韓国のゴミのルールを扱った英語の案内は、ほぼ例外なくこう始まります。「ゴミ袋は区ごとに色と値段が違い、ある区で買った袋は別の区では使えない」

ソウルに限って言えば、この文は間違っています。 ソウル市が25区の条例をまとめて公開している資料を直接開いて確認しました。

まず結論から

  • ソウル25区の従量制袋の価格はすべて同じです。 5L 130ウォン・10L 250ウォン・20L 490ウォン・50L 1,250ウォン。区による違いは取り扱いサイズだけです。
  • ソウル市内なら他区の袋でも排出できます。 ただし京畿道・仁川などソウル市外の袋は使えません。
  • いちばん大事なルールは種類ではなく時間です。ソウルのゴミ出しは日没後から深夜0時までが原則で、戸建て・ヴィラは曜日制が厳格です。
  • 「ラーメンの袋を間違えて入れると罰金10万ウォン」という話は2025年に広がった誤情報で、政府が直接反論しています。
  • ソウルに街中のゴミ箱が少ないのは偶然ではありません。1995年の従量制導入後に意図的に撤去され、今また増やしているところです。

なぜゴミを捨てるのにお金がかかる?

韓国は1995年1月1日から全国でゴミの従量制を実施しています。根拠は「廃棄物管理法」で、処理手数料を指定された袋を買う方式で集めます。

つまり従量制袋の値段は袋代ではなくゴミ処理費の前払いです。袋の価格には収集・運搬費、搬入処理費、袋の製造費、販売店の利益がすべて含まれています。

だからルールは2本立てです

  • 一般ゴミ — 必ずその地域の従量制袋に入れます。お金がかかります。
  • リサイクル品 — 従量制袋は不要です。分別して出せば無料です。

制度の狙いはここにあります。分別を頑張るほど、買う袋が小さくて済みます。


ソウルの従量制袋はいくら?

490ウォン
20Lの従量制袋 — ソウル25区すべて同じ、2017年以降据え置き
130ウォン
5L袋。旅行者が数日使うならこのサイズで十分
792ウォン
釜山の20L平均価格。ソウルが特・広域市で最も安い
64.7%
ソウルの住民負担率 — 釜山89.9%、蔚山88.0%と比較

🗑️ ソウル各区の家庭用従量制袋の価格(ソウル市集計資料より)

サイズ価格取り扱い範囲
1L40ウォン道峰・冠岳・瑞草・江東など一部の区
2L60ウォン道峰・陽川・江西・永登浦・冠岳・瑞草・江東など
3L90ウォン多くの区
5L130ウォン25区すべて
10L250ウォン25区すべて
20L490ウォン25区すべて
30L740ウォン鐘路・恩平・西大門・瑞草・松坡などは取扱なし
50L1,250ウォン25区すべて
75L1,880ウォン城東・広津・城北・瑞草・江南・松坡などは取扱なし

鐘路区でも江南区でも麻浦区でも、20Lは490ウォンです。20L基準の価格推移は2014年平均340ウォン → 2015年440ウォン → 2017年490ウォンで、その後据え置かれています。

今後値上がりする可能性はあります

2026年1月1日から首都圏の生活廃棄物の直接埋立が全面禁止になりました。従量制袋のゴミをそのまま埋めることができず、焼却・リサイクルを経た残渣のみ埋立できます。処理費が上がる構造なので値上げ圧力はありますが、2026年8月現在、ソウルの区が490ウォンを実際に値上げしたという確認はありません。(2022年に値上げ説が報じられた際、ソウル市は公式に否定しました。)


袋はどこで、どう買う?

コンビニ(CU・GS25・セブンイレブン・イーマート24)、大型マート、町のスーパーで売っています。すべて区役所が指定した従量制指定販売店です。

コンビニで買うときの実践コツ

  • 袋は陳列棚にはありません。レジの後ろに置いてあるので、店員に直接言う必要があります
  • 韓国語で「スレギボントゥ ジュセヨ(ゴミ袋ください)」 — サイズは「20L」と数字で見せればOKです
  • 価格は条例の告示価格なのでコンビニ・マートどこでも同じです。1+1キャンペーン、通信会社割引、カード割引は適用されません
  • 小規模店舗は特定サイズしか扱わない場合があります。数日滞在なら5L(130ウォン)か10Lで十分です
  • 公式販売店の場所はソウル市「従量制物品販売所の位置案内」で検索できます

他区の袋の問題。 原則として従量制袋は販売された自治体でのみ使え、違反すると収集を拒否されたり不法投棄とみなされたりすることがあります。しかしソウル25区の間では、別の手続きなしに他区の袋の使用・排出が認められています。 ソウル市内で宿を移りながら過ごす旅行者にとっては、実質的に問題になりません。ただし京畿道・仁川の袋はソウルでは使えません。


何をどう分ける?

♻️ リサイクルできるもの vs 従量制袋に入れるもの(ソウル市公式分類)

区分リサイクル品へ一般ゴミ(従量制袋)へ
紙類新聞紙、封筒、包装紙、紙パック(牛乳パック)ビニールコーティング紙、スプリング付きノート、レシート
ガラス瓶酒類・飲料・ドリンク瓶乳白色の化粧品容器、鏡、白熱電球、瀬戸物、陶磁器
金属缶缶、鉄くず、エアゾール、ブタンガスペンキ缶、オイル缶、有害物質が付いた缶
プラスチックペットボトル、プラスチック容器類トレー、食器、灰皿、スリッパ、ホース、ゴム手袋、ゴムマット
ビニール類お菓子・ラーメンの袋、食品包装材、ビニール袋

迷いやすいものの基準

  • レシートはリサイクルできません。感熱紙なので紙ではありません
  • 陶磁器・グラス・鏡はガラスではありません。瓶だけがリサイクル対象で、あとは一般ゴミです
  • ラーメンやお菓子の袋はビニール類としてリサイクルされます。従量制袋に入れても重大な違反ではありませんが、ビニールとしてまとめて出すのが原則です
  • ブタンガス缶は穴を開けて中身を空にしてから出します
  • おもちゃのように複数の素材が混ざったものはリサイクルできません。一般ゴミです

透明ペットボトルは別に出す

2020年12月25日からアパート、2021年12月25日から戸建てで、無色透明ペットボトルの分別排出が義務化されました。他のプラスチックと混ぜてはいけません。

このルールには裏話があります。 2023年基準、無色ペットボトルの回収率は約87%に達しますが、実際に再びボトルになる食品用リサイクル(ボトル・トゥ・ボトル)の割合は2%水準にとどまります。回収はうまくいっているのに高品質なリサイクルにつながらないことが、現在の韓国リサイクル政策の最大の課題です。

生ごみ — いちばん難しい部分

韓国は生ごみを別に捨てます。ソウルの区は3つの方式が混在しています。

🍚 ソウルの生ごみ排出方式 3種類

方式やり方どこで見られるか
専用袋方式生ごみ専用(通常は黄色)の袋を買って出す戸建て・ヴィラの多く
納付フィル証(シール・チップ)専用の回収容器にシールを貼って出す一部の区、事業所
RFID世帯別計量機世帯カードをタッチして投入、重さで計量して管理費に課金アパート。衿川・永登浦・瑞草区は全面導入

Airbnb・1か月滞在の利用者がよくつまずくポイント

アパートの宿にRFID計量機が設置されていると、世帯カードがなければそもそも捨てられません。機械が開きません。チェックイン時にホストへ生ごみカードがあるか必ず聞いてください。なければ生ごみが出る料理は避けたほうが無難です。

生ごみとして出してはいけないもの

生ごみは飼料・堆肥としてリサイクルされるため、動物が食べられないものや設備を壊すものは除外されます。

🚫 生ごみ禁止品目(ソウル市公式)

区分禁止品目
野菜類小ネギ・長ネギ・セリの、唐辛子の種、玉ねぎ・ニンニク・トウモロコシの、トウモロコシの芯
肉類牛・豚・鶏の毛と骨
魚介類貝・牡蠣など貝類の殻、カニ・エビなど甲殻類の殻魚の骨、フグの卵・内臓

覚えられないなら、この原則ひとつ

「硬くて動物が食べられないものは一般ゴミ」です。骨、殻、種、ナッツの殻がここに当たります。逆に柔らかくて動物が食べられるものは生ごみです。区ごとに細かい表現が少しずつ違うので、あいまいな項目(卵の殻・ティーバッグ・コーヒーかすなど)はこの原則で判断すればほとんど当たります。


いつ出すか — 曜日と時間が本当のルール

旅行者がいちばん失敗するポイントです。韓国ではゴミをいつでも出せるわけではありません。 原則は夜間排出 — おおむね日没後から深夜0時までです。

🕕 麻浦区の公式排出基準(区の例)

項目内容
一般生活ゴミ・生ごみ日・月・火・水・木曜日
透明ペットボトル・ビニール類水曜日
その他のリサイクル品日・月・火・木曜日
排出時間11〜3月 18:00〜24:00 / 4〜10月 19:00〜24:00
排出禁止金曜日・土曜日

宿のタイプによってまったく違います

  • ホテル — 気にする必要はありません。客室のゴミ箱に捨てればOKです
  • アパート — 団地内の分別所に捨てます。曜日と時間は管理事務所が独自に指定し、通常は一般・生ごみが常時可能で、リサイクルは週1〜2回です
  • ヴィラ・戸建て — いちばん厳格です。決まった曜日の夕方に自宅の玄関前に出す「戸前排出」で、曜日を間違えると収集されず不法投棄の取締対象になります

区ごとに、さらに同じ区内でも町ごとに曜日が違います。チェックイン時にホストへ聞くのが唯一確実な方法です。

もうひとつ。中区の場合、排出時間より前に出したり、玄関前ではなく道路沿い・路地の入り口に出したりすると、1回目10万ウォン / 2回目20万ウォン / 3回目30万ウォンの罰金基準があります。時間と場所もルールの一部です。


罰金 — 正確にはいくらで、本当に科される?

法定上限は「廃棄物管理法」第68条第3項により100万ウォン以下です。不法投棄、排出方法違反、分別保管違反がすべてここに該当します。実際の金額は自治体の条例で定められます。

💸 実務上の科料基準(区の事例)

違反タイプ1回目2回目3回目
従量制袋に生ごみ・リサイクル品を混入して排出10万ウォン20万ウォン30万ウォン
排出時間・場所の違反(中区基準)10万ウォン20万ウォン30万ウォン
従量制袋を使わない(非規格袋)排出おおむね20万ウォン(条例により10万〜30万ウォン)

2025年秋に広がった罰金デマ

2025年下半期、YouTubeを中心に「10月から従量制袋にラーメンの袋を入れると罰金10万〜20万ウォン」という内容が大量に拡散されました。気候エネルギー環境部が公式に反論しています。

  • 2025年に分別排出の指針が改正されたことはありません
  • 中央政府が取締強化や罰金引き上げを要請したことはありません
  • 実際の自治体の科料基準は袋の中身の3分の1以上が誤って混入するなど重大・反復・悪質な違反に限られ、軽微な場合はほとんど口頭注意です

とはいえ取締りが緩いわけではありません。ソウル市のゴミ・廃棄物の罰金は2024年1〜10月だけで85,492件、月平均約9,400件です。不法投棄の通報件数も2022年10,702件 → 2023年16,323件 → 2024年10月まで18,259件と増えています。

まとめるとこうです。 分別をいくつか間違えただけで罰金を取られることは事実上ありません。取締られるのは、袋を使わない、あるいは決まった曜日・場所を無視してどこにでも出す行為です。


ソウルに街中のゴミ箱がないのはなぜ?

旅行者がいちばん不便に感じる点で、原因ははっきりしています。従量制のせいです。

1995年の従量制導入直後、袋代を節約しようとする家庭ゴミが街のゴミ箱に流れ込みました。自治体はゴミ箱を意図的に撤去しました。

🗑️ ソウルの街中ゴミ箱の数の変化

時点個数
1995年7,607個
2007年3,707個
2010年4,664個
2016年5,640個
2023年約4,835〜4,956個
また増やしているところです。 2023年10月、ソウル市は2023年末5,500個 → 2024年6,500個 → 2025年7,500個へ拡充する計画を発表しました。1995年水準の回復が目標で、背景には観光客誘致の目標が明記されています。同じ調査でソウル市民の73%が「街中にゴミ箱が少ない」と答えました。不便なのは旅行者だけではありません。

では持ち歩いているゴミはどこへ?

  • 地下鉄駅の改札の内外、バス停公園のゴミ箱 — いちばん無難です
  • カフェ内の分別コーナー — カップ・ストロー・一般に分かれているところがほとんどです。そのカフェで買ったものならもちろん大丈夫です
  • コンビニで買った飲み物・包装をその場で捨てることは通常許容されます
  • ただし宿から持って出たゴミ袋をコンビニのゴミ箱に捨てるのは別です。店主がその従量制袋代を払っています。法的な禁止というよりマナーの問題ですが、繰り返すと不法投棄とみなされる余地があります

大きなものを捨てたいとき

家具・家電のような大型廃棄物は従量制袋に入らないので、別途申告して手数料を払います。

廃家電は無料です

冷蔵庫・洗濯機・テレビ・エアコンなどの大型廃家電はE循環ガバナンス無料で訪問回収します。電話1599-0903またはオンライン予約。大型の単品は1点から、小型品目は5点以上から申し込め、平日08:00〜18:00(土・日・祝日休み)です。長期滞在を終えて片付けるときに便利です。


外国語の案内資料がすでにあります

意外と知られていませんが、ソウル市は多言語資料を作っています。

区単位の英語案内はばらつきが大きく、ほとんどが韓国語のみです。宿の管轄区役所のサイトに英語資料がなければ、まず上記のソウル市の資料を確認してください。


滞在期間別まとめ

🧳 何日滞在するかによって必要なこと

滞在タイプやること
ホテル(数日)何もありません。客室のゴミ箱に捨てるだけです
Airbnb・ゲストハウス(2〜7日)チェックイン時に ①袋の場所 ②排出場所 ③曜日 の3つを聞きましょう。袋がなければコンビニで5L 130ウォンの袋を1つ
1か月滞在(1か月以上)上記3つに加えて ④生ごみの処理方法(RFIDならカードが必要)⑤透明ペットボトルの分別ルールまで確認
荷物を整理して帰国大型廃棄物は区役所のインターネット申告後にフィル証を貼付。廃家電は1599-0903で無料回収

データと出典

  • ソウル市「自治区の従量制袋価格現況案内」(25区条例の集計)
  • 廃棄物管理法 第14条・第15条・第68条第3項、施行令別表8
  • 気候エネルギー環境部「ゴミ手数料従量制施行指針」
  • ソウル市「リサイクル品の正しい分別排出のコツ」および生ごみ多言語案内
  • 麻浦区・中区の清掃行政公式案内(排出曜日・時間・罰金基準)
  • 気候エネルギー環境部の分別排出誤情報への反論(2025.10)
  • ソウル市の街中ゴミ箱拡充計画(2023.10)およびオープンデータ広場の街中ゴミ箱設置情報
  • E循環ガバナンスの廃家電無料回収案内
  • ソウル市のゴミ・廃棄物罰金賦課実績(2024)

価格・制度は2026年8月基準です。排出曜日と時間は自治体・町ごとに異なるため、宿の管轄区役所の案内を確認してください。