を確認してください。禁酒区域なら10万ウォン。
  • 路上で酒を飲むこと自体は韓国では違法ではありません。コンビニ前のパラソル、公園のベンチどちらもOKです。
  • ただし酒に酔って騒げば軽犯罪処罰法の別項目が適用されます。

地下鉄の不正乗車 — 運賃の30倍

韓国の地下鉄は不正乗車が発覚すると基本運賃+その30倍の割増運賃を取ります。1,550ウォン区間なら約4万8千ウォンです。繰り返し発覚すると過去の利用履歴までさかのぼって課されます。

ソウル交通公社年間5万件以上の不正乗車を摘発し、ここで取る割増運賃が年平均26億ウォンです。414回繰り返し摘発された乗客は1,800万ウォンの判決を受けました。

旅行者がうっかり捕まる代表的なケースは次のとおりです。

30倍という数字には理屈があります。摘発率が低い分、1人に30倍を取らないと取り逃した30人分の運賃漏れが回復できないという計算です。


文化財への落書き — ここからは過料ではありません

景福宮、昌徳宮、宗廟、ソウル城郭。観光客が毎日行く場所が国家指定文化遺産です。ここに文字を書いたり刻んだりする行為は、これまで扱った項目とは次元が違います。

⚠️ 国家遺産に関する処罰 — お金ではなく刑事処罰

行為根拠処罰
国家指定文化遺産の損傷・窃取・隠匿文化財保護法第92条3年以上の有期懲役
無許可で現状を変更文化財保護法第99条5年以下の懲役または5千万ウォン以下の罰金
落書き・彫刻など文化財保護法第82条の3禁止行為+原状回復費用の請求

「3年以上」は上限ではなく下限です。2023年の景福宮の塀への落書き事件で実刑が議論された理由がこれです。復旧費用も別途請求されます。

故意でなくても捕まる場合

  • 塀・石垣に名前を刻む — カップルの名前、旅行の日付すべて該当します。
  • 石塔を積む、石を動かす — 史跡では現状変更です。
  • 手すり・造形物に登って写真を撮る — 破損すれば損害賠償までつながります。
  • シールを貼る — 接着剤が表面を傷めます。

本国では合法でも韓国では犯罪のもの

大麻です。米国の一部の州、カナダ、タイで合法または規制が緩いという理由で油断する場合がありますが、韓国では麻薬類管理法上の明確な犯罪です。

2つを区別してください

  • 韓国の領土内での使用・所持 — 国籍に関係なく処罰されます。外国人は刑事処罰に加えて強制退去と入国禁止が付いてくることがあります。
  • 韓国国籍者が海外で使用した場合 — 韓国は属人主義を適用し、合法の国で吸っても帰国後に処罰される可能性があります。この規定は韓国国籍者にだけ適用されます。
  • CBD製品、大麻成分の化粧品・食品も成分によって持ち込みが制限されます。成分表を確認してください。

払わずに出国するとどうなる?

正直に言うと、短期的には強制徴収が難しいです。外国人の未納過料が積み上がり続けていることが政府資料でも確認できます。

しかし消えるわけではありません。

残るもの

  • 過料は賦課記録が残り加算金が付きます。再入国やビザ申請の際に照会される可能性があります。
  • 反則金は性格が違います。期限内に未納だと即決審判に回され、この手続きが進むと前科の記録が残ります。8年後に前科記録として戻ってきた実例が報じられたことがあります。
  • レンタカーの無人取締り過料はレンタカー会社が車両登録の所有者なので、会社が立て替えた後保証金やクレジットカードから請求します。これは確実に回収されます — ②編で詳しく扱います。

まとめ — 1枚で見る金額表

💰 ソウルの路上で取られる項目の総まとめ(2026年9月基準)

行為金額種類根拠
信号無視3万ウォン反則金道路交通法
吸い殻ポイ捨て(区役所)5万ウォン過料廃棄物管理法
吸い殻ポイ捨て(警察)3万ウォン反則金軽犯罪処罰法
唾を吐く3万ウォン反則金軽犯罪処罰法
屋外放尿5万ウォン反則金軽犯罪処罰法
禁煙エリア喫煙(電子タバコ含む)10万ウォン過料国民健康増進法
地下鉄駅構内喫煙10万ウォン過料国民健康増進法
車内喫煙30万〜90万ウォン過料鉄道安全法
禁酒区域での飲酒10万ウォン過料自治体条例
地下鉄不正乗車運賃の30倍割増運賃旅客運送約款
文化財への落書き・毀損3年以上の懲役刑事処罰文化財保護法

旅行前の3行まとめ

  • 赤信号では止まってください。車がいなくても3万ウォンです。
  • 吸い殻とゴミは持ち歩いてください。ゴミ箱がないのは政策であって、ミスではありません。
  • 電子タバコも禁煙エリアではタバコです。2026年6月に変わりました。

運転、キックボード、ビザ・滞在関連の罰金は②編に続きます。

データと出典

  • 道路交通法施行令別表9(歩行者反則金) — 国家法令情報センター
  • 軽犯罪処罰法および施行令別表(反則金額) — 国家法令情報センター
  • 廃棄物管理法第8条・第68条、施行令別表8 — 瑞草区・九老区・安山市の過料賦課基準公告
  • 国民健康増進法第9条・第34条(禁煙エリア過料) — 身近な生活法律情報
  • 保健福祉部、リキッド式電子タバコの禁煙エリア取締り開始(2026-06-23) — ニュースピム・MBC報道
  • 鉄道安全法第47条・第82条(車内喫煙過料)
  • 文化財保護法第82条の3・第92条・第99条 — 国家遺産庁
  • ソウル交通公社の不正乗車割増運賃30倍 — ソウル市メディアハブ
  • ソウル市健全な飲酒文化造成条例および漢江公園禁止行為案内 — 未来漢江本部