まず結論から

  • 2025年の外国人患者は201万人 — 2009年の集計開始以来、初の200万人突破。3年連続でほぼ倍増。
  • 10人中6人が皮膚科(62.9%)。形成外科11.2%を加えると美容診療が74%
  • 中国・日本で全体の60.6%。中国が1年で日本を抜いて1位に返り咲き(+137.5%)。
  • 87.2%がソウルで診療を受け、87.7%が医院レベル(クリニック)を利用。
  • ⚠️ 2026年1月から美容形成の付加価値税還付が消滅。実質費用が約10%上昇したということ — 延長法案は国会審議中。

明洞(ミョンドン)や江南(カンナム)駅の地下商店街を歩けば、日本語・中国語の看板を掲げた皮膚科が1ブロックに3〜4軒は並んでいます。それが体感ではなく統計だということを、保健福祉部が2026年4月に発表した資料が示しています。

2025年の外国人患者は正確に何人か?

201万1,822人です。 2009年に政府が外国人患者統計の集計を始めて以来、初めて年間200万人を超えました。

201万人
2025年実患者数(延患者数272万人)
17
2020年(12万人)比、5年間の成長幅
201カ国
2025年の1年間に患者を送り出した国の数
706万人
2009年からの累積実患者数

回復のスピードが異様です。コロナで12万人まで落ち込んだ市場が、2023年61万、2024年117万、2025年201万と3年連続でほぼ正確に2倍ずつ跳ね上がりました。

📈 外国人患者数の推移(実患者ベース)

年度患者数前年比
202012万人コロナで急減
202361万人
2024117万人+93.2%
2025201万人+72.2%

実患者数と延患者数の違い

政府統計には2つの数字が併記されます。実患者数は人数(201万人)、延患者数は診療を受けた回数をすべて合計した値(272万人)です。つまり1人あたり平均1.35回の診療を受けたことになります。ニュースで引用される「200万人」は実患者数ベースです。

外国人患者は何をしに来るのか?

直答します:圧倒的に皮膚科です。 全患者の62.9%にあたる131万3千人が皮膚科の診療を受けました。

🏥 2025年 診療科別 外国人患者(上位4科)

診療科患者数割合2024年比
皮膚科131.3万人62.9%+86.2%
形成外科23.3万人11.2%+64.3%
内科統合19.2万人9.2%+54.9%
検診センター6.5万人3.1%

皮膚科と形成外科を合わせると74.1%。残り26%を健康診断・内科・歯科・産婦人科などで分け合う構造です。韓国の医療観光は、事実上美容医療観光と呼んでも差し支えない水準です。

増加率で見ると順位が少し変わります。最も急伸したのは皮膚科ではなく**歯科医院(+128.9%)**でした。その次が皮膚科(+86.2%)、形成外科(+64.3%)、産婦人科(+62.6%)と続きます。インプラントや矯正など、自国では高額な歯科治療を韓国で済ませようという流れが新たに生まれつつあることのシグナルです。

医院レベル87.7%。 外国人患者10人中9人近くが大学病院ではなく街のクリニックに行きました。総合病院3.6%、上位総合病院3.0%にとどまります。上位総合病院の外国人病床占有率は1%未満で、法定上限(上位総合5%・総合病院8%)に遠く及びません。「外国人患者のせいで韓国人が大学病院の枠を取れない」という通念と、実際のデータは異なります。

どこの国の人たちが来ているのか?

2025年の最大の変化は中国の復帰です。61万9千人で前年比137.5%増となり、1年で日本を抜いて1位を奪還しました。

🌏 2025年 主な国籍別 外国人患者

順位患者数割合2024年比
1中国61.9万人30.8%+137.5%
2日本約60.0万人約29.8%
3台湾18.6万人9.2%+122.5%
4アメリカ17.3万人8.6%+70.4%
5タイ
カナダ2.4万人+59.1%
インドネシア2.1万人+104.6%
ロシア2.0万人+21.9%
カザフスタン1.5万人+4.9%
マレーシア1.2万人+106.8%

三つの点が目を引きます。

国によって受ける施術は違うのか?

はい、はっきりと違います。これがこの統計で最も興味深い部分です。

💉 国籍別 診療傾向(保健福祉部発表 + 業界分析 総合)

主な診療傾向特徴
中国高額リフティング施術をまとめて1回の訪韓でウルセラ・サーマジ+リジュランなど複合施術。1人あたり単価は最高水準
日本コスパ重視の再生・水光施術施術後に薬局で再生クリーム購入へとつながる消費パターン
台湾皮膚科・形成外科が急増2025年 +122.5%と爆発的に増加
アメリカ診療科分散型皮膚科44.3%、内科統合13.2%、形成外科9.3% — 美容偏重が最も低い
タイ形成外科が急増皮膚科+62%、形成外科+140.9%
シンガポール形成外科が爆増皮膚科+56.9%、形成外科+280.1%
ロシア内科・検診 → 皮膚科へ移行かつては検診中心だったが、2025年は主要科目が皮膚科に変化
カザフスタン内科・検診を維持唯一、従来のパターンを維持

アメリカ人患者の構成比に注目すべきです。 全体平均では皮膚科が62.9%ですが、アメリカ人は44.3%です。残りを内科・形成外科・検診などが均等に分け合っています。アジア圏の患者が「美容施術を受けに」来るのに対し、米州の患者は相対的に総合検診と一般診療をあわせて受ける割合が高いということです。


なぜ87%がソウルに集中するのか?

87.2%
ソウルで診療を受けた外国人患者の割合(176万人)
2,555カ所
ソウル所在の誘致登録医療機関数(全国の62.5%)
87.7%
医院(クリニック)レベルの利用率

📍 2025年 地域別 外国人患者の割合

地域割合
ソウル87.2%
釜山3.8%
京畿道2.7%
済州2.3%
仁川1.3%

登録機関の62.5%がソウルにあるのに、患者は87.2%がソウルに行きます。機関の集中度より患者の集中度のほうが高いのです。 病院数だけでは説明がつかず、空港アクセス・通訳・ショッピング・宿泊がワンセットで回る動線がソウルにしかないということです。実際、皮膚科の施術はほとんどが当日施術+翌日観光が可能で、医療と観光の境目がほぼありません。


2026年に変わったこと:美容形成の付加価値税還付が消えた

ここからが2025年の統計には出てこない、今まさに韓国に来る人にとって最も重要な変化です。

外国人観光客が整形手術・顎顔面矯正術・皮膚科施術を受けると付加価値税(10%)の還付を受けられる特例がありました。この制度が2025年12月31日で終了し、2026年1月1日からは適用されていません。

大韓形成外科学会は2026年7月、ソウル医療観光政策フォーラムで、特例終了後に外国人患者が20〜30%程度減少したと把握されると発表しました。 外国人患者の割合が20〜70%に達する一部の大手形成外科の打撃が特に大きいとの説明です。

2026年4月に発議された租税特例制限法改正案(2027年12月31日まで延長)が2026年7月29日、国会財政経済企画委員会の小委員会に付託され、審議を控えています。通過するかはまだ決まっていません。

今、施術を予約するなら

  • 見積もりに付加価値税が含まれているか、まず確認してください。 2025年基準の口コミ・価格表を見てきた場合、実際の支払額が約10%高くなる可能性があります。
  • 還付可能と案内された場合、制度が復活したのか、病院独自の割引なのかを区別して確認してください。
  • 還付制度は元来指定医療機関で施術+施術日から3カ月以内に出国が条件でした。復活しても同じ条件が付く可能性が高いです。

この統計では捉えきれないこと

数字をそのまま信じる前に、知っておくべきことが三つあります。

統計の範囲

  • 誘致登録機関のみが集計対象です。 この統計は政府に外国人患者誘致医療機関として登録した機関が提出した実績です。登録していない病院で診療を受けた外国人は含まれません。つまり実際の数字は201万人より多い可能性があります。
  • 国内居住の外国人は除外されます。 健康保険加入の外国人、留学生、在韓外国人労働者はこの統計に入りません。純粋に診療を目的に訪韓した患者のみを数えています。
  • 1人あたり支出額は推定値です。 産業研究院の分析基準では、2025年の外国人患者と同伴者の総支出は12兆5千億ウォン、このうち純粋な医療費は3兆3千億ウォンと推算されます。生産誘発22兆8千億ウォン、付加価値誘発10兆5千億ウォンはいずれも誘発効果モデルに基づく推定です。

行きたい病院が登録された機関かどうか、どう確認する?

外国人患者を受け入れるには、医療機関は必ず政府に誘致医療機関として登録しなければなりません。登録機関は医療事故賠償責任保険への加入などの要件を満たしたところです。

30秒で確認する方法

  • 韓国保健産業振興院が運営する外国人患者誘致情報システム(medicalkorea.or.kr/korp)で病院名を検索すれば、登録の有無が表示されます。
  • 検索欄を空にして照会すると、登録された機関の全リストを見ることができます。
  • 病院名の前に付いた診療科表記で専門医の有無もあわせて確認してください — 看板の読み方は別途ガイドで扱います。
  • 仲介業者(誘致業者)を通す場合、その業者も別途登録されている必要があります。

まとめ

2025年に韓国を訪れた外国人患者201万人のうち、10人中6人は皮膚科で施術を受け、9人近くはソウルの街のクリニックに行きました。 中国がビザなし政策とともに1位に返り咲き、台湾は人口比で最も高い割合で韓国の病院を訪れました。アメリカ人は美容に偏らず、診療科をまんべんなく利用しました。

ただ、このグラフが2026年も同じ角度で伸びていくかは不透明です。成長を押し上げてきた三つの軸 — 中国ビザなし、K-ビューティーコンテンツ、付加価値税還付 — のうち、一つが2026年1月に欠けたからです。

データと出典

基準: 2025年年間実績(2026年4月発表)。制度情報は2026年8月4日基準。

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