まず結論から

  • ソウルの外食費8品目は7年間で平均40.8%上がった。ただし安い食べ物ほど大きく上がっている——キムパプ(김밥、韓国海苔巻き)+62.0%、チャジャンミョン(자장면、韓国式ジャージャー麺)+54.3%なのに対し、サムゲタン(삼계탕、参鶏湯)+25.5%、サムギョプサル(삼겹살、豚バラ焼肉)+27.0%。
  • 旅行者向け基準線(2026年6月ソウル平均): キムパプ3,838ウォン · キムチチゲ定食8,654ウォン · ネンミョン(냉면、冷麺)12,615ウォン · サムギョプサル200g 21,321ウォン。この数字を知っていれば、観光地の価格が適正かどうか瞬時に判断できる。
  • ソウルでもっともコスパが良いのはキムチチゲ定食。16の市道のなかで12位——ソウルの物価プレミアムがほぼない唯一の品目。

「韓国の物価が上がった」という言葉はざっくりしすぎていて、旅行の予算を組むときには何の役にも立たない。キムパプが上がったのとサムギョプサルが上がったのでは、上がり幅も理由もまったく違う。

そこでこの記事では、韓国消費者院の価格情報総合ポータル チャムカギョク(참가격) の外食費元データを2026年8月4日に直接照会し、ソウル地域8品目の2019年から2026年までの8年分・6月の数値を抜き出して集計した。以下の表と上昇率はすべて、このサイトが直接計算したものだ。


ソウル外食8品目、いまいくらか?

最も安いキムパプが3,838ウォン、最も高いサムギョプサル200gが21,321ウォン。 8品目の2026年6月ソウル平均は以下のとおり。チャムカギョク基準の最新確定値が6月分だ。

+40.8%
8品目平均 7年間上昇率(2019年6月 → 2026年6月、ソウル)
+62.0%
キムパプ — 8品目中上昇率1位、かつ最も安い品目
+25.5%
サムゲタン — 上昇率最下位。もともと高かった品目ほど上がらなかった
+3.25%
8品目平均 前年同月比(外食CPI 2.6%を上回る)

📊 ソウル外食費8品目 — 2019年6月対比 2026年6月(韓国消費者院チャムカギョク、単位: ウォン)

品目2019.62021.62025.62026.6前年比5年7年
キムパプ(1本)2,3692,7313,6233,838+5.9%+40.5%+62.0%
チャジャンミョン4,9625,3857,5007,654+2.1%+42.1%+54.3%
キムチチゲ定食6,2696,8468,5008,654+1.8%+26.4%+38.0%
カルグクス(칼국수、韓国式うどん)6,9237,4629,69210,038+3.6%+34.5%+45.0%
ビビンバ(비빔밥)8,8089,00011,46211,769+2.7%+30.8%+33.6%
ネンミョン(냉면、冷麺)8,9629,50012,26912,615+2.8%+32.8%+40.8%
サムゲタン(삼계탕、参鶏湯)14,46214,07717,65418,154+2.8%+29.0%+25.5%
サムギョプサル(200g)16,78816,68420,44721,321+4.3%+27.8%+27.0%

単位の読み方

  • ネンミョン・ビビンバ・キムチチゲ定食・チャジャンミョン・サムゲタン・カルグクスは1人前(通常)基準。
  • キムパプは1本基準。2016年12月までは1人前基準だったため、それ以前との比較は避ける必要がある。
  • サムギョプサルは飲食店ごとに提供量が100〜250gとばらつくため、チャムカギョクが200gに換算した値を使う。この記事の数字も換算後の基準。

なぜ安い食べ物ほど大きく上がったのか?

このデータでもっとも目を引くのは逆相関の関係だ。2019年時点で安かった品目ほど、この7年間の上昇率が高かった。

2019年基準で低価格4品目(キムパプ・チャジャンミョン・キムチチゲ定食・カルグクス)は7年間で平均49.8%上昇。一方高価格4品目(ビビンバ・ネンミョン・サムゲタン・サムギョプサル)は31.7%にとどまった。その差は18.1%pだ。

理由は原価構造にある。サムギョプサルやサムゲタンは価格のかなりの部分が肉の原価のため、畜産物の市況が安定していればメニュー価格も動きにくい。一方キムパプやカルグクスは材料費の比率が低く、人件費・賃料の比率が高い。 最低賃金が2026年に時給10,320ウォンまで上がるなか、もともとマージンの薄かった低価格メニューがその負担をもっとも早く価格に反映したかたちだ。

ただし、金額で見ると話は逆転する。 7年間でキムパプは1,469ウォン上がったが、サムギョプサルは4,533ウォン上がった。比率では低価格メニューが、財布から出ていく絶対額では高価格メニューのほうが痛い。


外食費は階段式に上がる

2026年上半期の月別数値を見ると、外食物価の性格が浮かび上がる。毎月少しずつ上がるのではなく、数カ月止まったあとに一気に跳ねるのだ。

📈 2026年上半期 ソウル月別推移(単位: ウォン)

キムパプチャジャンミョンキムチチゲ定食カルグクスビビンバネンミョンサムゲタンサムギョプサル200g
1月3,8007,6548,6549,92311,57712,53818,15421,056
2月3,8007,6928,6549,96211,61512,53818,15421,141
3月3,8007,6928,65410,03811,61512,53818,15421,218
4月3,8007,7318,65410,03811,69212,61518,15421,321
5月3,8007,7318,65410,03811,76912,61518,15421,321
6月3,8387,6548,65410,03811,76912,61518,15421,321

キムチチゲ定食とサムゲタンは1月から6月まで6カ月間、1ウォンも動かなかった。 キムパプも5カ月間3,800ウォンで止まったあと、6月に38ウォン上がった。チャジャンミョンは5月の7,731ウォンから6月の7,654ウォンへと8品目中唯一の下落だが、これはチャムカギョクが調査対象の飲食店を入れ替えた際に生じる変動と見られる。

旅行者にとって実用的な含意がひとつある。一度上がった価格は数カ月維持されるため、いまこの表の数字は少なくとも秋までは有効な基準線だ。


今年新たに破られた心理的ラインは?

カルグクス1万ウォンだ。 2026年3月、ソウル平均が10,038ウォンを記録し、初めて1万ウォンを超えた。8品目のうち今年新たに崩れた心理的抵抗線はこれだけだ。

🚧 心理的抵抗線 — いつ破られ、次はいつか

品目既に破られたライン突破時期次のライン残りの金額
カルグクス10,000ウォン2026年3月11,000ウォン962ウォン
サムギョプサル200g20,000ウォン2024年上半期22,000ウォン679ウォン
チャジャンミョン7,000ウォン2024〜25年8,000ウォン346ウォン
キムチチゲ定食8,000ウォン2023〜24年9,000ウォン346ウォン
ビビンバ10,000ウォン2022〜23年12,000ウォン231ウォン
キムパプ3,000ウォン2022〜23年4,000ウォン162ウォン
ネンミョン10,000ウォン2022年13,000ウォン385ウォン
サムゲタン18,000ウォン2025年末20,000ウォン1,846ウォン

現在のペース(年3.25%)ならビビンバ12,000ウォンとキムパプ4,000ウォンは1年以内に破られる。 逆に「サムゲタン2万ウォン時代」という表現は、まだ平均基準では事実ではない。ソウル平均は18,154ウォンで、2万ウォンを取るのは鍾路(チョンノ)一帯の有名専門店のような個別の飲食店だ。


ソウルは地方よりどのくらい高いのか?

ここで予想外の結果が出る。ソウルが全国1位の品目は8品目中4品目だけだ。

🗺️ 2026年6月、ソウル vs 全国最安値地域(単位: ウォン)

品目ソウル全国最安値最安値地域ソウルプレミアム
サムギョプサル200g21,32115,305忠清北道+39.3%
キムパプ3,8382,889全羅南道+32.8%
カルグクス10,0387,583大邱+32.4%
ネンミョン12,6159,667全羅南道+30.5%
ビビンバ11,7699,154慶尚南道+28.6%
サムゲタン18,15415,600蔚山+16.4%
チャジャンミョン7,6546,769慶尚北道+13.1%
キムチチゲ定食8,6548,278全羅南道+4.5%

旅行者のための、もっとも実用的な一言

  • ソウルでは定食(백반)を食べろ。 キムチチゲ定食のソウル平均8,654ウォンは16の市道のなかで12位。大田(10,800ウォン)・済州(9,625ウォン)・全羅北道(9,550ウォン)より安い。ソウルの物価プレミアムが実質的に存在しない唯一の品目。
  • 逆にサムギョプサルとキムパプはソウルが最も高い。 サムギョプサルは忠清北道より39%高く、キムパプは全羅南道より33%高い。地方旅行を組み合わせるなら、サムギョプサルはソウルを離れてから食べたほうがいい。
  • ネンミョン・サムギョプサル・サムゲタン・キムパプの4品目はソウルが全国1位。残り4品目は全羅北道(ビビンバ12,100ウォン)、済州(カルグクス10,375ウォン・チャジャンミョン7,750ウォン)、大田(キムチチゲ定食10,800ウォン)がソウルより高い。

旅行の1日食費、いくらで見積もるべきか?

上の数字を為替レート1,440ウォン(2026年8月初旬基準)で換算するとこうなる。

💵 ソウル平均価格 ドル換算(1 USD = 1,440ウォン)

品目ウォンドル
キムパプ1本3,838$2.7
チャジャンミョン7,654$5.3
キムチチゲ定食8,654$6.0
カルグクス10,038$7.0
ビビンバ11,769$8.2
ネンミョン12,615$8.8
サムゲタン18,154$12.6
サムギョプサル200g21,321$14.8

これを1日3食で組み合わせると、3つの予算シナリオができる。

20,146ウォン
節約型 — キムパプ + キムチチゲ定食 + チャジャンミョン(約$14)
34,422ウォン
標準型 — カルグクス + ビビンバ + ネンミョン(約$24)
51,244ウォン
しっかり型 — ビビンバ + サムゲタン + サムギョプサル1人前(約$36)

サムギョプサルは別途計算が必要だ。 チャムカギョクの200gは1人前基準だが、実際には2人で3人前(600g)ほど食べる。すると63,963ウォン、ここに焼酎2本(飲食店で6,000〜7,000ウォン台)を加えると2人で7万ウォン台半ばになる。韓国人が「サムギョプサルに焼酎一杯」を以前のように気軽に口にしなくなった理由だ。

この表を実際に使う方法

  • メニュー表の価格が上記平均より30%以上高ければ観光地プレミアムが乗っている。明洞(ミョンドン)・仁寺洞(インサドン)・南山(ナムサン)一帯でよく見られる。
  • 逆に平均より安い価格は、たいてい路地の老舗かランチタイムの特別メニューだ。韓国では安い値段がすぐに悪い食事を意味するわけではない。
  • 昼食時間(11:30〜14:00)には同じ店が1,000〜2,000ウォン安いランチメニューを出すことが多い。上記の平均値はこの割引が混ざった数字だ。

コーヒー代はなぜこの表にないのか?

チャムカギョクの外食費調査8品目にコーヒーは含まれていない。 代わりに、韓国のコーヒー価格はフランチャイズごとのばらつきがあまりに大きく、平均値そのものに大きな意味がない。2026年基準でアメリカーノ1杯は、低価格ブランドの1,200〜2,000ウォンからスターバックスのトールサイズ4,700ウォンまでほぼ4倍の開きがある。 コーヒー価格は「韓国カフェフランチャイズ コーヒー価格比較」で別途扱っている。

同様に焼酎もチャムカギョクの外食費品目ではない。 ただし2026年のソウルの飲食店では焼酎1本6,000〜7,000ウォン台が一般的と報じられている。


この数字をどこまで信用すべきか?

チャムカギョクの外食費は、正確に言えば物価指数ではなく、サンプル店舗の平均価格だ。チャムカギョク自身もこう警告している。

韓国消費者院チャムカギョク告知事項: 「廃業や取扱中止など調査の継続が難しく、調査対象店舗または商品を変更する場合の価格変動もそのまま反映されているため、利用にあたっては注意が必要。」

つまりサンプル店舗が変われば、実際には価格が上がっていなくても平均が動く。2026年6月にチャジャンミョンが前月より77ウォン下がったのも、こうしたサンプル入れ替えの効果である可能性が高い。そのためこの記事の7年間の上昇率は、厳密な物価上昇率というより「いまソウルでこのメニューを頼むと大体いくら払うことになるか」の変化として読むのが正確だ。

一方、公式の消費者物価統計と比較するとこういう図になる。

指標2026年6月2026年7月
消費者物価全体(前年同月比)+3.2%+2.8%
外食部門+2.6%+2.6%
チャムカギョク ソウル8品目平均(独自集計)+3.25%

2026年の逆説 — 外食が全体物価より低い

2022〜2025年には外食物価が全体の消費者物価を常に上回っていた。ところが2026年は逆転している。中東情勢で国際原油価格が急騰し、6月の石油類が前年比24.7%急騰、これが全体物価を3.2%まで押し上げた。相対的に外食(2.6%)は低く見える。しかしこれは外食が安くなったという意味ではなく、他のものがより速く上がったという意味だ。2020年以降の外食物価累積上昇率は依然として24〜25%だ。


出典 / Sources

価格単位 — ネンミョン・ビビンバ・キムチチゲ定食・チャジャンミョン・サムゲタン・カルグクスは1人前(通常)、キムパプは1本、サムギョプサルは200g換算基準。

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