韓国のコンビニの隣にある小さなブースで、「ロト」と書かれた黄色い看板を見かけたことはないだろうか。外国人でもここで宝くじを買っていいのか、買って当たったら本当にお金をくれるのか——旅行者からよく聞かれる疑問はこの2つだ。
答えはどちらも「イエス」だ。買うのは拍子抜けするほど簡単で、パスポートもサインも何もいらない。難しいのは当たった後だ。等級ごとに受け取り場所が違い、銀行では口座を求められ、税金は支払いの時点で既に引かれており、そのお金を本国へ送るには外国為替規制をもう一度くぐらなければならない。
まず結論から
- 購入は国籍不問。満19歳以上なら販売店で現金で買える。身分証を見せる必要もない。ロト6/45は1口1,000ウォン。
- 受け取りも国籍不問。4等・5等は販売店で現金、3等以上はNH農協銀行、1等はソウルの農協銀行本店。銀行受け取りには当選宝くじ原本+身分証+口座が必要。
- 税金は引かれた状態で支払われる。200万ウォン以下は非課税/3億ウォン以下は22%/超えた分は33%。別途申告は不要。
- 本当の関門は銀行口座と海外送金。短期観光ビザでは農協口座の開設が難しく、送金は1件5,000ドル超から証明書類が付きまとう。
韓国にはどんな宝くじがある?
韓国の合法宝くじは国務総理傘下の宝くじ委員会が管理し、実際の発行・運営は受託事業者の同行宝くじ(トンヘンボックォン)が担う。旅行者が街で目にするのは、実質この4種類だ。
このほかパワーボールやスピードキノといった電子宝くじもあるが、これらは同行宝くじサイトの会員しか買えないため、本人認証を通せない短期滞在者には関係のない話だ。
知っておきたい背景
韓国では宝くじはギャンブルではなく基金事業として扱われる。売上のかなりの部分が宝くじ基金に入り、低所得層の住宅・奨学・文化事業に使われる。受け取られなかった当選金も同じ基金に帰属する。だから販売店の看板もレシートもサイトも、「幸運」より「基金」という言葉のほうがよく目につくのだ。
外国人でも買える? — 店頭はイエス、オンラインは事実上ノー
販売店での購入に国籍制限はない。「宝くじ及び宝くじ基金法」が定める購入資格は年齢ただ一つ——満19歳未満は買えないという条項だけだ。実際、販売店の端末には本人確認の仕組み自体がない。現金を出し、用紙に番号をマークするか「オートで」と言えば終わりだ。
店頭で実際に使うフレーズ
- 番号を選ぶのが面倒なら「チャドンイヨ(オート)」——機械が番号を選んでくれる。旅行者の大半はこの方式だ。
- ロト販売店は現金のみの店が多い。カード対応の店もあるが、期待しないほうがいい。
- 土曜抽選の締め切りは20時。それ以降に買うと自動的に次回分になる。
- 黄色地に「ロト」または「ボックォン(宝くじ)」と書かれたブース・店舗が認可販売店。それ以外の経路(ネット代行、見知らぬ端末)で買った宝くじは、番号が合っていても当選金は支払われない。
一方オンライン購入は実質的に塞がっている。同行宝くじのネット購入は、会員登録時に携帯電話・i-PIN・認証書のいずれかで本人認証を通す必要があり、これは本人名義の韓国携帯電話番号か外国人登録番号が前提になる。長期滞在の外国人なら通る余地はあるが、短期旅行者には現実的な経路ではない。
ちなみにネット購入は回次ごとに1人5,000ウォンの上限があり、あらかじめチャージした預け金で支払う仕組みだ。
当選した — どこへ行けばいい?
いちばん間違いやすいのがここだ。韓国では等級ではなく「金額と購入経路」によって受け取り場所が変わる。下の表は同行宝くじ公式の当選者ガイドに基づく。
🏦 ロト6/45 当選金の受け取り場所(同行宝くじ公式、2026年9月)
| 等級・金額 | 受け取り場所 | 持ち物 |
|---|---|---|
| 1等 | NH農協銀行本店(ソウル) | 当選宝くじ原本、身分証 |
| 2等 | NH農協銀行 全国支店 | 当選宝くじ原本、身分証 |
| 3等(200万ウォン超) | NH農協銀行 全国支店 | 当選宝くじ原本、身分証 |
| 3等(200万ウォン以下) | NH農協銀行 全国支店 | 当選宝くじ原本 |
| 4等・5等 | 全国のロト販売店 | 当選宝くじ原本 |
ポイントは3つ。
ひとつ、1等はソウルの農協銀行本店の一か所だけで支払われる。地方で当選してもソウルまで来る必要がある。
ふたつ、200万ウォンを超えた瞬間に身分証が必要になる。税金を源泉徴収しなければならないからだ。200万ウォン以下なら宝くじだけ持っていけばいい。
みっつ、銀行払いは現金では渡してくれない。当選者名義のNH農協銀行口座へ振り込まれる。口座がなければその場で開設するか、書類を作成して他行振込を申請する。外国人にとっては、まさにこの点が実質的なボトルネックになる。
外国人が銀行へ行く前に用意するもの
- 身分証——外国人登録証があればそれ、なければパスポート。パスポートは原本でなければならず、コピー・写真は認められない。
- 当選宝くじ原本——電子登録(ペイコの宝くじウォレット)をしていても現物が優先。現物を失くし、第三者が先に受け取れば取り戻す方法はない。
- 券裏の署名——当選を確認したら即座に裏面へ署名する。ロト用紙は無記名の有価証券なので、持っている人がすなわち権利者だ。
- 口座——NH農協銀行の口座がもっともスムーズ。なければ他行振込を申請できるが、書類と時間が余計にかかる。
- 営業時間——銀行窓口は平日09:00~16:00。週末に抽選されたロトを週末に換金しに行くことはできない。
📍 1等当選金の受け取り場所 — NH農協銀行本店(ソウル中区統一路120、地下鉄5号線 西大門駅近く)
年金宝くじ720+とスピットは受け取り場所が少し異なる。
🎫 年金宝くじ720+・スピットの当選金受け取り場所
| 宝くじ | 金額・等級 | 受け取り場所 |
|---|---|---|
| 年金宝くじ720+ | 年金式(1等・2等・ボーナス) | ㈱同行宝くじ本社(当選宝くじ、身分証、通帳コピー) |
| 年金宝くじ720+ | 5万ウォン超~200万ウォン以下 | NH農協銀行 全国支店 |
| 年金宝くじ720+ | 5万ウォン以下 | 宝くじ販売店 |
| スピット | 1億ウォン超 | 同行宝くじ確認後、指定の農協銀行営業店 |
| スピット | 200万ウォン超~1億ウォン以下 | NH農協銀行 全国支店 |
| スピット | 5万ウォン超~200万ウォン以下 | NH農協銀行 全国支店 |
| スピット | 5万ウォン以下 | 宝くじ販売店 |
年金宝くじの1等は20年間、毎月20日に240回分割支給される。つまり韓国を離れた後も20年間、韓国の口座を維持しなければならないという意味だ。外国人にとってはロトよりはるかに扱いにくい当選といえる。
税金はいくら引かれる?
宝くじ当選金は所得税法上のその他所得で、支払う側が税金をあらかじめ差し引いて残りを渡す(源泉徴収)。分離課税で完結するため、年末に改めて申告する必要はない。
実際の数字にするとこうなる。
💰 当選金別の手取り額(2026年税率基準)
| 当選金 | 税金 | 手取り額 |
|---|---|---|
| 5,000ウォン(ロト5等) | 0ウォン | 5,000ウォン |
| 50,000ウォン(ロト4等) | 0ウォン | 50,000ウォン |
| 1,500,000ウォン(ロト3等) | 0ウォン | 1,500,000ウォン |
| 50,000,000ウォン(ロト2等) | 11,000,000ウォン | 39,000,000ウォン |
| 300,000,000ウォン | 66,000,000ウォン | 234,000,000ウォン |
| 2,000,000,000ウォン(ロト1等) | 627,000,000ウォン | 1,373,000,000ウォン |
20億ウォンのケースを分解すると、3億ウォンまで22%(6,600万ウォン)+残り17億ウォンに33%(5億6,100万ウォン)=合計6億2,700万ウォン。口座に振り込まれるのは13億7,300万ウォンだ。
本国でも課税される可能性がある
韓国で税金を引かれたから終わり、ではない。本国の税法が海外所得を課税するなら、そちらにも申告義務が生じうる。たとえばアメリカは市民権者・永住権者の全世界所得を課税するため、韓国の宝くじ当選金も申告対象で、韓国で納めた税金は外国税額控除で調整する。逆に日本やイギリスのように、宝くじ当選金そのものを非課税とする国もある。銀行でもらう源泉徴収票を必ず保管すべき理由がこれだ。
受け取ったお金を本国へどう送る?
当選金が口座に入ったから終わり、ではない。韓国は外国為替取引法で国外送金を管理している。実務上の基準は2つだ。
💱 海外送金時の証明書類の要件
| 区分 | 必要なもの |
|---|---|
| 1件あたり米ドル5,000ドル以下 | 証明書類なしで送金可能 |
| 1件5,000ドル超、年間累計5万ドル以内 | 無証明の枠内で処理(海外送金・外貨預金・海外カード利用額を合算管理) |
| 年間5万ドル超 | 所得の取得経緯を証明する書類を提出 |
宝くじ当選金は証明が明確な所得なので、この部分はむしろ楽だ。銀行が求める書類は実質3つ。
送金窓口に持っていく書類
- 当選金支給確認書——当選金を受け取った農協銀行で発行してもらう。受け取り当日に一緒に依頼するのがいちばん楽だ。
- その他所得の源泉徴収票——税金をいくら引いたかを証明する。本国での申告にもそのまま使える。
- パスポート・外国人登録証——送金人本人の確認用。
本当の壁は送金ではなく口座だ
観光(B-2)または短期訪問(C-3)資格で入国した人は韓国の銀行口座を作るのが非常に難しい。ほとんどの銀行が外国人登録証または国内居所申告証を求めるためだ。一部の銀行はパスポートだけで開設できる外国人専用の短期口座を扱うが、振込限度額が低く設定される。つまり旅行中に高額当選した場合、当選金の受け取りそのものよりお金を受け取る口座を作る段階がいちばん時間がかかる。支払期限は1年なので時間的な余裕はあるが、再入国を計画する必要が出てくるかもしれない。
見逃すと取り返しのつかないこと
チェックリスト
- 支払期限は支払開始日から1年。1日でも過ぎれば当選金は宝くじ基金に帰属し、例外はない。毎年数百億ウォンがこうして消えている。
- 確認したら即座に裏面へ署名する。無記名証券なので、拾った人が先に換金したらそれまでだ。
- レシート用紙は感熱紙。熱に触れると印字が消える。車のダッシュボード、窓際、アイロン——すべてNG。
- 破損時の基準は「2分の1以上+機械で認識可能」。破れたり濡れたりしても、この条件を満たせば支払われる。
- 認可販売店でのみ買う。非認可の代行・類似端末で買った宝くじは、番号が合っていても無効だ。
- 当選確認は2回する。販売店のスキャナー誤作動は実際にある。同行宝くじ公式サイトやアプリのQRスキャンで交差確認する。
もうひとつ。当選金を家族や友人に分けると贈与税の問題が生じる。配偶者は10年間で6億ウォン、直系尊卑属は5,000万ウォン、その他親族は1,000万ウォンまで控除され、それを超えると課税される。「一緒に買ったから半分ずつ」という口約束だけでは贈与として扱われうるので、共同購入だったなら購入時点の記録を残しておくのが安全だ。
データと出典
- 同行宝くじ — 当選者ガイド(当選金の受け取り・税金) https://www.dhlottery.co.kr/guide/wnrGuide
- 同行宝くじ — 利用案内(ネット購入・宝くじウォレット) https://www.dhlottery.co.kr/userGuide
- 所得税法第84条(その他所得の課税最低限) https://law.go.kr/법령/소득세법/제84조
- 国税庁 — 非居住者の源泉徴収案内 https://www.nts.go.kr/nts/cm/cntnts/cntntsView.do?mi=6488&cntntsId=7924
- 全国銀行連合会 為替ガイド — 無証明の海外送金 https://exchange.kfb.or.kr/page/exchange02.php
- スポーツトト — ベットマン外国人会員登録案内 https://www.sportstoto.co.kr/view.php?type=news&idx=2379