まず結論から
- 外国人登録証(または居所申告証)があれば口座はほぼ確実に開けます。問題は開設ではなく最初にもらう口座が限度制限口座だという点です。
- 限度制限口座は1日窓口300万ウォン、ATM100万ウォン、インターネットバンキング100万ウォンまでしかできません。解除するには「この口座を何に使うのか」を証明する紙が1枚必要です。
- 非対面で最も確実なのはトスバンクとハナ銀行HanaEZ。窓口で楽なのは外国人特化店舗の多いハナ・新韓・ウリです。
韓国で通帳を作る作業は、もともと5分で終わる手続きでした。今は外国人でも韓国人でも、銀行窓口で「この口座はどこにお使いですか?」という質問を必ず受けます。この記事は、その質問がなぜ生まれたのか、何を持っていけば通るのか、銀行ごとにどう違うのかを整理したものです。
口座開設に必ず必要なものは何か?
三つです。外国人登録証、パスポート、本人名義の韓国携帯電話番号。このうち一つでも欠けると難易度が急激に上がります。
外国人登録証(ARC)は90日超の滞在者が出入国・外国人庁で受け取る身分証です。在外同胞(F-4)なら国内居所申告証が同じ役割を果たします。銀行にとってこのカードは単なる身分証ではなく実名確認証票です。金融実名法上、実名確認が可能な証票がなければ口座を開設できず、パスポートはそれ自体では国内滞在の事実と住所を証明してくれません。
本人名義の携帯電話も思ったより大きな壁です。OTPのSMS、本人認証、アプリログインがすべてここにかかります。順序を決めるなら外国人登録証 → 携帯電話の開通 → 銀行口座が最も摩擦が少ないです。
窓口に持っていくもの
- 外国人登録証の原本(コピーではない)
- パスポートの原本
- 本人名義の携帯電話(SMSを受信できる状態)
- 国内住所を書けるメモ — 賃貸借契約書や寮の配属通知書があればなお良いです
- 口座の使用目的の証明 — 勤労契約書、在職証明書、在学証明書のうち該当するもの
最後の項目が核心です。これを持っていかないと、口座は開きますが半分だけの口座として開きます。
90日未満の短期滞在者も口座を作れるのか?
原則的には可能ですが、実際にはほとんど断られます。
外国人登録証のない短期滞在者は「非居住者」に分類されます。一部の銀行窓口でパスポートと国内連絡先だけで非居住者口座を開いてくれることはありますが、これは国内不動産の取得や事業設立のように明確な資金目的があることが前提です。観光や短期訪問目的で頼むと断られるケースのほうがはるかに多いです。
開けても制約が厳しいです。インターネットバンキングと海外送金がまったく使えず、窓口取引だけが可能な形態がほとんどです。口座を開くのにかかる時間と失敗確率を考えると、90日以内の滞在なら口座なしで過ごすほうが合理的です。その方法は下で別に扱います。
限度制限口座とは正確に何で、いくらまでできるのか?
限度制限口座(金融取引限度口座)は金融取引の目的を証明する書類を出せなかった人に銀行が発行する制限版の口座です。2016年に導入され、外国人だけが経験するのではなく韓国人も同じように経験します。
限度は2024年5月2日から引き上げられた基準が適用されています。
| 取引方式 | 2024年5月以前 | 現在の1日限度 |
|---|---|---|
| 窓口(営業店)の出金・振込 | 100万ウォン | 300万ウォン |
| ATMの出金・振込 | 30万ウォン | 100万ウォン |
| インターネット・モバイルバンキングの振込 | 30万ウォン | 100万ウォン |
出典: 金融委員会の報道資料(2024年5月2日施行)。農協・ハナ・釜山銀行は同年5月10日適用。インターネット専門銀行は独自の基準に従います。
数字の感覚のために言うと、家賃80万ウォンはインターネットバンキングで送れますが、保証金500万ウォンは送れません。窓口に行く必要があり、それも300万ウォンが上限なので2回に分けなければなりません。
もう一つ知っておくべき点があります。過去にダミー口座や詐欺利用の履歴があった名義人の口座は、限度が解除された後も電子金融・ATM30万ウォン、窓口100万ウォンの低い限度が維持されます。本人が知らないうちに名義が盗用されていた場合もここに該当しうるので、限度が異様に低く設定されたら銀行に理由を尋ねてください。
なぜここまで厳しくなったのか?
ダミー口座のせいです。
ダミー口座とは、他人名義で開設されボイスフィッシングの資金洗浄に使われる口座を指します。韓国でボイスフィッシングの被害が急増するにつれて規制が強化され続け、2024年8月28日からは銀行が新規の入出金通帳を開設する際に金融取引の目的を確認する手続きが義務化されました。銀行員がやけに根掘り葉掘り聞いてくるように感じるなら、それは個人の不親切ではなく規定です。
目的確認の対象は新規開設だけではありません。限度解除の申請、6か月以上取引のなかった通帳の再利用、取引停止口座の復旧のときも同じ手続きを経ます。
知っておくと少しは納得できること
外国人だから断られるのではありません。銀行員が「外国人口座=危険」と決めつけて防御的に応対するケースがまったくないわけではありませんが、制度自体は国籍を区別しません。書類を揃えて行けば、たいていその場で処理されます。支店でやけに止められたら、別の支店、特に外国人特化店舗に行くほうが感情の消耗が少ないです。
限度を解除するには何を出せばいいのか?
口座をどこに使うかによって要求書類が異なります。銀行が求める目的別の証明はおおむね次のとおりです。
| 口座の使用目的 | 必要な証明書類 |
|---|---|
| 給与受取 | 在職証明書、勤労所得の源泉徴収領収書、健康保険の資格得失確認書 |
| アルバイト給与 | 雇用主の事業者登録証の写し、勤労契約書 |
| 留学・学費 | 在学証明書、入学許可書、学費の請求書 |
| 公共料金・管理費の支払い | 支払い領収書、賃貸借契約書 |
| 事業・フリーランス | 事業者登録証、物品供給契約書、税計算書 |
| 年金受取 | 年金証書、受給権者確認書 |
出典: KB国民銀行の金融取引目的確認の案内。銀行ごとに認められる範囲が少しずつ異なるため、訪問前に電話で確認するのが安全です。
同じ制度なのに銀行ごとに解除基準がまちまちだという指摘が絶えません。A銀行で断られた書類がB銀行では通ることもあります。だから一度断られたからといってあきらめる必要はありません。
窓口で使う文を準備していくとずっと楽です。
“限度制限口座を解除したいです。給与振込用で、在職証明書を持ってきました。” (Han-do-je-han-gye-jwa-reul hae-je-ha-go sip-seum-ni-da.)
英語が通じない支店なら、この文をそのまま画面に表示して見せるだけで半分は解決します。
銀行ごとに何が違うのか?
主要銀行の外国人顧客数はすでに相当な規模です。KB国民・新韓・ハナ・ウリ・NH農協・IBK企業の6銀行の外国人顧客は2025年4月基準で約770万人で、2022年の698万人から増えました。銀行が外国人顧客を新たな成長動力と見なし始め、サービスも急速に変わりつつあります。
| 銀行 | 外国人専用アプリ・チャネル | 非対面開設 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ハナ | HanaEZ(10言語以上) | 可能 | 外国人特化店舗16か所で最多。アプリ開設時に1ウォン認証用の他行口座が必要 |
| 新韓 | SOL Global(モバイル16言語) | 支店に問い合わせ | 日曜営業店4か所を運営(東大門・水原駅・釜山金融センター・城西) |
| ウリ | WONバンキンググローバル | 支店に問い合わせ | グローバルデスク8か所、国別の現地人スタッフを配置 |
| KB国民 | 外国人専用サービス・特化店舗 | 支店に問い合わせ | 海外送金サービスで48か国をカバー |
| NH農協 | 多言語翻訳サービスの拡大(13言語目標) | 支店に問い合わせ | 支店網が広く地方居住者に有利 |
| トスバンク | アプリ自体(韓国語中心) | 可能 | 2022年5月にインターネット銀行で初めて外国人の非対面開設を開始 |
| カカオバンク | 外国人サービス準備中 | 現在は制限 | 2026年10月に外国人デビットカード開始、第4四半期に口座開設・海外送金を予定 |
2026年9月確認基準。アプリ名と対応言語数は随時変わるため、実際の利用前に各銀行の公式案内を確認してください。
インターネット銀行はどうか
トスバンクが2022年5月2日、インターネット専門銀行の中で初めて外国人の非対面口座開設を開きました。外国人登録証、永住証、国内居所申告証のいずれかとスマートフォンがあればアプリで完了します。ただし信用貸付と当座貸越のような無担保与信は外国人顧客に提供されず、制裁対象国の国籍者は開設できません。
カカオバンクは状況が異なります。2026年8月基準で主要預金商品の加入対象が内国人と明示されている状態で、代わりに2026年10月の外国人デビットカードを皮切りに、第4四半期中に口座開設と海外送金まで段階的に開く計画を発表しました。この記事を読む時点で既に開いているかもしれないので、アプリから直接確認してください。
非対面開設の落とし穴
ハナ銀行HanaEZでアプリから口座を作る流れはこうです。言語選択 → 外国人選択後に携帯電話認証 → 外国人登録証の表裏撮影 → 顔認証 → メール・住所入力 → 商品選択 → 他行口座で1ウォン認証。
最後の段階が問題です。すでに別の銀行口座がなければ非対面開設が完了しない構造なので、韓国に着いたばかりで口座が一つもない人は、結局最初の口座を窓口で作らなければなりません。2つ目の口座からはアプリがずっと楽です。
平日に時間が取れないときはどうするか
日曜日に開いている銀行があります。外国人労働者が平日に時間を取るのが難しいという現実を、銀行が遅ればせながら受け入れ始めて生まれた変化です。
新韓銀行の日曜営業店(東大門・水原駅・釜山金融センター・城西)、毎週日曜10時〜15時
ウリ銀行のグローバルデスク運営店舗。金海金融センターは日曜10時〜16時
ハナ銀行の外国人特化店舗数、主要銀行の中で最多
地方銀行も動いています。光州銀行は光山区に38か国のリアルタイム通訳ができる外国人専用金融センターを開き、全北銀行は水原と安山に外国人特化店舗を運営します。BNK慶南銀行は外国人労働者専用窓口を7か所設けています。
デビットカードはいつ出るのか?
口座を作ると、たいていその場でデビットカードを申請できます。ただしカードの実物は通常数日後に郵送で届くか、支店で受け取る必要があるので、開設時にどちらかを確認しておいてください。
デビットカードは口座残高の範囲内でしか使えないカードなので信用審査がありません。一方クレジットカードは国内の信用履歴が必要で、外国人が初期に発行を受けるのは難しいです。韓国ではカード決済の割合が非常に高いため、デビットカード1枚あれば生活にはほとんど支障がありません。
注意すべき点は、限度制限口座の状態でもデビットカード決済自体はおおむねできますが、ATM出金は1日100万ウォンに縛られるということです。大きな現金が必要な日はあらかじめ計画してください。
稼いだお金を本国に送るには?
二つの道があります。銀行とフィンテック送金業者。
銀行送金は証明が核心です。外国人居住者が国内で稼いだ所得を海外に送るときは、パスポートと一緒に所得を証明する書類 — 給与明細書、所得金額証明、納税関連書類、保険・年金受取の証明など — を提出すれば、確認された金額だけ送金できます。証明なしで送れる金額は年間米ドル5万ドルが基準で、この限度には海外送金だけでなく本人名義の外貨預金と海外クレジットカードの使用額も含まれます。
もう一つ見落としがちなのが外国為替取引指定銀行です。証明を出すにせよ出さないにせよ、取引銀行1行を指定しなければならず、限度は銀行別ではなく全金融機関の合算で管理されます。複数の銀行に分けて送っても限度は増えません。
フィンテック送金はハンパス、セントビー、GMEのような少額海外送金業者を通す方式で、手数料が安くアプリで数分で終わります。外国人労働者の間で事実上の標準になりました。ただし1件あたりの限度が銀行より低く運用され、業者ごとに取り扱い国と到着速度が異なるので、2〜3社を比較してみるのが良いです。
口座なしで過ごす方法はないのか?
あります。90日未満の滞在なら、むしろこちらのほうが現実的です。
最も広く使われているのはWOWPASSのような外国人向けプリペイドカードです。全国に446台設置された専用端末で現金をチャージするか、アプリで海外クレジットカードからチャージでき、16通貨に対応します。決済手数料はなく、現金引き出しは1回1,000ウォンの手数料で最大10万ウォンまで可能です。T-money交通カード機能が入っており、地下鉄・バス・タクシーも同じカードで済みます。
海外クレジットカードは大型店舗・ホテル・フランチャイズでは問題なく使えますが、在来市場や小さな食堂、一部の無人キオスクでは拒否されることがあります。配達アプリと一部のオンラインショッピングモールは韓国発行カードしか受け付けないところが依然として多いです。プリペイドカードを1枚補助として持つ理由がここにあります。
滞在期間別の推奨ルート
90日未満 — 口座を試さず、プリペイドカード+海外クレジットカードの組み合わせ。時間とストレスを節約できます。
90日以上確定 — 外国人登録証の発行 → 携帯電話の開通 → 銀行窓口で最初の口座開設(証明書類持参) → 2つ目の口座からアプリを活用。
すでに口座はあるが限度がかかっている — 目的別の証明1枚を用意して外国人特化店舗を訪問。日曜営業店を使えば有給を取らずに済みます。
最後に
韓国の銀行システムは外国人に不親切というより不透明です。規定は国籍を問わないのに、その規定が何かを説明してくれる人が窓口にいないことが多いです。書類1枚の名前を知って行くか知らずに行くかが、その日の結果を分けます。
そしてこの分野は今急速に変わりつつあります。銀行が外国人顧客をめぐって競争を始め、日曜営業店と多言語アプリが増え続けています。1年前の情報がすでに間違っていることがよくあるので、実際に動く前に該当銀行の公式案内をもう一度確認することをお勧めします。
データと出典
- 金融委員会 — 限度制限口座の振込・ATM取引限度引き上げの報道資料(2024.5.2施行)
- 大韓民国政策ブリーフィング — 限度制限口座の振込・ATM限度30万→100万ウォンに引き上げ
- KB国民銀行 — 金融取引目的確認の証明書類案内
- KB国民銀行 — 留学生・永住権者・非居住者の海外送金限度と取引方法
- 全国銀行連合会の外為ガイド — 無証明海外送金の案内
- トスフィード — 外国人のトスバンク口座開設案内
- ニューシス — トスバンク、インターネット銀行で初の外国人非対面口座開設(2022.5.2)
- ファイナンシャルニュース — カカオバンクの外国人サービスリリース計画(2026.8)
- デイリーeニュース — 市中銀行の外国人顧客現況と特化サービス
- エコノミスト — 金融圏の外国人日曜店舗拡大現況(2026.4)
- WOWPASS公式サイト — チャージ方式・手数料・利用先