韓国で日焼け止めを一度でも手に取ったことのある人なら、この組み合わせを見たはずです。SPF50+ PA++++。その横には小さく耐水性、裏面には機能性化粧品。米国では「Broad Spectrum SPF 50」とだけ書かれ、欧州製品には丸で囲んだUVAマークが付いています。同じ紫外線を防ぐ製品なのに、なぜ国によって表記がこんなに違うのでしょうか?

答えは性能ではなく制度にあります。そしてその制度の違いこそが、いま米国の消費者がわざわざ韓国の日焼け止めを個人輸入する理由でもあります。

結論を先に

  • SPFは紫外線B(日焼け)、PAは紫外線A(光老化・色素沈着)を担当。両方見る必要があります。
  • PAの+の数 = PFA値の区間。 PA+(2〜4)、PA++(4〜8)、PA+++(8〜16)、PA++++(16以上)。
  • 韓国はSPF実測値が50を超えても無条件にSPF50+とのみ表示。SPF 60・100表記がない理由です。
  • 韓国は日焼け止めを化粧品(機能性化粧品)として、米国はOTC医薬品として規制。使用できる紫外線防止成分は32種 対 17種
  • この規制の差が白浮きのない軽いテクスチャーを生み、それがK-サンスクリーンが世界で売れる本当の理由です。

PA+++とは一体何なのか?

PAは紫外線A(UVA)をどれだけ防げるかを示す等級で、+が多いほど効果が強いことを意味します。 正確にはPFA(Protection Factor of UVA、紫外線A防止指数)という測定値を4つの区間に分けて等級に変換したものです。

PFAはPPD(Persistent Pigment Darkening、持続型即時黒化)という現象を利用します。UVAを浴びると肌がすぐに黒っぽく変色しますが、この黒化が現れる最小照射量を無防護の肌と製品を塗布した肌でそれぞれ測り、その比率を取った値がPFAです。つまり**「無防備のときより何倍長く耐えられるか」**を示しています。

🔎 PA等級 ↔ PFA値の区間(韓国「機能性化粧品審査に関する規定」別表3 / 日本JCIA基準も同様)

表示等級PFA(UVAPF)値意味
PA+2以上 〜 4未満UVA防止効果あり
PA++4以上 〜 8未満UVA防止効果かなりあり
PA+++8以上 〜 16未満UVA防止効果非常に高い
PA++++16以上UVA防止効果極めて高い

ここでよく誤解が生まれます。PA+++とPA++++は「ワンランク差」ではありません。 PFA 8とPFA 16は2倍の差があり、PA+++の中にもPFA 8のものとPFA 15のものが混在しています。等級は区間であって正確な数値ではないという点を覚えておけば、ラベルの読み方がずっと楽になります。

PAはもともと韓国発祥ではありません

PA表示体系を最初に作ったのは日本化粧品工業連合会(JCIA)で、1995年11月に自主基準として導入しました。当初はPA+ / PA++ / PA+++ の3段階のみでした。JCIAが2012年6月の通知でPA++++を新設し2013年1月1日から施行、韓国食品医薬品安全処は2016年にこれに倣って等級を4段階に拡大しました。韓国でPA++++表示の法的施行日は2016年12月1日(食薬処告示第2016-98号附則)です。そのため、2016年以前の韓国製品にはPA++++は存在しません。


SPFの数字はどう読めばいい?

SPFは紫外線B(UVB)、つまり日焼けを防ぐ指数です。 原理はPFAと同じです。紅斑(赤み)が生じる最小紫外線量(MED)を、保護状態と無保護状態で比較した倍数です。

問題はこの数字がカット率と比例しないという点です。欧州連合執行委員会勧告(2006/647/EC)はこう明言しています。

SPF 15はUVBの93%を、SPF 30は97%を吸収する。 そしてSPF 50を超える値は、紫外線保護を実質的に大きく増やすものではない。— 欧州連合執行委員会勧告 2006/647/EC 本文 (20)

SPF 15から30に上げると、カット率は93%から97%へ4ポイント上がります。30から50にすると約1ポイント上がるだけです。その代わり「どれだけ長く持つか」は2倍になります。この2つを混同すると混乱します。

韓国食品医薬品安全処は、いっそ表示の上限を作りました。「機能性化粧品審査に関する規定」第13条は、SPFを測定平均値(小数点以下切り捨て)から−20%以下の範囲内の整数で表示するものの、SPF 50以上はすべて「SPF50+」とのみ表示するよう定めています。

93%
SPF 15のUVBカット率(EU勧告明示)
97%
SPF 30のUVBカット率(EU勧告明示)
50+
韓国のSPF表示上限 — それ以上はすべてSPF50+
2mg/cm²
試験塗布量 = 成人全身で約6ティースプーン(36g)

最後の数字が実は一番重要です。SPF 50+は1cm²あたり2mgを塗ったときの値です。成人全身基準で約6ティースプーン(36g)に相当し、顔だけでも人差し指と中指の2関節分を満たす量です。同じEU文書は半分しか塗らなければ防御力が最大で3分の2まで落ちる可能性があると記しています。SPF50+の製品を薄く塗ると、実際にはSPF 15レベルかもしれません。

実用的な使い方のヒント

  • 数字を上げるより量をしっかり塗り、2〜3時間おきに塗り直すことのほうがはるかに効果的です。
  • 日焼け止めを十分塗るのが面倒なら、サンスティック・サンクッションを塗り直し用に併用してください。韓国製品はこのあたりのラインナップが特に充実しています。
  • SPFだけ高くてPA表示がない、または低い製品はUVAに無防備かもしれません。光老化・シミはUVA側の担当です。

なぜ国によって表記が違うのか?

UVB(SPF)は全世界が事実上同じ試験法(ISO 24444)を使っているため、数字が共通です。問題はUVAです。 UVAをどう測りどう表示するかについて、各地域が異なる答えを出しました。

🌏 紫外線A(UVA)表示 国際比較 — 同じ製品でも国によってラベルが変わる理由

地域UVA表示方式基準特徴
韓国PA+ 〜 PA++++PFA(PPD)値区間、ISO 24442等 生体内試験4段階等級で数値感覚が直感的。試験管試験(ISO 24443)は認めず
日本PA+ 〜 PA++++同一(JCIA自主基準)PAを表示する際SPF併記が義務。耐水性は★/★★表示
欧州連合丸囲みUVAロゴ(等級なし)UVA-PFが表示SPFの1/3以上 + 臨界波長370nm合格/不合格方式。ロゴは法的義務ではなく業界(Cosmetics Europe)自主ラベル
米国「Broad Spectrum」(等級なし)臨界波長370nm以上の単一基準UVA-PF比率要件がない。合格すればすべて同じ文言
豪州・NZ「Broad spectrum」370nmかつ UVAPF/SPF ≧ 0.33(両方)EU式二重基準。SPF50+は実測60以上のときのみ

この表で実用的に重要なのは米国ラベルの情報量が最も少ないという点です。FDAのBroad Spectrumは臨界波長370nmさえ超えれば付けられるため、UVAをぎりぎり通過した製品と非常に強い製品が同じ文言になります。一方、韓国・日本のPAは4等級に分かれているため、消費者が強度を比較できます。米国消費者が韓国製品のラベルを「より親切」と感じる第一の理由です。

欧州の丸囲みUVAマークは法律ではありません

よく「EU法定マーク」として知られていますが、欧州委員会の公式説明によれば、このロゴはCosmetics Europe(欧州化粧品業界団体)が作成した標準自主ラベルです。勧告2006/647/EC本文にはロゴ規定自体がなく、勧告が定めた最低要件(UVA-PF ≧ SPFの1/3、臨界波長370nm)を満たしていることを業界が自主的に表示する仕組みです。


「耐水性」と「持続耐水性」は何が違う?

水中に入る試験時間がちょうど2倍違います。 韓国基準は以下の通りです。

💧 耐水性表示 国際比較 — 浸水時間構造は事実上同一

区分韓国米国FDA日本JCIA
1段階耐水性(20分浸水×2回 = 40分)Water Resistant(40 minutes)UV耐水性 ★
2段階持続耐水性(20分浸水×4回 = 80分)Water Resistant(80 minutes)UV耐水性 ★★
判定基準耐水性比 信頼区間50%以上浸水後SPF維持維持率90%信頼区間下限50%以上
それ以外の時間なしなし40・80分以外の設定禁止

試験は水に20分入る → 20分自然乾燥 → 再び20分入水を繰り返した後、SPFを再測定する方式です。浸水のみで40分なら耐水性、80分なら持続耐水性です。

注意点は2つあります。第一に、どちらも「防水」ではありません。韓国・米国・日本すべてwaterproof・sweatproofのような絶対表現を禁止しています。第二に、食薬処の消費者向け案内はこれを「1時間/2時間の浸水を想定した検証」と説明していますが、これは休憩時間を含む総試験経過時間を丸めた表現です。実際の純粋浸水時間は40分/80分です。


韓国はなぜ日焼け止めを「機能性化粧品」と呼ぶのか?

ここからがK-サンスクリーン物語の核心です。

韓国は2000年7月1日に機能性化粧品制度を施行し、日焼け止め(紫外線遮断剤)を制度発足初年度のカテゴリーの1つとして組み込みました。後から追加したのではなく、美白・しわ改善とともにスタートした3本柱でした。現在、機能性化粧品は施行規則上11類型(美白2種、しわ改善、サンタン、紫外線遮断、染毛・脱色、除毛、脱毛緩和、にきび、皮膚バリア、ストレッチマーク)に増えています。

機能性化粧品になると、2つのことが付いてきます。試験義務行政手続きです。日焼け止めを販売するにはSPF・PA・耐水性の根拠資料を揃えて食薬処の審査を受けるか報告をしなければなりません。

📋 韓国の日焼け止め市場参入経路 — 審査 vs 報告

区分審査報告
対象新処方・新効能すでに審査を受けた品目と同一処方
提出資料起源・開発経緯、安全性(毒性・刺激性・光毒性)、効力試験、人体適用試験、SPF/PA根拠資料、基準および試験方法同一性立証
処理期間60日
手数料189,000ウォン(電子申請)なし
2024年件数964件(うち紫外線遮断321件)19,421件

数字を見ると実際の市場の動きが見えてきます。2024年の機能性化粧品審査964件のうち紫外線遮断が321件(33.3%)で単一類型1位、それとは別に報告が19,421件です。日焼け止めには特例があり、すでに審査を受けた品目とSPF測定値が−20%以下の範囲内であれば「同じ効能・効果」とみなされ報告経路で進めます。

この構造がK-サンスクリーンのスピードを生みます。 新製品を出すたびに60日かかる審査を再度受けるのではなく、検証済み処方の上で手数料0ウォンの報告でバリエーション製品を次々と出せます。毎年2万件近い機能性化粧品が市場に出る背景です。

米国はなぜ韓国の日焼け止めを売れないのか?

米国は日焼け止めを化粧品ではなくOTC(一般用医薬品)に分類しています。根拠は1938年の連邦食品医薬品化粧品法です。「疾病(皮膚がん・日焼け)予防目的」の製品は医薬品という論理です。

医薬品になると、成分を1つ追加するにも医薬品レベルの安全性データが必要になります。その結果がこれです。

32
韓国で使用可能な紫外線防止成分(2026.3改正基準)
17
米国FDAモノグラフ掲載成分(2026.6基準)
27
1999年最終モノグラフ以降、米国の新規フィルター承認空白期間

1999年の最終モノグラフ以降、米国では新規紫外線防止成分がただの1つも追加されませんでした(FDAの表現では「1990年代後半以降」)。2002年に海外使用実績の長い成分を迅速に導入するTEA手続きが設けられ8種が申請されましたが、12年間承認ゼロ。2014年のサンスクリーン革新法(Sunscreen Innovation Act)で期限を強制すると、FDAは2015年に8種すべてに対し「安全性データ不十分」の回答を出しました。動物発がん性試験と最大使用条件吸収試験の要求がボトルネックでした。

その間、韓国・EU・日本はそれらの成分を使っていました。

🧪 最新紫外線防止フィルターの国別使用可否

成分(商品名)韓国EU日本米国
Bemotrizinol(Tinosorb S)✅ 10%✅ 2026.6〜 6%
Bisoctrizole(Tinosorb M)✅ 10%
DHHB(Uvinul A Plus)✅ 10%
Drometrizole trisiloxane(Mexoryl XL)✅ 15%
Ethylhexyl triazone(Uvinul T 150)✅ 5%
Ecamsule(Mexoryl SX)△ 特定製品限定
Phenylene bis-diphenyltriazine(TriAsorB)✅ 2026.3 新規未確認

この表がK-サンスクリーンの使用感を説明しています。Tinosorb S/M、Uvinul A Plusのような新型有機フィルターはUVA・UVBを広くカバーしながら光安定性に優れ、酸化亜鉛・二酸化チタンへの依存度を下げられます。無機フィルター依存度が下がると白浮きが減り、テクスチャーが軽くなります。 米国製品がいまだに重たく白浮きするという印象を持たれる理由が、成分表にそのまま書かれているわけです。

2026年6月、27年ぶりに壁が破られました

2026年6月9日、FDAがbemotrizinol(Tinosorb S)を最大6%濃度でOTCサンスクリーンモノグラフに追加しました。1999年以来初の新規有効成分であり、生後6か月以上で使用可能(GRASE)と認められました。成分メーカーdsm-firmenichがこの承認1件に約20年と1,800万ドルを費やしました。2020年のコロナ対策法(CARES Act)が生み出した新たな行政命令手続きにより、最終段階は7か月で完了しました。


だからK-サンスクリーンは世界で売れているのか?

数字はそうだと語っています。

$114
2025年 韓国化粧品輸出額 — フランスに次ぐ世界2位
$21.8
2025年 対米輸出 — 史上初めて中国を抜いた1位市場
4,703億ウォン
2025年 国内紫外線遮断製品 生産額(+9.4%)

2025年の韓国化粧品輸出は114億1,757万ドルで米国(107.5億ドル)を抜き世界2位に浮上しました。同年対米輸出21億8,420万ドル(全体の19.1%)で米国が初めて最大輸出先となり、中国(20億1,831万ドル)は後退しました。サンケア単独の輸出統計は公式分類がありませんが、国内紫外線遮断製品の生産額は2025年4,703億ウォンで前年比9.4%増加しました。

ブランド単位でも確認できます。Beauty of Joseon(朝鮮美人)はユーロモニター集計で2025年グローバルオンライン小売販売基準K-ビューティーサンケア1位ブランドに選定され、SPF50+サンケア3製品がブランド売上の約40%を占めています。

米国メディアもこの現象を規制で説明しています。KFF Health Newsは2024年の記事で、1938年法の医薬品分類と動物実験要件をボトルネックとして指摘し、多くの米国人がアジア・欧州の日焼け止めを直接輸入して使っていると報じました。Consumer Reports・NBC・CNNも相次いで「韓国の日焼け止めはより優れているのか」を取り上げ、共通する結論は似ています。カット性能が魔法のように優れているのではなく、使えるフィルターが多いためテクスチャーが優れているということです。

一つの逆説 — 韓国で買ったその製品は米国では売れません

韓国オリジナル版の日焼け止めはFDA規制を満たさないため、米国内での合法販売が不可能です。そこでBeauty of Joseon・COSRXなどのブランドは、米国承認フィルターで処方を変えた米国版を別途発売しています。同じ名前、同じパッケージなのに成分表が異なるケースが実際に存在します。韓国で買って帰ることの意味でもあります。


韓国で日焼け止めを買うとき、何を見ればいい?

ラベルで確認すべきは4つだけです。

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  • SPF50+ — 日常用ならこれで十分です。これより高い数字は韓国ラベルに存在しません。
  • PA++++ — UVA最高等級。光老化・シミが気になるならここを見てください。
  • 耐水性 / 持続耐水性 — ビーチ・プール・真夏の街歩き観光なら持続耐水性を。
  • 「機能性化粧品」の文言 — あれば食薬処の審査または報告を経た製品です。
  • 成分表にTinosorb S/M、Uvinul A Plus、Uvinul T 150があれば、米国では入手困難な処方です。

テクスチャーは好みの領域です。韓国市場で通用する区分として無機系(ミネラル)日焼け止め(ジンクオキサイド・チタニウムジオキサイド中心、刺激少なく白浮きあり)、有機系(ケミカル)日焼け止め(化学フィルター中心、軽く白浮きなし)、混合系(両方を配合)があります。ここにトーンアップ機能やサンスティック・サンクッションといった塗り直し用フォーマットが加わる形です。性能等級はSPF・PAですでに表示されているので、その先は毎日十分に塗れる使用感で選ぶのが賢明です。

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まとめ

ラベル表記何を防ぐかどう読むか
SPF50+紫外線B(日焼け)韓国の表示上限。実測が50でも80でも同一表記
PA++++紫外線A(光老化・色素沈着)PFA 16以上。+1つでおおむね2倍区間
耐水性水・汗(40分浸水)防水ではない。水遊び後は塗り直し必須
持続耐水性水・汗(80分浸水)ビーチ・プール用
機能性化粧品食薬処の審査または報告を経た証

PA+++はマーケティング文言ではなく、PFA 8〜16という試験値の別名です。そしてその表記が存在すること自体が、韓国が日焼け止めを化粧品として管理しながら積み上げてきた25年分の制度の結晶です。

出典

※ SPF 50のUVBカット率約98%は1−1/SPFの算術計算値であり、規制機関の1次文書に明示された値はSPF 15(93%)・SPF 30(97%)です。本文では規制文書に明示された値のみ引用しました。

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