ソウルの路地を歩いていると猫に出会う。駐車中の車の下で、塀の上で、階段のそばの植木鉢の間で。逃げもせず、寄っても来ない距離で人を見ている。
旅行者がよくする質問が二つある。なぜこんなに多いのか、そしてなぜ耳の先が切れているのか。
まず結論から
- ソウルの野良猫は約9万匹。2015年の20万匹から半分以下に減った。
- 耳の先が切れているのは不妊化の印だ。怪我ではない。
- 世話をする人が別にいる。旅行者がすべきことは餌をあげずに通り過ぎることだ。
数字で見ると何が起きたか
最後のカードがこの統計の核心だ。子猫の割合が低くなるということは、個体数が偶然減ったのではなく構造的に調整されているという意味だ。実際、ソウルの野良猫の数は2021年以降、大きな変動なく維持されている。
TNR — 捕まえて、不妊化して、元の場所に戻す
TNRはTrap(捕獲)・Neuter(不妊化)・Return(放獣)の略だ。捕まえて排除する代わりに、不妊化手術の後、住んでいた場所に戻す。空きができると別の猫が入ってくる現象(真空効果)を防ぎつつ、繁殖だけを遮断する方式だ。韓国は自治体の予算でこの事業を運営しており、ソウルは10年以上続けた結果が上の数字だ。
耳の先が切れている理由
つまり耳の先が切れた猫を見たら、その地域でTNR事業が機能しているという意味だ。虐待の痕跡ではなく、管理の痕跡である。
「野良猫」から「地域猫」へ
韓国でこの猫たちを呼ぶ言葉は変わってきた。かつては泥棒猫だった。今は野良猫が標準で、自治体や団体では地域猫という言葉を使う。
言葉が変わった順序が、そのまま認識が変わった順序だ。盗む存在から、道にいる存在を経て、地域で共に暮らす存在へと移ってきた。
この変化は統計にも残っている。韓国の飼い猫の飼育世帯のうち24.9%が道から猫を連れてきた。 飼い犬の28.4%がペットショップから来るのと、ちょうど対照的な数字だ。韓国の猫文化は購入ではなく保護から始まった場合が多い。
キャットマム — 世話をする人々、そして対立
地域ごとに、猫に定期的にご飯と水をあげる人がいる。この人たちをキャットマムと呼ぶ。性別に関係なく使われる言葉で、給餌所の管理やTNRの通報まで担うことが多い。先ほどの統計で個体数が管理されているのには、この非公式の人手の貢献が大きい。
同時に韓国でキャットマムは対立の言葉でもある。
🐈 給餌所をめぐる二つの立場
| 賛成側 | 反対側 |
|---|---|
| 決まった場所で給餌してこそ衛生管理ができる | 食べ物のゴミと臭いが発生する |
| 個体の把握ができてこそTNRが可能だ | 猫が集まり騒音・車両の損傷が増える |
| 無秩序な給餌を代替する装置だ | 給餌所が個体数をむしろ増やす |
ソウル市が管理する給餌所は2023年の19カ所から2025年の26カ所へ増え、それだけ住民の対立管理も政策課題になった。ソウル市は今、政策の焦点が「数を減らすこと」から**「共存の方法を決めること」**へ移ってきたと明らかにしている。個体数の調整はある程度成功し、残ったのは人々の間の合意だという意味だ。
旅行者はどうすればいいか
路地で猫に出会ったとき
- 餌をあげない。 すでに世話をする人がいて、決まった給餌場所がある。残した食べ物は衛生問題と隣人との対立につながる。人の食べ物は猫の健康にも有害だ。
- 触らない。 ほとんどが人の手に慣れていない猫だ。噛まれたり引っかかれたりすれば、旅行の予定が病院に変わる。
- 写真は静かに。 フラッシュを消し、追いかけない。逃げたらそれで終わりだ。
- 耳の先が切れた猫は管理されている個体だ。 保護が必要な状況と誤解しなくていい。
- 怪我をしていたり具合が悪そうなら 直接捕まえようとせず、該当の区役所または動物保護相談に連絡する。場所を知らせるだけで十分だ。
猫を見にわざわざ行く場所を探すなら、古い住宅街の路地が答えだ。ソウルでは延南洞(ヨンナムドン)と西村(ソチョン)、梨花洞(イファドン)一帯の路地で自然に出会う確率が高い。ただしそこに住む人々の生活空間という点は忘れない方がいい。静かに歩くことが、猫にも住民にも最も良い訪問の仕方だ。
データと出典
- ソウル市の野良猫生息現況モニタリング(2025) — 約9万匹(90,319〜91,688)、2015年の約20万匹比で減少、2021年以降安定
- ソウル市TNR事業の実績 — 不妊化率61%、年間約1万4千匹の手術、子猫の割合9.9%
- ソウル市の野良猫給餌所の運営現況 — 2023年19カ所 → 2025年26カ所
- 農林畜産食品部「動物福祉に関する国民意識調査」 — 飼い猫の入手経路のうち野良猫24.9%、飼い犬のペットショップ28.4%