まず結論から

  • 韓国の年間労働時間は1,833時間(2025年) — OECD36カ国中6番目に長い。ただし15年前より330時間減った
  • 会食は依然としてあるが、年1〜10回が最も多い頻度(43.7%)で、まったくないという回答も24.4%ある
  • 酒の強要や会食の強要は、2019年に施行された職場内いじめ禁止の規定により実際に裁判所で認められた事例がある。飲めなければ飲めないと言ってよい

午後6時30分、ソウルの乙支路3街(ウルチロ3街)駅4番出口。ネクタイを半分緩めた人たちが路地のプラスチックのテーブルにつきます。汝矣島(ヨイド)ではもう少し早く始まってもう少し早く散り、板橋(パンギョ)ではその時間にはオフィスの明かりが半分消えています。

韓国の会社に就職したり、駐在員として派遣されたりして来た外国人が最初に直面するのが、まさにこの夕方の時間帯です。仕事は終わったのに、一日が終わった感じがしない微妙な時間。その時間帯に会食(フェシク)があり、その前後に残業がくっつきます。

この記事は酒の話ではなく、労働時間と組織文化の話です。まず数字から見ていきましょう。

1,833時間
2025年の韓国の年間労働時間 — OECD36カ国中6位
43.7%
会食の頻度が年1〜10回と答えた会社員の割合(最多の回答)
79.4%
2024年の年次有給休暇の消化率 — 調査開始以来の最高値
23.4%
会食で飲酒を強要された経験があるという回答

韓国人は本当にそんなに長く働くのか?

昔ほどではないものの、やはり長い。2025年基準で韓国の就業者の年間平均労働時間は1,833時間。OECD平均の1,736時間より97時間長く、データが集計された36カ国の中で6番目に長くなります。

重要なのは方向です。2010年の2,163時間から2015年には2,082時間、週52時間制が施行された2018年に初めて2,000時間を下回り(1,992時間)、2023年1,872時間 → 2024年1,865時間 → 2025年1,833時間と減り続けています。15年で330時間、1日8時間換算で41日分が消えた計算です。

📊 OECDの年間労働時間比較(2025年、就業者1人あたり)

順位年間労働時間韓国との差
1メキシコ2,205時間+372時間
2コスタリカ2,183時間+350時間
3チリ1,912時間+79時間
4ギリシャ1,874時間+41時間
5イスラエル1,870時間+37時間
6韓国1,833時間
OECD平均1,736時間-97時間
アメリカ1,800時間-33時間
日本1,598時間-235時間
イギリス1,533時間-300時間
フランス1,498時間-335時間
ドイツ1,332時間-501時間

ドイツとの差501時間は、週末を除いて計算すると年間63日多く出勤することを意味します。同じ役職・同じ仕事でも、韓国では2カ月長く働くと考えれば実感がわくでしょう。

週52時間制 — 夜の風景を変えた制度

2018年3月に改正された労働基準法は、週の上限労働時間を法定40時間 + 延長12時間 = 52時間と定めました。それ以前は、休日労働を延長労働に含めない解釈によって週68時間まで可能でした。

  • 2018年7月 — 従業員300人以上の事業場・公共機関から適用
  • 2020年1月 — 50〜299人の事業場へ拡大
  • 2021年7月 — 5〜49人の事業場まで拡大
  • 現在 — 5人未満の事業場は依然として適用除外

会食文化が目に見えて短くなった時期は、おおよそこの頃と重なります。深夜まで続く会食が翌日の出勤の負担になる構造が、制度によって崩れたからです。


それなのに、なぜ今も遅くまで終わるのか?

制度上は週52時間なのに、夜8時にオフィスの明かりがついている理由は大きく二つあります。

一つは働き方の画一性です。韓国は週40時間のフルタイムで働く労働者の割合が53.1%で、ドイツ(30.9%)・イギリス(15.9%)・フランス(12.5%)とは比べものになりません。パートタイムや柔軟な働き方の選択肢が薄いため、忙しいときに調整できる余地が残業しかないのです。

二つ目は包括賃金制です。延長・夜間・休日の手当をあらかじめ月給にまとめて入れる契約方式で、実際に働いた時間を計らないため、超過勤務が増えても賃金は増えません。ここからサービス残業という言葉が生まれ、雇用労働部は包括賃金の乱用防止指針を施行し、廃止法案も国会に提出されています。

勤怠管理サービスが集計した2025年の会社員の出退勤データによると、平均出勤時刻は午前8時42分、平均退勤時刻は午後6時19分、休憩時間を含む1日の総労働時間は9時間52分でした。業種別では建設業が10時間45分、製造業が10時間11分と最も長くなっています。

会食とは正確には何か?

会社が組織単位で一緒に食事をする場です。漢字では「集まる」という意味の会(會)に「食べる」という意味の食(食)。チーム会食、部署会食、新入社員の歓迎会食、プロジェクト終了の会食、忘年会食のように名目がつきます。

欧米の会社のチームディナーと決定的に違うのは、参加が半分仕事として扱われてきたことです。実際、調査で会食の時間帯を尋ねたところ、勤務時間後という回答が71.4%で、勤務時間内(23.1%)の3倍以上でした。勤務外の時間に開かれるのに、性格は勤務の延長線上にあるという矛盾が会食の核心です。

伝統的な会食は次数で進みます。一次会で終われば穏やかな会食、三次会まで行けば昔ながらの会食です。

🍚 会食の次数構造 — 何がどこでどのくらい

次数場所性格おおよその所要時間抜けてもよいか
一次会焼肉店・韓国料理店・刺身店食事が中心。公式のあいさつと乾杯の音頭はここで出る1時間30分〜2時間事実上、全員参加が基本
二次会ホフ・ポチャ・居酒屋酒が中心に移る。会話がプライベートに変わる区間1〜2時間最近は抜ける人が多い
三次会カラオケ(ノレバン)順番に歌う。部署の雰囲気が最も表れる場1〜2時間ほとんど抜けても問題ない

外国人が最も見落とす点 — 始まりと終わりの合図

  • 一次会の始まりは一番上の人の最初の一杯。その前に食べ始めない
  • 一次会が終わる頃、誰かが二次会に行きますかと聞いた瞬間が公式の離脱ポイント。このときあいさつして抜けるのが最も自然
  • 席を立つときは静かに消えず、一番上の人に一言かけてから出る。これさえ守ればたいてい問題にならない
  • 翌朝の昨日はちゃんと帰れましたかの一言が、会食そのものより評価に影響する

会食はどのくらいの頻度?

思ったより少なめです。2024年の会社員1,000人を対象にした調査で、会食の頻度は以下のように出ました。

会社員1,000人の会食実態調査(2024年):会食の頻度は年1〜10回が43.7%と最も多く、まったくないが24.4%で2番目でした。月1〜3回は19.4%、週1〜2回は10.8%、週3回以上は1.7%にとどまります。つまり10人中7人程度は、会食が月に1度もないか、年に数回程度です。

ドラマや映画で見た毎週の飲み会は、いまや少数派の経験です。流れを作った要因はおよそ三つです。

とはいえなくなったというより形が変わったと見るのが正確です。昼休みにするランチ会食、酒なしで公演や展示を見るカルチャー会食、おまかせやワインバーを予約するグルメ会食が増えました。会食費を分けて各自が好きなところで使わせる会社もあります。


酒が飲めない場合はどうする?

飲めないと言ってよいのです。そして、その言葉は尊重されるべきというのが現在の基準です。

まず現実を正確に知っておく方がよいでしょう。2024年の調査で、会食をすると答えた会社員のうち23.4%が飲酒を強要された経験があると答え、強要されたとき72.9%が結局飲んだと回答しました。会食後のカラオケ参加を強要された経験も20.4%でした。強要文化が完全には消えていないということです。

同時に法的環境ははっきりと変わりました。2019年7月16日に施行された労働基準法第76条の2(職場内いじめの禁止)は、地位や関係の優位を利用して業務上の適正範囲を超えて苦痛を与える行為を禁じます。裁判所は以下のような行為を実際にいじめと認めました。

裁判所がいじめと認めた会食関連の行為

  • 会食への参加を拒もうとした社員を、上司が物で机を叩きながら叱責した行為
  • 会食で暴言とともに飲酒を強要した行為
  • 不利益をほのめかして会食参加を強要した行為
  • 一次会だけで帰宅した社員を公の場でなじった行為
  • 特定の社員に乾杯の音頭を繰り返させ、公の場で恥をかかせた行為

通報件数も増えています。施行後、雇用労働部に寄せられた職場内いじめの通報は2024年5月末時点で累計39,316件です。ただし実際の処罰につながる割合は低く、制度が完全に機能しているとは言いにくい状況です。

酒を飲めない・飲まない人のための実践フレーズ

  • 最初の会食で一度はっきり伝える。最初に曖昧にかわすと毎回説明し直すことになる。一度印象づけられれば、その後はたいてい勧めてこない
  • 理由は短く反論しにくいものを。薬を飲んでいる、アルコールが分解できない、宗教上の理由で飲まない — この三つは韓国の職場で追加の質問なしに通じる
  • 杯は受け取って置くだけでよい。酒を注ぐのはあいさつに近い。杯を両手で受けて前に置いておくだけで礼儀は十分
  • 代わりに何かを持つ。サイダー・コーラ・ノンアルコールビールで乾杯だけ参加すれば浮かない。最近の焼肉店のほとんどにノンアルコールビールがある
  • それでも強要が続くなら記録する。日付・場所・発言をメモしておくだけで、後の社内通報の手続きで根拠になる

飲み会のマナーそのものは難しくありません。職場の文脈で実際に意味があるのは三つだけです。目上の人に酒を注ぐときは両手で目上の人の前で飲むときは体を少しそらして自分の杯は自分で満たさない。焼酎とビールを混ぜるソメク(焼酎+ビール)が会食の席でよく登場しますが、度数が低く見えて杯の回るスピードが速いため総量が増えます。飲まないと決めたなら、ソメク作りが始まったときに先に言っておく方がよいでしょう。


いつ抜けてもよく、いつ行った方がよいか?

会食は法的には労働時間ではありません。会食は労務提供と直接関係がなく、親睦・士気高揚の性格があるため、原則として労働時間と認められないというのが行政解釈です。つまり参加義務もなく、参加したからといって手当もつきません。(ただし事業主が主催し支配・管理する場でけがをした場合は、労災と認められることもあります。)

現実的な基準はこうです。

行った方がよい場 / 抜けてもよい場

  • 行った方がよい場 — 自分の歓迎会食、チーム全員が集まる年1〜2回の場(忘年会など)、プロジェクト終了の会食。一次会だけでも出席そのものに意味がある
  • 一次会まで — ほとんどの定例会食。一次会終了時点であいさつして出れば摩擦はほとんどない
  • 抜けてもよい場 — 二次会・三次会、急に決まった当日通知の会食、少数だけが残る遅い場
  • 必ず断ってよい場 — 上司と二人きりで行く二次会以降の場。強要された場合はいじめの事案として扱われた事例がある
  • 💬 使える理由 — 翌朝の予定、家庭の事情、通勤距離、健康。韓国の職場ではこの四つはたいていそのまま受け入れられる

会食費は誰が払う?

ほとんど会社のお金です。チーム長や部署長が法人カードで決済するのが一般的で、個人が割り勘にするケースはまれです。新人が財布を出そうとすると、たいてい止められます。

会計上は二つに分かれます。この区分が会食の規模と場所を決めることもあります。

💳 会食費の会計処理 — 社員だけか、取引先が入るか

区分対象勘定限度
福利厚生費社員全体または特定の部署の社員同士の会食福利厚生費別途限度なし(業務関連性・社会通念の範囲)
企業業務推進費(接待費)取引先・顧客が含まれる場企業業務推進費基本限度 中小企業 年3,600万ウォン / 一般企業 年1,200万ウォン + 売上連動分

1件3万ウォンを超えると、税額計算書・法人カード伝票などの適格な証憑が必要になり、限度を超えた接待費は費用として認められません。だから部署の会食は予算消化の日程に合わせて四半期末や年末に集中する傾向があります。


ソウルではどこで会食をする?

会食の場所は、会社のある商圏にほぼそのまま従属します。夕方の時間帯にその街を歩けば、その地域の産業構造が見えてきます。

🍻 ソウル主要オフィス商圏と会食の風景

商圏主な業種会食の風景代表的な場所のタイプ
乙支路3街・鍾路大企業本社、印刷・製造、金融最も古い会食商圏。路地の屋外テーブルに座って始まるノガリ横丁のホフ、古い焼肉店、ナクチポックム(タコ炒め)店
汝矣島証券・銀行・放送・国会始まりが早く終わりも早い。翌日に市場が開くため正統韓定食、予約制の焼肉店、ホテル近くのバー
江南駅・駅三IT、コンサル、スタートアップ、塾遅くまで続く割合が最も高い。二次会の選択肢が圧倒的に多いフランチャイズの焼肉店、大型パブ、居酒屋
板橋ゲーム、ITプラットフォーム会食の頻度自体が低く、ランチ会食・カルチャー会食の割合が高い。終電とシャトルの時間が終了時刻を決める社屋近くの飲食店街、カフェ型の集まりスペース
光化門・市庁公共機関、マスコミ、大企業一次会中心。格式のある場と実務の会食がはっきり分かれる韓定食、コムタン・ソルロンタン店、伝統的な居酒屋

旅行者の視点で興味深いのは、平日の夜7〜9時の乙支路です。この時間帯の路地は観光地ではなく完全に日常の空間で、ネクタイをした人とパーカーを着た人が同じプラスチックの椅子に座っています。韓国の職場文化を最も安く観察できる場所でもあります。


昼にも会食がある — ランチとコーヒー

韓国の会社の昼休みはたいてい正午から午後1時までの1時間で、チーム単位で一緒に出かけるのが長らく基本でした。メニューはたいてい一番上の人が決め、会計はその人がするかチームカードでします。そのあと近くのカフェでコーヒーを買ってオフィスに戻る流れまでがワンセットです。

この構造も揺らいでいます。若い社員は一日で唯一の休憩時間を仕事の関係者と過ごしたくないと言い、一人で食べるひとり飯やカフェでサンドイッチで済ませる選択が増えました。コーヒー代も負担になり、低価格コーヒーブランドへ移る流れがはっきりしています。

外国人社員が知っておくとよい実務ルールは二つです。一つは、最初の数カ月はチームのランチについていく方がよいこと。会食よりずっと負担が軽く、関係構築の効果は似ています。もう一つは、会計はたいてい持ち回りであること。何度かごちそうになったら、一度は先にカードを出すのが自然です。


年次有給休暇は自由に取れる?

法的には自由で、実際にも昔よりずっとよくなりました。労働基準法上、1年以上勤続すると年15日の有給休暇が発生し、勤続年数に応じて増えます。取得時期は労働者が決めるのが原則です。

16.7
1人あたりの年次有給付与日数(2024年基準)
13.2
実際の使用日数 — 消化率79.4%で調査開始以来最高
9.8%
5日以上の長期休暇を取った労働者の割合

数字だけ見れば悪くありませんが、残る3.5日ヌンチ(空気を読む)の大きさです。この言葉は直訳が難しい。誰も禁止していないのに、雰囲気上やりにくい状態を指します。チーム長が休暇を取らなければチーム員も取りにくく、年末にまとめて取ろうとして結局取れない構造がここから生まれます。

変わりつつある部分もあります。8月に集中していた休暇が2〜6月と10月・12月へ分散し始め、政府は年次有給の使用を理由とする不利益な取り扱いを禁じる立法を進めています。テレワークは広がりが限定的で、全就業者に占める割合は一桁にとどまっています。


いま韓国は労働時間をめぐって何を争っているのか

2026年現在、労働時間制度は両方向へ同時に引っ張られています。どちらかが勝ったとは言いにくい状態なので、二つの主張を並べて記しておきます。

規制を緩めようという側は、半導体・人工知能のような先端産業や研究開発、スタートアップで週52時間が競争の足を引っ張ると見ます。開発の締め切りが集中する時期に集中的に働けなければ競争国に追いつけないという論理で、産業省庁が特別法上の例外条項を求めてきました。

規制を維持しようという側は、長時間労働が実際の生産性につながるのかをまず検証すべきだと反論します。週52時間の例外なしでも主要半導体企業が史上最高の業績を上げたことを根拠に挙げ、例外を一度開けば産業全体に広がると見ます。

政府の公式目標は2030年までに年間実労働時間を1,700時間台に下げることで、そのために週4.5日制の試験事業と実労働時間短縮支援法案を進めています。結論がどちらに出ようと、会食の時間割はこの議論の結果をそのまま追いかける可能性が高い。勤務が短くなれば会食も短くなるというのが、この8年が示したパターンだからです。


まとめ — 外国人社員が1カ月で身につければよいこと

  • 会食は一次会までが基本。二次会からは選択と考えてほぼ間違いない
  • 酒は飲まなくてよい。最初の場で一度はっきり伝え、杯は受け取るだけにしておく
  • 強要は法的に問題となる行為。繰り返されるなら記録し、会社の手続きを使う
  • 席を立つときは目上の人にあいさつして出る。この一つが残りをほとんどカバーする
  • 会食よりチームランチが費用対効果で優れる。負担は5分の1なのに効果は似ている

出典

数値は発表時点のものです。最終確認:2026年8月9日。