前回の記事で、私たちはKビューティー最大の公然の秘密に踏み込んだ。オリーブヤングの棚に並ぶ数十ものブランドの大半が、結局はコスマックスと韓国コルマーという2つの工場から生まれている、という話だ。Beauty of Joseonも、アヌアも、Dr.Gも、ダルバも。みんなそうだ。

あの記事を読んだ人から一番多く届いた質問は、これだった。「じゃあ、いま私が持っているこの商品は誰が作ったの?」

答えから言おう。箱の裏に書いてある。 韓国の法律がそう定めている。ただ、読み方を知る必要があるし、例外もあるし、ネットで確認しようとすると意外なほど上手くいかない。

この記事はその実践編だ。そして前回から1年の間に、この業界で実際に起きたこと — 3,000ウォンの化粧品がなぜ可能なのか、中堅工場がなぜ急に大きくなったのか、そして2026年夏、韓国の化粧品工場がなぜどこも満杯なのかまで。

まず結論から

  • 箱の裏には2つの表示がある。「製造者」が実際の工場、「責任販売者」がブランド。法律が両方の表示を義務づけている。
  • ただし10mL(10g)以下の製品は製造者の表示を省ける。ミニサイズ・サンプル・リップ製品に製造者がなくても違法ではない。
  • 食品医薬品安全処のオンラインDBでは確認できない。機能性化粧品しか登録がなく、しかも表示されるのは責任販売者だけで製造者は公開されない。箱の裏が唯一の公式ルートだ。
  • 化粧品の原価率は約25%。うち原料5%、容器・副資材10%。ダイソーの3,000ウォン化粧品が可能なのは、処方が安いからではなく容器が安いからだ。
  • 2026年現在、韓国の化粧品工場は満杯だ。インディーブランド関係者の言葉:「4〜5月に出した発注すらまだ出荷できていない」

箱の裏の2つの表示

韓国で売られるすべての化粧品のパッケージには、法律で書くべき項目がある。「化粧品法」第10条第1項第2号が定める「営業者の商号および住所」がそれだ。

そして**「化粧品法」第2条の2**は、化粧品の営業を3種類に分ける。

表示定義かんたんに言うと
化粧品製造者化粧品の全部または一部を製造する営業(2次包装・表示のみの工程は除く)実際に中身を作った工場
化粧品責任販売者品質と安全を管理しながら流通・販売する営業ブランド
カスタム化粧品販売者店舗で混合・小分けして販売する営業カスタムショップ

つまり箱の裏で**「製造」と書かれた行が工場、「責任販売」と書かれた行がブランド**だ。アヌアのトナーを手にしているなら、責任販売者は「株式会社ビナウ」、製造者の行にはコスマックスと書いてあるはずだ。

2025年2月からは外装(外側)にも主要情報の表示が義務化された。名称、営業者の商号・住所、成分、容量、使用期限、価格、注意事項。以前は箱を開けないと見えなかった情報が、いまは外側にある。

⚠️ 例外 — こんなときは製造者が書かれていない

「化粧品法施行規則」第19条第1項は2つの例外を定める。下の包装は名称、責任販売者の商号、価格、製造番号、使用期限だけ書けばよい。

  1. 内容量10mL以下または10g以下の化粧品
  2. 販売目的ではない**試験・使用用(サンプル)**の包装

さらに10mL超50mL以下(10g〜50g)は全成分表示の一部を省略できる(タール色素、金箔、リン酸塩、AHA、機能性主成分、使用限度告示原料は省略不可)。

つまり — ミニサイズの日焼け止め、トラベルキット、リップ製品、サンプルパウチに製造者が見当たらなくても、怪しいことではない。法律が「書かなくていい」と言っているのだ。

★ 食品医薬品安全処のDBで調べようとしないこと

ここがこの記事で最も実用的な発見かもしれない。

韓国の食品医薬品安全処は「医薬品安全ナラ」という公開データベースを運営している。化粧品の情報もある。だからオンラインで製造者を確認できそうなものだが、実際に検索してみると2つの壁にぶつかる。

第一に、機能性化粧品しか登録されていない。 紫外線遮断・美白・しわ改善などで審査・報告された製品だけだ。普通のトナーやクレンザーはそもそも存在しない。

第二に、それすら製造者は出てこない。 例えば「Beauty of Joseon」で検索すると、出てくるのはこれだけだ。

製品名:Beauty of Joseon Glow Sun Stick
報告完了日:2026-03-23
化粧品責任販売者:株式会社グダイグローバル
製造販売業登録番号:15110
効能効果:紫外線から肌を保護する。(SPF 50+、PA++++)

責任販売者だけで、製造者は公開されない。

結論:実際の製造者を知る公的な手段は、製品容器・パッケージ裏面の「化粧品製造者」表示、そしてオンライン購入時の**「商品情報提供告知」の化粧品製造者の項目**だけだ。店頭で箱を裏返すのが一番確実である。

参考までに、同じサイトの化粧品GMP適合業者一覧ページでは、認証を受けた製造所のリストが見られる。裏面で見つけた製造者名が実在する工場かどうかを確認する用途には使える。

🔮 2026年、この表示方式が変わる

食品医薬品安全処は2026年3月の政策説明会で、化粧品eラベルを世界で初めて導入すると発表した。現在の5ポイントの極小文字の代わりに、主要事項だけを大きい文字で書き、詳細情報はQRコードに移す方式だ。2026年6月に国会へ法律案を提出する予定だった。

視覚障害者向けの音声・手話映像変換コードの併記表示のパイロット事業も2026年3月に10社で始まり、ガイドラインは2026年10月に出る。

旅行者には朗報だ。 QRコードを読み取れば、多言語で全成分と製造者を見られるようになる可能性が高い。

なぜ製造者の表示を巡って揉めるのか — 20年の論争

この表示義務は、実は韓国化粧品業界の長年の争いの種だ。

ブランド側が消したい理由は、2019年の協会資料に具体的に出ている。① 海外の流通チェーンがブランドを飛ばしてODMに直接接触し、類似のPBを作って国内ブランドを駆逐するケース、② 海外企業が同じODMに類似製品を委託生産して現地で安く売るケース、③ 海外バイヤーが露出した製造原価情報で供給価格の引き下げを要求する被害事例があった。

ODM企業の反論も明確だった。「製造者表示が削除されれば、ODM企業は技術投資の動機を失い、かえってKビューティーが後退する」

結論:論争は続いたが、2026年8月現在、化粧品法第10条の製造者表示義務は維持されている。 箱を裏返せば、いまも見えるということだ。

コスマックスとコルマー以外に誰がいるのか

前回は世界1位・2位のコスマックスと韓国コルマーを扱った。ところが裏面をひっくり返していると、初めて見る名前がよく出てくる。整理するとこうなる。

2025年実績基準の主要ODM(金融監督院公示)

会社2025年売上専門分野
韓国コルマー2兆7,224億ウォンサンケア・スキンケア
コスマックス2兆3,988億ウォン基礎・色調の総合
コスメカコリア6,409億ウォン(+22.2%)基礎・ダーマ、北米(イングルウッドラボ)
C&Cインターナショナル2,885億ウォン色調・リップ専門
CNF2,547億ウォン基礎
エンコス2,380億ウォン基礎、ハイドロゲル
イングルウッドラボ2,168億ウォン米国現地生産、FDA OTCサンケア
インターコスコリア1,935億ウォン色調(イタリア・インターコスの韓国法人)
韓国化粧品製造1,846億ウォン基礎
ファソンコスメティック1,107億ウォン色調 — エスティローダーグループが顧客
ジェニック782億ウォン(+56.7%)ハイドロゲルマスクパック1位

ODM上位4社(コルマー・コスマックス・コスメカ・C&C)の2025年合算売上は6兆506億ウォンで、初めて6兆ウォンを超えた(+11.5%)。化粧品OEM/ODM関連81社全体では11兆753億ウォンだ。

★ だがビッグ3のシェアは下がっている

前回以降で最も意味のある変化がこれだ。

Kビューティー製造業は2つの巨人から複数の専門工場へと分化しつつあるということだ。裏面で初めて見る会社名が、これからますます増えていく。

ハイドロゲルマスク — 誰にでも作れるわけではない

具体例をひとつ挙げると、この構図がよく見える。最近人気のハイドロゲルマスクパック(ぷるぷるのジェル素材のシートマスク)は、国内で作れる会社が5社ほどしかない — ジェニック、コスマックス、エンコス、アイキュア、ジンコステック。最近コスメカコリアが清州工場に4ラインを構築して新規参入した。

理由は設備だ。ライン1本の設置に最大5億ウォン、ラインあたり20〜30人が張り付き、ラインの長さは約30m。2026年1〜7月のマスクパック輸出は**4億1,435万ドル(+25.8%)**だったが、この物量が5社に集中する。

確認済みのブランド ↔ 製造者マッピング

ODM契約は原則として部外秘だ。韓国コルマーの関係者も*「顧客社の発注量や品目は契約上、対外公表が不可能だ」*と話す。証券会社のレポートですら「国内最大インディーブランドA社」「G社の発注低下」と匿名で処理する。

それでも公開情報で確認できたものがある。

韓国コルマー × グダイグローバル — 最も確実なマッピング

2026年3月23日、韓国コルマー瑞草総合技術院で共同開発サンケアの5年累計販売1億個突破を記念する行事が開かれた。グダイグローバル代表とともにBeauty of Joseon、SKIN1004、TIRTIR、Round Lab、House of Hurのブランド関係者20人余りが出席した。

製品製造備考
Beauty of Joseon 米の日焼け止め韓国コルマー(2021年共同開発)Amazonブラックフライデー日焼け止め1位
Round Lab 白樺の水分日焼け止め韓国コルマー2025年米NBC「最高の日焼け止め」選定
SKIN1004 サンケア製品群韓国コルマー

前回、韓国コルマーが国内の日焼け止めの70%以上を作っていると書いたが、その実体がこのリストだ。

コスマックスの顧客群(2026年第2四半期決算発表基準)

コスマックス韓国法人は2026年第2四半期の売上5,184億ウォンで、四半期基準で初めて5,000億ウォンを超えたと発表し、顧客群を明かした。

メディキューブ・アヌア・チョン・セムムル・バイオダンス

またハイドロゲルアイパッチの取引先として**メディキューブ、ソンブンエディター(成分エディター)、トリデン、アビブ、オリーブヤング自社ブランド(PB)**が言及された。

コスマックス × ムシンサ(PB超低価格ライン)

ムシンサは2025年9月にコスマックスと戦略的MOUを結び、ムシンサスタンダードビューティーの超低価格スキンケアラインを発売した。基礎8種、3,900〜5,900ウォン。このうち日焼け止め・リップエッセンス・アンプルの3種をコスマックスが製造する。

ムシンサ関係者の発言:「コルマー、コスマックスなど大手ODM企業と協業し、高品質の超低価格ビューティー商品を発売」

成果:1万ウォン台の3種セットが3日で初回物量を完売、発売2カ月で累計16万個、2025年第4四半期の取引額は前年比**+170%**。

ジェニック → バイオダンス

ジェニックが製造するバイオダンス「バイオコラーゲンリアルディープマスク」が2025年のAmazonプライムデーのマスクパックカテゴリーで1位になった。2026年8月基準で米国セフォラのスキンケアベストセラー1位でもある。

アイキュアの顧客社(2024年6月の会社発表基準)

L&Pコスメティック(メディヒール)、マニョ(魔女工場)、インサダーム、TIRTIR、CJオリーブヤング、アモーレパシフィック、APR、トリデン、イズンツリー、JMソリューションなど

特に*「最近CJオリーブヤングの自社ブランドに基礎化粧品とパッチ化粧品のODM納品を始めた」*というくだりがある。

★ だが「このブランド=この工場」は成り立たない

最も重要な注意点だ。バイオダンスを見てほしい。ハイドロゲルマスクパックはジェニックが作り、同時にコスマックスの顧客群にも名前が載っている。

ひとつのブランドがカテゴリー別に複数のODMを使う。 日焼け止めはコルマー、トナーはコスマックス、マスクパックはジェニック、という具合だ。だから1製品の製造者をブランド全体に一般化してはいけない。裏面はその製品ひとつについてだけ教えてくれる情報だ。

3,000ウォンの化粧品はどうやって可能なのか

ダイソーがKビューティーの地図を塗り替えたのが、前回以降の最大の出来事だ。数字から見よう。

ダイソービューティー購入推計額(エンブレイン購入ディープデータ、MAT基準)

時点金額前年比
2025年9月MAT約3,376億ウォン+101.9%
2026年3月MAT3,619.6億ウォン+39.6%

このうち**ダイソー専用セカンドブランドが853億ウォン(+58.2%)と、全体より速く伸びている。男性の購入額は240.3億ウォンで+112.9%**増えた。

ダイソービューティーの入店ブランドは2022年の7ブランドから2025年末には約150ブランドに増えた。アソンダイソーの全社売上は2025年に4兆5,363億ウォン(過去最大)、2026年上半期のビューティーカテゴリーは+30%成長した。

★ 原価構造 — 化粧品で一番高いのは容器だ

これが核心だ。

化粧品の原価率は一般的に25%前後。 うち原料代は約5%、容器・副資材は約10%、人件費などその他製造費用は約10%。

ODM社関係者の言葉がこの構造を一文で要約する。

「容器デザインがシンプルになればコストは大幅に減る。化粧品製造で一番高いのは容器代だ。

つまりダイソーの3,000ウォン化粧品が可能なのは処方を安物にしたからではなく、派手な容器とマーケティングを省いたからだ。原料費はどうせ全体の5%だ。

ここにもう2つが加わる。

  1. コスマックスと韓国コルマーは、どちらも化粧品容器メーカーを子会社に持つ。 超低価格製造に構造的に有利だ。
  2. ODMは「保有処方から選ぶ」構造だ。「ODM社が保有する化粧品レシピの中から望むものを選んで活用でき、原料や剤形の配合を見つけるのに時間と費用を多くかけずに済む」 製造後の安定性検証もODM社が行う。

ダイソー専用ブランド=大手の別名義

ダイソーで売られる化粧品ブランドの相当数が、私たちの知っている会社のセカンドブランドだ。

ダイソー専用ブランド親会社 / 親ブランド
ミモ バイ マモンド(Mimo by Mamonde)アモーレパシフィック
CNP by O-D-TLG生活健康
ボンセプ(Boncept)トニーモリー
タグ(TAG)トゥークールフォースクール
2aN バイ ルナ(2aN by LUNA)愛敬産業
ビフルーブ / リノイアコスモコス(KT&G系列
シクムルウォン(植物園)ネイチャーリパブリック

⚠️ これは責任販売者(ブランド)のマッピングであり、製造者のマッピングではない。ダイソーの個別品目の実際の製造工場は公開報道では確認できない。店頭で裏面を直接見るしかない。

**トニーモリー「ボンセプ」**が最も成功した例だ。2024年4月にダイソー入店 → 1年2カ月で累計500万個 → その後6カ月でさらに500万個 → 2026年1月に累計1,000万個を突破。2026年6月にはリップティント・アイブロウ11種を追加し、全品3,000ウォン均一価格で色調ラインアップを40種まで増やした。

超低価格戦争はダイソーを超えた

色調は別の会社が作る — C&Cインターナショナル

基礎とサンケアがコスマックス・コルマーの領域なら、リップと色調は別の工場の世界だ。

C&Cインターナショナルの2026年第2四半期の製品別売上を見ると、この会社の正体がひと目で分かる。

カテゴリー売上割合
口唇化粧(リップ)375.8億ウォン51.3%
ベース202.1億ウォン(+24.8%)27.6%
目元化粧143.7億ウォン(+30.6%)19.6%

(2026年第1四半期にはリップの割合が64%まで上がった。)

顧客社は202社。 2025年の海外売上は1,410億ウォン(+26.2%)で全体の48.9%だ。2026年6月の海外受注額は前月比78%*急増し、会社は「北米大手顧客社のリピート注文と欧州ラグジュアリーブランドの新規受注**」*と説明した。ブランド名は明かさなかった。

清州新工場は2027年8月竣工予定で、完成すれば年間生産能力は14億個以上になる。

色調側にはファソンコスメティックもいる。エスティローダーグループを顧客に持つ色調ODMで、2026年にマッコーリーPEが3,000億ウォン前後での買収を進めている。

容器側も同じだ。KKRが2025年に化粧品容器メーカーサムファを約7,330億ウォンで買収したが、サムファの顧客にはロレアル・エスティローダー・シャネル・LVMHがいる。300以上のブランドにパッケージを供給している。

前回から変わった数字 — Kビューティー輸出

前回は「2025年に100億ドル突破」を引用したが、確定値とその後の数字が出た。

2025年確定(食品医薬品安全処、2026年5月発表)

項目20242025
化粧品輸出額102億ドル114億ドル(+11.8%)
世界順位3位2位(フランス234億で1位、米国108億で3位)
貿易収支黒字89億ドル101億ドル — 初の100億ドル突破
輸出国172カ国202カ国
1位の輸出国中国24.9億米国22億ドル(中国20億、初の逆転)

**化粧品の貿易黒字101億ドルは、韓国全体の貿易黒字780億ドルの12.9%**だ。

2026年はさらに速い。

シェア(2024年基準、最新の確認可能値)で見ると、米国の輸入化粧品のうち韓国が22.2%で1位(フランス16.3%)、日本では30.1%で3年連続1位(フランス24.3%)だ。

ブランドは溢れ、同じだけ消える

前回「誰でもブランドを作れる」と書いた。その結果が数字になった。

化粧品責任販売業者(ブランド社)登録数

業者数
201915,707
202122,716
202331,524
202427,932
202528,412

新規登録件数

件数
20212,047
20223,098
20234,019
20244,107
20254,472
2026(2月13日まで)638件 — 前年同期423件比**+50%**

★ だが廃業がそれだけ多い。 2023年の31,524社から2025年は28,412社へ減ったが、その間に新規登録が8,579社あった。計算すると2年で約1万1,690社が消えたことになる。2023→2024年の1年だけでも、登録業者の約4分の1が1年で消滅した。

業界関係者の言葉が理由を説明する。

「ひとつのブランドがPDRNやエクソソーム製品でヒットすると、似た成分と剤形の後発製品がすぐに溢れる」

米国アルタ(Ulta)入店基準の年間売上2,000万ドルのブランドが、A級新製品を1つ出すのに20万〜30万ドル、SNS広告予算が製品あたり5万〜15万ドルかかる。

順位も激変する。 2025年生産実績基準でAPRが2024年の21位から4位へグダイグローバル(Beauty of Joseon)が18位から9位へビナウ(アヌア)が19位から11位へ跳ね上がった。一方、LG生活健康のシェアは27.8%から21.8%へ落ちた。

2026年夏、工場は満杯だ

この記事を書いている時点(2026年8月)で、韓国化粧品業界で最も熱い話題だ。

2026年8月24日からSNSで**「グダイグローバルが韓国コルマーに製品2億個を発注した」という噂が流れた。韓国コルマーの国内生産能力は世宗+富川を合わせて約10億2,700万個だから、2億個なら国内年間生産能力の約19.5%**にあたる。

両社とも「契約上非公開」として確認を拒否した。 韓国コルマー関係者は*「2億個の発注が入ったとすれば異例の数字」*とだけ語った。業界は年内の全量納品というより、1〜2年以上の長期受注残である可能性に重きを置く。

⚠️ これはSNSの噂で、確認されていない。 ただ、この噂がなぜあれほど速く広まったかが、実際の状況を物語っている。

インディーブランド関係者の言葉がその状況だ。

「4〜5月に出した発注すらまだ出荷できていない。主要ODM社の生産ラインが埋まっていて、代替の製造者を探すのも容易ではない。

ビッグ3はもちろん、中小製造社まで2〜3交代でフル稼働中だ。増設競争も真っ最中だ。

2026年第2四半期の業績も過去最高だ。 ODM3社の上半期合算売上は2兆9,515億ウォン(+24.8%)。韓国コルマーは第2四半期の営業利益1,103億ウォンで国内ODMとして初めて四半期営業利益1,000億ウォンを突破し、コスマックス米国法人は創業以来初の四半期黒字を出した。

そしてこんな話もある — グローバルラグジュアリーブランドの150ドル以上のハイエンド基礎化粧品を韓国コルマーが生産し2026年3月に発売コスマックスが製造したグローバルラグジュアリーブランドのクッションが2026年5月に米国で発売された。ブランド名はどちらも非公開だ。

消費者が知っておくべきこと — そして最近の論争

「同じ工場=同じ製品」ではない理由

前回も扱ったが、もう少し具体的に。

  1. ODMは保有処方ライブラリーから選ぶ構造だ。同じベース処方で濃度・香り・容器だけ変えた製品が複数のブランドで出ることがある。逆にブランドが求める有効成分の濃度が違えば、結果物も変わる。
  2. 安定性検証もODMが行う。 ブランドごとに求めるテスト条件が違えば、最終剤形も変わる。
  3. 容器が原価に占める割合は原料の2倍だ(25%のうち容器10%、原料5%)。同じ処方でも容器を変えれば消費者価格はまったく変わる。

論争① ダイソー日焼け止めのSPF(2026年7月)

あるYouTubeチャンネルがダイソーで売られる紫外線遮断剤8種のSPF試験結果を公開し、論争が起きた。

アソンダイソーの反論(2026年7月14日):当該試験は食品医薬品安全処「機能性化粧品審査に関する規定」が求める最低10人以上の有効被験者要件を満たしておらず(試験対象2〜3人)、試験機関・試験責任者・成績書番号・製品ロット番号など信頼性確認情報もなかったという。8製品すべて機能性化粧品審査除外品目報告書、完成品試験成績書、人体適用試験結果を確認した上で販売を開始したと明らかにした。

試験資料を公開しない理由として*「製造者と化粧品責任販売者の試験データと品質管理情報が含まれており、協力社の営業秘密に該当する」*を挙げた。

ダイソーは国家公認試験機関を通じた客観的検証を進めると発表した。2026年8月現在、その結果は確認されていない。

論争② 原産地の偽装

関税庁は2026年2月に「Kブランド保護民官協議体」(14社)を発足した。国内でロゴ印刷などの単純加工だけをして原産地を国産に偽装する要注意貨物の取締りを強化するというものだ。食品医薬品安全処・特許庁・関税庁が偽造化粧品の段階別対応体制も構築中だ。

旅行者への示唆:正規流通チャネル(オリーブヤング、ダイソー、ブランド公式店舗、百貨店)で買えば、この問題とはほぼ無関係だ。問題は海外のオンラインマーケットプレイスと観光地の露店だ。

旅行者チェックリスト — 箱の裏の読み方

  1. 裏面の2つの表示を探そう。 「化粧品製造者」が工場、「化粧品責任販売者」がブランドだ。2025年2月から外側への表示も義務化された。
  2. 10mL / 10g以下の製品は製造者がなくても正常だ。 ミニサイズ、サンプル、リップ製品がここに該当する。違法ではない。
  3. 食品医薬品安全処のオンラインDBでは確認できない。 機能性化粧品しかなく、しかも責任販売者しか出てこない。箱を裏返すのが唯一の方法だ。
  4. オンラインで買うなら「商品情報提供告知」を開こう。 「化粧品製造者」の項目がそこにある。
  5. 「このブランド=この工場」と一般化しないこと。 ひとつのブランドがカテゴリー別に複数のODMを使う。
  6. 初めて見る製造者名が出ても心配しなくていい。 2025年だけで生産額1,000億ウォン以上のODMが16社ある。コスマックス・コルマーでなくても、大手工場である可能性が高い。
  7. ダイソーのブランドの多くは大手のセカンドブランドだ。 ミモ=アモーレパシフィック、CNP by O-D-T=LG生活健康、ボンセプ=トニーモリー。
  8. リップ・色調は別の工場の世界だ。 C&Cインターナショナル、ファソンコスメティック、インターコスコリアを覚えておけば、裏面読みがぐっと楽しくなる。

In a nutshell(要するに)

前回の結論は「ブランドは違っても工場は同じ」だった。今回の結論は**「その工場の名前が箱の裏に書いてある」**だ。

韓国の法律は化粧品に製造者責任販売者を両方書くよう定めている。ブランド側が20年以上にわたって製造者表示を消せと要求してきたが、いまだ生き残っている。だからオリーブヤングで箱をひとつ裏返せば、世界のどの国でも得にくい情報をタダで手に入れられる。

その情報から分かること:3,000ウォンのダイソー化粧品と3万ウォンのブランド製品が同じ工場から出ることがあるということ、価格差の相当部分が容器代であること、そして2026年現在、韓国の化粧品工場が「春に出した発注がまだ出ていない」と言われるほど満杯だということ。

読み方はかんたんだ。ロゴを見るな。裏返せ。

データと出典