まず結論から

  • I'PARKモールは延床面積33万㎡。COEXモール(11万9千㎡)の2倍を超える巨大さで、4つの館が龍山駅をぐるりと囲んでいるため、地図なしで入るとまず迷う。
  • 龍山電子商街は半分以上が消えた。ナジン商街の大半は取り壊され、2026年現在残っているのはソンイン商街と電子ランドのみ。「行ける最後の時期」といっていい。
  • 線路の向こう側では龍山国際業務地区が2025年11月に着工。2031年にはこの一帯のスカイラインが一変する。

なぜ龍山駅なのに、誰もちゃんと説明してくれないのか?

ソウル旅行の情報で「龍山」はいつも断片的にしか出てこない。国立中央博物館は二村(イチョン)、戦争記念館は三角地(サムガクチ)、梨泰院(イテウォン)は梨泰院、ソウル駅は中区(チュング)。ところが龍山駅ど真ん中の話はほとんど見当たらない。理由は簡単だ。ここが過去20年ずっと工事中だったからである。

今の龍山駅一帯は三層構造になっている。駅に直結した巨大ショッピングモール(I’PARKモール)、線路西側の消えゆく商店街(龍山電子商街)、そしてその間の空き地でようやく始まった龍山国際業務地区。ひとつの街に過去・現在・未来がこれほど露骨に重なっている場所は、ソウルでも珍しい。

33万㎡
I'PARKモール龍山店の延床面積(COEXモール11万9千㎡の約2.8倍)
1987
龍山電子商街オープン — 2030年代に大部分が取り壊し予定
2031
龍山国際業務地区の入居目標(2025年11月27日着工)

I'PARKモールはなぜこんなにわかりにくいのか?

ひとつの建物ではなく、4つの館が龍山駅をぐるりと取り囲んでいるからだ。普通のショッピングモールのように「1階から上へ」上がる構造ではなく、駅のコンコースを中心に四方へ広がっている。だから同じ4階でも館が違えばまったく別の場所に出てしまう。

これだけ覚えれば大丈夫。龍山駅コンコース = I’PARKモール3階。KTXや京義中央線の改札を出たそのフロアがすでにモールで、左右どちらに行っても店が続いている。

🏬 I'PARKモール4館 — 龍山駅コンコース基準の方向

コンコース基準の位置特徴代表店舗
ザ・センター南東側(円筒形)雑貨・SPA・デザートオリーブヤング、ダイソー、H&M、ユニクロ、オールドフェリードーナツ
ファッションパーク東側ファッション・スポーツムシンサメガストア、ZARA、シェイクシャック、ティムホーワン
リビングパーク南西側キダルト・家具・飲食街ドーパミンステーション、レゴ、ポップマート、ヨンプン文庫
テイストパーク北西側飲食街専用韓・中・日・タイ料理店 約60軒

迷わないコツ

  • 目的地を探すときは階数より先に館の名前を確認すること。「6階」ではなく「リビングパーク6階」。
  • 食事が目的ならテイストパーク4〜7階またはリビングパーク7階の2か所だけで十分。
  • 映画はコンコース北東側6〜8階のCGV。免税店は北西側3〜7階で、正反対の方向なので要注意。
  • 地下1〜2階はイーマート龍山店。買い出しがあるならここから始めて上へ上がるほうが荷物が軽く済む。

ここでしか体験できないもの

🎮
ドーパミンステーション
リビングパーク3階。2025年6月オープンした約6,500㎡の体験型空間に40以上のコンテンツ。キャラクター・ゲーム・K-POPグッズが集まり、1日平均3万人が通る。
👕
ムシンサ メガストア
ファッションパーク2階。2025年12月オープンの国内最大規模。オンラインでしか見られなかった韓国ブランドを一堂に試着できる。
🎬
CGV龍山I'PARKモール
6〜8階。国内唯一のIMAX GT上映館と世界唯一の4面SCREENX館を備えたフラッグシップ。スクリーンの大きさゆえに遠方から足を運ぶ観客が多い。
ザ・ベースフットサルコート
リビングパーク9階屋上。ショッピングモール内のフットサルコートとしては国内最大。5面のコートが欧州有名クラブのスタジアムを模してデザインされている。
🧸
リビングパーク6階
レゴストア、ポップマート、バンダイナムココリア、どんぐりの森(ジブリ)、マーベルストア、無印良品がワンフロアに集結。子連れならここで一日が終わる。
🎾
ザ・ルーフトップパデルコート
ザ・センター7階屋外。2024年4月オープン、国内の流通業界初の屋外パデルコート4面。隣にカフェテリアラウンジ併設。

📍 Naverマップで開く

🕙 営業時間・駐車場 概要

項目内容
営業時間(日〜木)10:30–20:30
営業時間(金〜土)10:30–21:00
1〜3階・ファッションパーク4階10:30–22:00
駐車基本料金10分ごと300ウォン(約30円)
駐車割引購入2万ウォン以上で1時間 / 10万ウォン以上で4時間 / CGVチケットで3時間
KTX利用客乗車券提示で駐車料金50%割引

駐車場が「해(太陽)・달(月)・별(星)」と呼ばれる理由

地上南西側が太陽(ヘ)駐車場、地上北東側が月(タル)駐車場、地下が星(ビョル)駐車場。免税店は太陽、CGVは月、イーマートは星に停めるのが最も動線が短い。駐車券はなくレシートが駐車券代わりだが、精算機がレシートを読み取れないため、必ず店舗スタッフに駐車登録を依頼すること。


龍山電子商街には、まだ行けるのか?

半分以上が、もう存在しない。1987年の開業時、22棟を束ねてYバレーと呼ばれたこの一帯は、2022年から本格化した再開発によってナジン商街のほとんどが姿を消した。2026年現在、かつての面影を残して営業しているのはソンイン商街(21・22棟)と電子ランド(1〜3棟)のみだ。

🏚️ 龍山電子商街 棟別の現状(2026年8月現在)

エリア商街名状態
1〜3棟電子ランド営業中(整備計画策定中)
4〜7棟ウォニョ(元暁)商街営業中(整備計画策定中)
8〜9棟旧ターミナル商街取り壊し完了 → ソウルドラゴンシティホテル(2017年開業)
10〜13棟ナジン商街取り壊し完了
14棟ナジン電子ワールド取り壊し予定
15棟ナジン トッケビ(鬼)商街取り壊し完了
16棟農協・ハナロマート2024年12月閉店、再開発予定
17〜18棟ナジン商街取り壊し中 → 地上26階 AI・ICTオフィス棟(2030年完成目標)
19〜20棟ナジン商街取り壊し完了
21〜22棟ソンイン商街営業中、住商複合再開発を協議中

ここまで来たなら、名前そのものが消えることも知っておきたい。チョンパロとセチャンロが交わる龍山電子商街交差点は、「もはや電子商街ではない」という理由で名称変更が予定されている。

電子商街ができる前は、キムチ市場だった

いま商街が建っている場所は、もともとマンチョチョン(万草川)という小川が流れる青果・キムジャン(越冬キムチ)市場だった。1980年代に河川を暗渠化して商人たちを可楽洞(カラクドン)市場へ移し、その後チョンゲチョン(清渓川)やセウン(世運)商街の電子商人たちを移住させて、1987年に電子商街が誕生した。商街のど真ん中にぽつんと農協ビル(16棟)が残っていたのが、市場時代の最後の名残だった。

今行って、何が買えるのか?

安く買いに行く場所ではない。2010年以降は取引の中心がオンラインへ移り、残った店舗の大半は物流倉庫や修理受付、ネット通販業者の事務所だ。対面販売もしているが、たいてい自社オンラインストアと同じ価格である。

1990〜2000年代、この場所の異名はヨンパリだった。相場を知らない客にぼったくる、という悪名が普通名詞になるほど定着していた。いまは正反対だ。スマホでリアルタイムに価格比較ができるようになり、店主のほうから比較サイトを見せて「ここより少し安くしますよ」と言ってくる光景が当たり前になった。

それでも龍山が有利なケース

  • 旧型の中古パーツ — ネットでは入手困難な旧世代のメモリやグラフィックボードがまだ流通している。
  • 即日受け取り — ネット注文して配送を待たず、その場で引き取りたいという需要は依然として多い。
  • 修理・アフターサービス — メーカーのサービスセンターと個人経営の修理店が密集しており、一度に複数の店を比較できる。
  • 記録としての訪問 — 数年後には見られない風景だ。写真を撮りに来る人が実際に増えている。

📍 龍山電子商街 Naverマップで開く 📍 電子ランド龍山本店 Naverマップで開く


線路の向こう側では、何が起きているのか?

龍山駅東側の旧鉄道車両基地跡地——ソウル都心に最後に残された大規模遊休地で、龍山国際業務地区が2025年11月27日に着工した。計画が発表されてから実に10年以上を経て、ようやく鍬が入った事業だ。

100
ランドマークタワーの計画高さ — 最上階に展望台・空中庭園
2031
入居目標時期
26
ナジン商街17・18棟の跡地に建設予定のAI・ICTオフィス棟

低層部にはコンサートホール、アートミュージアム、複合文化図書館が、地下には広域乗換センターが整備される予定だ。電子商街の再開発もこの事業と連動している。チョンパロの拡幅や電子商街高架道路の撤去を含む道路計画も同時に組まれており、商街の取り壊しペースは国際業務地区の工程と連動する。


龍山駅だけじゃない、周辺には何がある?

龍山駅は歩いて行ける場所が四方にあるのに、互いにつながっていない街だ。どの方向に足を延ばすかで、まったく違う一日になる。

🏛️
国立中央博物館
二村(イチョン)駅方面。所蔵品の規模で世界トップクラスの博物館で、常設展示は無料。広いので半日は見ておきたい。
🎖️
戦争記念館
三角地(サムガクチ)駅方面。屋外展示場の実物の航空機や戦車を見ているだけでも時間が溶ける。韓国人にとっては観光地というより日常の空間に近い。
🌳
龍山子どもの庭
旧米軍基地の返還跡地。2025年12月30日から事前予約なしで入場可能。ただし土壌汚染をめぐる論争は続いている。
🍽️
ヨンリダンギル
新龍山(シニョンサン)駅〜三角地駅の間の路地裏。2020年代にソウルで最も急速に台頭した飲食エリアのひとつで、夜はウェイティング必至。
🏨
ソウルドラゴンシティ
旧ターミナル商街の跡地に2017年オープンしたホテル複合施設。龍山駅と歩道橋でつながっており、キャリーケースを引いての移動が楽。
🍲
ヨンムン(龍門)市場
ヒョチャン公園前(孝昌公園前)駅方面、徒歩圏内。早朝5〜6時に開くヘジャンクク(酔い覚ましスープ)の老舗3軒が集まっており、朝食にも使える。

📍 国立中央博物館 Naverマップで開く 📍 戦争記念館 Naverマップで開く 📍 龍山子どもの庭 Naverマップで開く

おすすめの1日コース

おすすめルート — 約6時間

  • 10:30 I'PARKモール開店と同時にリビングパーク3階ドーパミンステーションから。午後は混雑する。
  • 12:00 テイストパーク4〜7階で昼食。フロアごとにカラーが違うので一周見てから決めるのがコツ。
  • 13:30 歩道橋を渡って龍山電子商街へ。ソンイン商街と電子ランドを見て回り、取り壊し区間の空き地を確認。
  • 15:00 再びモールに戻り、ファッションパークのムシンサメガストア、またはリビングパーク6階のキダルトゾーンへ。
  • 17:00 CGVでIMAX GTを1本、または新龍山駅方面のヨンリダンギルへ繰り出して夕食。
  • 雨の日なら電子商街をカットしてモール内だけで動いても十分に一日が埋まる。

いつ行くのがベストか

モール中心なので季節を問わない。ただし電子商街エリアは取り壊し工事が進行中のため平日の昼間に行くほうが安全で視界もきく。週末午後のI'PARKモールはソウル有数の混雑スポットになるので、ゆったり見たいなら平日の開店直後がベスト。


データと出典

  • I'PARKモール公式 — フロアガイド(館・フロア構成、入居店舗)
  • ナムウィキ — I'PARKモール龍山店(延床面積、ドーパミンステーション・フットサルコート・パデルコートの規模、駐車料金表)
  • ナムウィキ — 龍山電子商街(開業の経緯、22棟の構成、棟別取り壊し状況、キムチ市場の由来)
  • ヘラルド経済・韓国建設新聞 — ナジン商街17・18棟の建築審議通過、地下9階〜地上26階のAI・ICT業務拠点造成計画(2030年完成目標)
  • ソウル市 — 龍山国際業務地区 · ソウル市メディアハブ(2025年11月27日起工式、100階建てランドマーク、2031年入居目標)
  • 韓国政策ブリーフィング・京郷新聞 — 龍山子どもの庭の全面開放(2025年12月30日事前予約廃止)および土壌汚染論争の報道

営業時間・駐車料金・取り壊し状況は2026年8月時点のオンライン資料に基づき、現地確認前です。特に電子商街は工事の進行によりアクセス可能エリアが随時変わるため、訪問直前に再確認することをおすすめします。

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