まず結論から
- 1位はミネラルウォーター。 全カテゴリ対象の販売数量ランキングで1位・2位・3位がすべてボトル水。上位20位のうち9品が水だった。
- ベストセラーの78.7%が2万ウォン未満。 販売価格の中央値は11,945ウォン(約8.19ドル)。韓国ECの上位に並ぶのは高級品ではなく、繰り返し買う消耗品である。
- 43.6%が20個以上の大容量パック。 ラーメン40食、コーヒーミックス250スティック、紙コップ1,000個——韓国人はバラではなく箱単位で買う。
- 水・コーヒー・ラーメン・乾電池・殺虫剤。この5つが上位を占める。衣類や家電製品はほぼゼロ。
「韓国人はオンラインで何を買うのか」——この問いにはふつう統計庁のデータで答えることになる。出前が1位、飲食料品が2位というのは、韓国人のオンラインショッピング事情をまとめた別記事で紹介したとおりだ。だがそれは取引額ベースの話で、取引額は高額品がいくつかあるだけで大きくブレる。
そこで今回は逆の角度から調べてみた。販売数量で。
調査方法
2026年7月29日、韓国最大のECサイト・クーパン(Coupang)で、カテゴリフィルターを一切かけず全商品を販売数量順にソートし、画面に表示された上位188SKUをそのまま記録。商品名・販売価格・単位あたり価格・レビュー数・割引率を書き写したのち、同じ商品の容量違い(例:サムダス12個入り・18個入り・24個入り)をまとめて165商品ページに整理した。以下の数値はこのデータセットを直接計算した結果である。
なぜ1位がミネラルウォーターなのか
1位はチェジュサムダス(제주삼다수)2L 12本入り(12,800ウォン)だった。 2位は同じサムダスの500ml 40本入り、3位はクーパンのプライベートブランド(PB)「タムサ」(탐사)の2L 36本入り。4位のアイシス、10位のトンウォンセンムルまで含めると、上位20SKUのうち9品がミネラルウォーターであった。
全体188品に広げても、水は19品(10.1%)で単一アイテムとしてトップ。ブランドは8つしかないが、容量違いのオプションが複数ずつランクインしている。
💧 クーパン販売数量上位のミネラルウォーター一覧(2026年7月29日実測、100mlあたり単価順)
| 100mlあたり | 商品 | 販売価格 | 販売数量順位 |
|---|---|---|---|
| 22ウォン | タムサ サンムル ノーラベル 2L 36本 | 15,990ウォン | 3位 |
| 23ウォン | タムサ ノーラベル 2L 24本 | 10,990ウォン | 50位 |
| 24ウォン | カヤサンチョンニョンス ノーラベル 2L 24本 | 11,690ウォン | 157位 |
| 25ウォン | アイシス ホワイトキャップ ノーラベル 2L 24本 | 12,180ウォン | 11位 |
| 27ウォン | トンウォンセンムル ノーラベル 2L 12本 | 6,460ウォン | 10位 |
| 41ウォン | トンウォンセンムル ノーラベル 500ml 100本 | 20,250ウォン | 179位 |
| 48ウォン | ナミャンチョニョンス ノーラベル 500ml 20本 | 4,790ウォン | 33位 |
| 53ウォン | チェジュサムダス グリーン ノーラベル 2L 12本 | 12,800ウォン | 1位 |
| 81ウォン | ペクサンス ラベルあり 500ml 40本 | 16,220ウォン | 98位 |
| 89ウォン | チェジュサムダス グリーン ノーラベル 500ml 40本 | 17,850ウォン | 2位 |
ここから2つのことが見えてくる。
ひとつは、同じ水なのに単価が最大4倍も開くということ。最安22ウォン(タムサ サンムル 2L)から最高89ウォン(サムダス 500ml)まで4.0倍の差。2Lに統一しても22ウォン〜54ウォンと2.5倍の開きがある。それでも販売数量1位は最も高めのサムダスだ。韓国のミネラルウォーター市場で、サムダスはブランドプレミアムが実際に機能しているほぼ唯一の例と言える。
もうひとつは、小容量は倍以上高いということ。2Lクラスの100mlあたり中央値が26.5ウォンなのに対し、500mlクラスは41ウォン。サムダスだけで見ると、2Lが53ウォン、500mlが89ウォン——水は同じでペットボトルのコストだけが違う計算になる。
水の次に売れているものは?
カテゴリ別にまとめると、構図はシンプルだ。**飲料・食品・日用品の3つで68%**を占める。
📦 クーパン販売数量上位188SKUのカテゴリ構成
| カテゴリ | SKU数 | 割合 | 代表アイテム |
|---|---|---|---|
| 飲料 | 59 | 31.4% | 水19・コーヒー14・炭酸9・牛乳5 |
| 食品 | 36 | 19.1% | 調味料12・ラーメン5・卵3・即席ご飯2 |
| 日用品 | 33 | 17.6% | 乾電池6・殺虫剤6・洗濯洗剤6・掃除5 |
| キッチン | 10 | 5.3% | 使い捨て用品(紙コップ・ストロー・手袋)9 |
| ビューティー | 9 | 4.8% | シェーバー3・クレンジング2・ボディケア2 |
| ファッション雑貨 | 8 | 4.3% | 傘2・ウォーターシューズ2・靴下2 |
| オフィス | 6 | 3.2% | コピー用紙2・文房具4 |
| デジタル | 5 | 2.7% | 液晶保護フィルム2・PC周辺機器2 |
| ヘルス | 5 | 2.7% | コンタクトレンズ洗浄液2・消化薬・妊娠検査薬 |
| その他 | 17 | 9.0% | ペット4・家電3・工具3・スポーツ3・育児2・自動車2 |
衣類と家電製品はほぼない。 ファッション雑貨8品は傘・靴下・ウォーターシューズといった消耗品で、デジタル5品も液晶保護フィルム・マウス・有線イヤホン。スマートフォン・ノートパソコン・ブランド品は上位188品の中にひとつもなかった。
理由は並べ替えの基準にある。販売数量順は「どれだけ頻繁に買うか」を示している。どんなに高くても3年に1度しか買わないノートパソコンは、毎週買う水には勝てない。だからこのリストは韓国人の財布の大きさではなく、韓国人の生活リズムを映しているのだ。
いくらのものを買うのか——78.7%が2万ウォン未満
💰 販売価格分布(188SKU)
| 価格帯 | SKU数 | 割合 |
|---|---|---|
| 5,000ウォン未満 | 20 | 10.6% |
| 5,000〜9,999ウォン | 55 | 29.3% |
| 10,000〜19,999ウォン | 73 | 38.8% |
| 20,000〜29,999ウォン | 29 | 15.4% |
| 30,000ウォン以上 | 11 | 5.9% |
中央値は11,945ウォン(約8.19ドル)、平均は14,196ウォン。最高額はハギス(하기스)のパンツタイプおむつ80枚(60,900ウォン、約41.7ドル)、最安はオットゥギ(오뚜기)のニューシュガーパウダー60g(590ウォン、約0.40ドル)だった。
3万ウォンを超えた11品も性格は同じ。おむつ80枚、コーヒーミックス320スティック、米10kg、ラーメン40食——高いモノではなく、たくさん入った消耗品である。
なぜ大容量ばかりなのか
商品名に20個以上と記載されたSKUは188品中82品(43.6%)。紙コップ1,000個、排水口ストレーナー500個、コーヒーミックス300スティック、ラーメン40食、乾電池20本入り。
クーパンの送料無料ポリシーとロケット配送がこのパターンを生んだ。配送料がゼロなら、1回にまとめてたくさん買うほど単価が下がり、損をする理由がない。そこに韓国のマンションにある広めのパントリーやベランダ収納が加わる。「ジャンギョダ(쟁여둔다=買いだめする)」という言葉は、韓国のオンラインショッピングの基本動詞なのだ。
韓国人のコーヒーはスティックだ
飲料の中で水の次に多かったのは**コーヒー(14SKU)**で、そのうち10品がスティックタイプのインスタントコーヒー。マキシム(맥심)モカゴールド、フレンチカフェ(프렌치카페)、カヌ(카누)、ベトナム産G7——豆やカプセルは500gの豆コーヒーが1つだけだった。
☕ スティックコーヒー10種の単価(販売価格 ÷ 商品名記載のスティック数)
| 商品 | 販売価格 | スティック数 | 1本あたり |
|---|---|---|---|
| フレンチカフェ カフェミックス マイルド | 38,250ウォン | 300 | 128ウォン |
| マキシム モカゴールド マイルド(2箱) | 46,880ウォン | 320 | 147ウォン |
| マキシム モカゴールド マイルド | 23,600ウォン | 160 | 148ウォン |
| マキシム モカゴールド マイルド | 39,250ウォン | 250 | 157ウォン |
| マキシム モカゴールド マイルド | 16,280ウォン | 100 | 163ウォン |
| G7 ピュアブラック コーヒーミックス | 36,170ウォン | 200 | 181ウォン |
| マキシム スプレームゴールド | 24,960ウォン | 130 | 192ウォン |
| マキシム デカフェ | 20,680ウォン | 100 | 207ウォン |
| G7 ブラックコーヒー | 20,810ウォン | 100 | 208ウォン |
| カヌ デカフェ アメリカーノ ミニ | 25,220ウォン | 120 | 210ウォン |
中央値はスティック1本あたり172ウォン(約0.12ドル)。ソウルのカフェでアメリカーノ1杯が4,500〜5,000ウォンであることを考えると、26〜29倍の開きだ。
韓国のオフィスの給湯室や家庭の戸棚にコーヒーミックスの箱が山積みされている理由がここにある。マキシム モカゴールド100個入りのレビュー数は68万7,000件——このリスト全体で5位の多さだ。
7月のリストだから見えるもの
販売数量ランキングは、データを取得した日の季節をそのまま映す。2026年7月29日時点のリストで、夏物商品は22品だった。
冬に同じ調査をすれば、この場所はカイロ・加湿器・電気毛布で埋まるだろう。この記事の数値を引用する際は、2026年7月末時点のスナップショットであることをあわせてお伝えしたい。
割引率60%は信用できるのか
188品のうち**110品(58.5%)**に割引バッジがついていた。表示された割引率の中央値は35%で、50%以上の割引は23品(割引商品の20.9%)だった。
🏷️ 割引率の分布(割引バッジがついた110品基準)
| 割引率 | SKU数 |
|---|---|
| 0〜9% | 14 |
| 10〜29% | 31 |
| 30〜49% | 42 |
| 50%以上 | 23 |
半数以上の商品に常時ついている数字なら、それは割引ではなく価格表示の一部である。カンジャンケジャン36品の価格を全数調査したときも同じ結論が出た。50%以上割引商品の100gあたり単価は、20%未満の割引商品よりむしろ安かった——大きな割引率は大衆向け低価格ラインの販売戦略であり、プレミアムラインは最初から割引をしないからだ。
韓国オンライン価格の読み方
- 定価・割引率は無視して、単位あたり価格だけを見る。 クーパンは商品名の下に必ず
100mlあたり○○ウォン、1個あたり○○ウォンを表示している。比較はこの数字だけで十分。 - 「ワウ割引」「クーポン割引」は条件付き。 バッジに「ワウ」とあれば、月7,890ウォンの有料会員向け価格。非会員にはその値段は通用しない。
- レビュー数が販売履歴。 このリストの上位はレビュー10万件以上が34品。同じ価格帯でレビューが数百件しかなければ、新商品か回転の遅い商品だ。
- 価格は時間単位で変わる。 クーポン・在庫・競合価格に応じて1日の中で何度も動く。この表は特定時刻のスナップショットである。
クーパンPBが12%を占める
上位165商品ページのうち**20ページ(12.1%)**がクーパンのプライベートブランドだった。タムサ(탐사)(水・日用品)、コメット(코멧)(キッチン・オフィス消耗品)、コムコム(곰곰)(食品)、ホームプラネット(홈플래닛)(電機・乾電池)の4つである。
🏷️ 販売数量上位に入ったクーパンPB——順位順抜粋
| 順位 | 商品 | 販売価格 | 単位あたり |
|---|---|---|---|
| 3位 | タムサ サンムル ノーラベル 2L 36本 | 15,990ウォン | 100mlあたり22ウォン |
| 16位 | タムサ 実用型トレーニングパッド 100枚 | 6,190ウォン | 1枚あたり62ウォン |
| 36位 | タムサ コピー用紙 80g A4 500枚 | 5,190ウォン | 10枚あたり104ウォン |
| 41位 | コメット 竹箸 100本入り×2 | 3,820ウォン | 1本あたり19ウォン |
| 74位 | ホームプラネット アルカリ乾電池 AAA 20本 | 5,390ウォン | 1本あたり270ウォン |
| 134位 | コメット シンク排水口ストレーナー 500個 | 7,140ウォン | 1個あたり14ウォン |
| 139位 | タムサ 無地印刷紙コップ 185ml 1,000個 | 13,490ウォン | 1個あたり13ウォン |
| 164位 | コムコム 氷 3kg×2袋 | 7,350ウォン | 10gあたり12ウォン |
パターンは明瞭だ。ブランドが重要でないものに限って、PBが上位に食い込む。水・紙コップ・ストレーナー・A4用紙・乾電池。逆にラーメン・コーヒー・牛乳など味とブランドロイヤルティが関わるカテゴリでは、PBは上位188品にほとんど入っていなかった(コムコム牛乳1つだけ)。
同じ乾電池でも、デュラセルAAAは1本695ウォン、ホームプラネットAAAは270ウォン——2.6倍の差。ところがデュラセルが20位、ホームプラネットが74位とブランドが勝っている。韓国の消費者も、「どこまでPBで妥協するか」を品目ごとに使い分けているということだ。
ラベルがない——水19品のうち18品
リストを眺めていて目につく言葉がムラベル(무라벨、ノーラベル)だ。水の19SKUのうち18品が、商品名に「ムラベル」(または「ユラベル=ラベルあり」)を付けていた。
ムラベルとは、ペットボトルにビニールラベルを巻かない方式のこと。韓国では2021年からリサイクル促進のためラベルなしのミネラルウォーター販売を制度的に推進し、5年でオンライン販売数量の上位が事実上すべてムラベルに切り替わった。
旅行者にとっても意味のある話だ。韓国のコンビニやスーパーで買った水にラベルがなくてブランドがわからなくても、それは不良品ではなく正常である。ブランドはボトルのキャップや本体に刻印されているだけだ。
旅行者はこのデータをどう使うか
正直なところ、このリストの商品の大半は旅行者が買えないか、買う必要がないものばかりだ。ラーメン40食や紙コップ1,000個は宿泊先では手に負えないし、クーパンはアカウント作成や決済の壁もある(旅行者向けアプリ別利用可否はこちら)。
だからこそ、このデータの本当の価値は価格のベンチマークにある。
🧭 旅行中に使えるベンチマーク
| アイテム | オンライン単価(実測) | 旅行中の活用 |
|---|---|---|
| ミネラルウォーター | 2Lまとめ買いで1Lあたり約265ウォン(約0.18ドル) | スーパーで6本入りを買えば、コンビニでバラ買いするより大幅に安い |
| コーヒーミックス | スティック1本あたり128〜210ウォン(中央値172ウォン) | お土産として最もコスパが高い。100個入りで16,280ウォン |
| ラーメン | シンラーメン40食 29,820ウォン=1袋あたり746ウォン | 袋別単価の全数表は別記事 |
| 乾電池 | アルカリAAA 1本あたり270〜695ウォン | ブランドによって2.6倍の差 |
| 即席ご飯 | ヘッパン(햇반)210g 36個 37,900ウォン=1個あたり1,053ウォン | コンビニ価格と比べるとコンビニプレミアムが実感できる |
お土産に買うべきもの/買わないほうがいいもの
- おすすめ: コーヒーミックス(軽い・壊れない・単価が安い)、ラーメンの小包装、調味料類(ごま油・すりごま・ミウォン=MSG調味料)。リスト上位の調味料12種はそのままお土産候補。
- 微妙: 化粧品・クレンジングフォーム。リストにあるセンカ(洗顔料)は日本のブランドで、韓国コスメはオンラインより店頭の1+1セールのほうがお得なケースが多い。
- 買わないほうがいい: 水・牛乳・卵・豆腐などの生鮮・重量品。重さに対する価値が低く、持ち出しも難しい。
- 液体類(しょうゆ・食用油・洗剤)は機内持ち込み制限あり。預け入れ荷物にしても破損対策を忘れずに。
まとめ——販売数量が語る韓国
取引額で見れば、韓国ECは出前と旅行商品の市場である。ところが販売数量で見れば、水とコーヒーとラーメンと殺虫剤の市場だ。
このリストに華やかなものは何ひとつない。1位から188位まで、すべてが「使い切ったらまた買わなければならない」ものばかり。韓国のEC浸透率が世界で最も高い理由は、人々がオンラインで特別なものを買うからではなく、最も平凡なものをオンラインで買うからだ。水でさえも。
データと出典
- 商品名・販売価格・単位あたり価格・レビュー数・割引率:2026年7月29日にクーパンでカテゴリフィルターなしで販売数量順にソートした上位188SKUを画面から直接収集。容量オプションの重複を整理し、165商品ページとして集計。
- カテゴリ分類・価格帯分布・単価中央値・割引率統計:上記188の原データを直接計算。カテゴリ区分は本記事の独自分類であり、クーパンの公式カテゴリとは異なる。
- スティックコーヒー・ラーメン・即席ご飯の単価:販売価格 ÷ 商品名記載数量で算出。
- 為替レート:1 USD = 1,459.45 KRW(2026年7月28日、Frankfurter / ECB基準)。
- オンライン価格はクーポン・有料会員・在庫状況により時間単位で変動する。上記数値は2026年7月29日時点のスナップショットである。
- 販売数量順のソートはクーパンの内部アルゴリズムによるもので、実際の販売数量は公開されていない。順位は相対的な人気指標としてのみ参照すべきである。
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