ドローンを持って韓国に来る旅行者が一番やりがちな勘違いがこれです。**「小型だから大丈夫だろう」**と。

重量の免除規定はたしかにあります。でも、その免除が効くのは機体申告と操縦者資格の2つだけ。**「どこで飛ばせるか」にはまったく効きません。**そしてソウルで問題になるのは、いつだって後者なのです。

まず結論から

  • ソウルの空は事実上すべて承認対象です。江北は首都防衛司令部管轄の飛行禁止区域、江南圏の大半はR-75飛行制限区域、金浦・ソウル空港の半径9.3kmは管制圏です。
  • 承認なしに趣味のドローンを飛ばせるのは広津漢江ドローンパークの1か所だけです。予約制で、個人は無料です。
  • 250g未満でも意味がありません。重量免除は申告・資格にだけ効き、禁止・制限区域では玩具ドローンも承認が必要です。
  • 初回違反でも最低150万ウォンです。2025年の過料は419件・6億5千万ウォンで、うち55%が飛行禁止区域違反でした。
  • カメラが付いていたら規制がもう一つ増えます。撮影しなくても、撮影機器が付いていれば航空撮影許可が別途必要です。
  • ソウルを離れても国立公園は全域ドローン禁止です。漢拏山・雪嶽山の空撮を計画しているなら、いま諦めてください。

なぜソウルの空はこんなに塞がっているのか?

ソウル市が出した案内文は、タイトルそのものが答えになっています。「ソウル都心はドローンの飛行制限(禁止)区域です」。ソウルが特別にドローンを嫌っているのではなく、3層の空域が街の上に重なっているだけなのです。

ソウルの上に重なる3つの層

  • P-73飛行禁止区域 — 青瓦台を中心とした半径3.7kmの内側。鍾路・中区・龍山・城東・西大門の一帯が該当。承認の主体は首都防衛司令部です。
  • R-75飛行制限区域 — 江西・陽川・永登浦・銅雀・冠岳・瑞草・江南と松坡・江東の一部。地方航空庁より首都防衛司令部の指針が優先し、首都防衛司令部はこの区域では飛ばないよう案内しています。
  • 管制圏 — 飛行場中心の半径9.3km。ソウルは金浦空港とソウル空港(城南)が西・南東をそれぞれ覆います。全国に31か所あります。

加えて、大統領室が龍山から青瓦台へ戻ったことで、青瓦台半径3.7km区間の飛行禁止が再び適用されました。

3つの層を重ねると、残る土地はほとんどありません。聯合ニュースのファクトチェック(2026年1月)の表現が正確です——ソウルは広津漢江ドローンパークなどを除けば、飛行承認なしにドローンを飛ばせる場所がほとんどないのです。


では、罰則はどれくらい重いのか?

旅行者が一番甘く見ている部分です。韓国のドローンの過料は「一度警告して終わり」という仕組みではありません。

150万ウォン
飛行禁止区域違反・無承認飛行の初回違反に科される最低額
419
2025年のドローン過料件数(2020年の101件から4倍)
6.5億ウォン
2025年の過料総額(2020年は1億550万ウォン)
55.1%
違反タイプ1位=飛行禁止区域違反(873件)

摘発のタイプを見ると、旅行者がどこで引っかかるかが見えてきます。

🚨 ドローン違反の摘発タイプ別の割合(国土交通部資料、ソン・ミョンス議員室提供)

違反タイプ割合件数
飛行禁止区域違反55.1%873件
管制圏違反27.9%443件
夜間飛行8.8%140件
資格証明未取得6.5%103件

上位2項目で83%です。つまり摘発の大半は操縦のミスではなく、飛ばしてはいけない場所で飛ばしたことによるもの。観光客がまさにハマる罠です。

⚖️ 違反別の法定罰則(航空安全法)

違反内容罰則
操縦者遵守事項違反(夜間・飲酒・群衆上空・落下物など)200万ウォン以下の過料
承認なしの飛行/高度150m以上の飛行300万ウォン以下の過料
管制圏の無断飛行で航空機の運航に支障500万ウォン以下の罰金(刑事罰)

最後の行が重要です。過料は行政処分ですが、罰金は刑事罰。空港近くで飛ばして航空機が引き返せば、話の性格が一変します。機体の押収もありえます。


重量規制は、いったいどこまで免除なのか?

ここで混乱の大半が生まれます。重量基準は3つの異なる義務にそれぞれかかっていて、そのどれも「場所」を免除してくれません。

📏 最大離陸重量別の義務(非営利・趣味基準)

最大離陸重量機体申告操縦者資格ソウルで飛ばせるか
250g以下不要不要いいえ — 承認が必要
250g超〜2kg不要4種(オンライン教育+クイズ)いいえ — 承認が必要
2kg超〜25kg必要3種以上いいえ — 承認が必要
25kg超必要1〜2種地域を問わず飛行承認が必要

4行すべて同じ答えなのがポイントです。受験年齢は4種が満10歳以上、1〜3種が満14歳以上です。

旅行者が実際にぶつかる壁

機体申告と資格取得はドローン・ワンストップ窓口と韓国交通安全公団のシステムで行われますが、どちらも韓国の本人認証を前提に設計されています。なので短期滞在者が現実的に選べるのは申告・資格が両方免除される250g未満の機体。それすら場所の規制はそのまま適用されることを覚えておいてください。


広津漢江ドローンパーク — ソウル唯一の抜け道

江東区千戸洞の広津漢江公園の中にある、面積27,000㎡の専用ドローンフィールドです。2016年6月25日にオープンし、ソウルで事前の飛行承認なしに趣味のドローンを飛ばせる事実上唯一の場所です。

🛸 広津漢江ドローンパークの運営概要(未来漢江本部)

項目内容
場所広津漢江公園(江東区千戸洞351-1)
営業時間夏季(4〜9月)08:00〜18:00/冬季(10〜3月)08:00〜16:00
利用対象25kg以下の趣味用ドローン、個人または30人以上の団体
利用区域個人は回転翼ドローンゾーン、団体は固定翼ドローンゾーン
料金個人は無料(100人以上の貸切イベントのみ有料)
予約利用日の1か月前〜当日、最短1時間〜最長3時間、時間帯ごとに最大30人
問い合わせ広津案内センター 02-3780-0501〜4

予約はソウル市公共サービス予約(yeyak.seoul.go.kr)で「ドローン場」と検索します。先着順で、申込書には利用者の氏名・連絡先・ドローンの重量と機種名・保険加入の有無を記入します。当日は入口の案内センターで利用者ネックレスと氏名・連絡先記入用のステッカーを受け取り、機体に貼る必要があります。

📍 Naverマップで開く

ここでも引っかかること

  • カメラが付いていたら航空撮影許可が別途必要です。撮影するかどうかにかかわらず、撮影機器が付いているという事実だけで対象になります。ドローン・ワンストップで申請し、勤務日基準で撮影4日前までに受理される必要があります。
  • 日没後の飛行は禁止。営業時間が終われば終わりです。
  • エンジン機・タービン機(ジェット)は全面禁止、騒音低減装置の装着が義務。
  • フィールド内での整備は禁止、資格試験用の練習も禁止。
  • 保険加入が原則です。事故が起きた場合、民事・刑事上の責任はすべて操縦者本人にあります。
  • 遵守事項を破ると、ここでも200万ウォン以下の過料が出ます。

広津漢江公園は河川区域であり、上水源保護区域であり、生態景観保全地域でもあります。案内センターと自主パトロール隊(指導操縦者)の指示に従ってください。


ソウルを離れたら、どこへ行くべきか?

原則はシンプルです。管制圏と飛行禁止区域の外で、最大離陸重量25kg以下の機体を、高度150m未満で、日中に肉眼で見ながら飛ばすなら、別途承認は不要です。

問題は「外」がどこかです。座標で確認する以外に方法はありません。

出発前に必ず通るべき2つ

  • ドローン・ワンストップ窓口(drone.onestop.go.kr) — 地図で飛行可能地域を検索し、必要なら飛行承認・航空撮影許可をここで申請します。
  • Ready to Flyアプリ — 国土交通部と韓国ドローン協会が作ったアプリ。GPSベースで現在地の空域、日の出・日の入り時刻、天気、地域別の承認機関の連絡先まで表示します。

まず、観光客が「当然できるだろう」と勘違いする禁止区域

⛔ 地図上はソウルの外でも、やはり飛ばせない場所

場所なぜダメなのか
国立公園全域(雪嶽山・漢拏山・智異山など)2017年4月から自然公園法によりドローン運用禁止。漢拏山は2018年2月から別途禁止
坡州・漣川・江華など休戦ライン一帯合同参謀本部管轄の飛行禁止区域。国境地帯の警告案内板が立っている
原子力発電所周辺半径19kmの飛行禁止区域
仁川・金海・済州空港など31の飛行場周辺半径9.3kmの管制圏。済州・釜山の海沿いの名所の多くがここに含まれる
海水浴場・文化財区域・私有地飛行承認とは別に、所有者・管理事務所との事前協議が必要

**済州(チェジュ)**は特に注意してください。旅行者の間でドローン撮影スポットとしてよく名前が挙がりますが、済州空港の管制圏が済州市一帯を広く覆い、漢拏山国立公園は全域が禁止です。

次に、可能性が高い方向

全国には承認なしで飛行できる超軽量飛行装置飛行区域(UA)が29か所指定されています。ただし多くがパラグライダー・ハンググライダーの滑空場の性格なので、ドローンの趣味飛行にそのまま使えるかは区域ごとに違います。別途ドローン特別自由化区域が32自治体・67区域に指定されていますが、こちらは企業・機関の実証目的なので、一般の旅行者が使うルートではありません。

現実的なアプローチはこうです。

承認手続きの本当の問題は天気です。約20万人が登録するドローン同好会カフェの運営者は聯合ニュースのインタビューで「週末が挟まると最低5日先の天気を予測して申請しなければならず、許可をもらっても飛べないことがよくある」と話しました。アメリカ(FAAのLAANC)とオーストラリアは、条件が合えばアプリでリアルタイムに自動承認してくれます。

結局、ドローンを持っていくべきか?

3〜5日程度のソウル日程なら、答えはおおむねノーです。広津までの往復と予約時間に合わせるのに半日かかり、カメラ付きドローンなら航空撮影許可まで事前に取る必要があります。その時間で手に入るのは江東区の漢江沿いの風景一つだけです。

持っていく理由があるのは、こんな場合です。

韓国は登録ドローンが2016年の2,226機から2025年4月時点で67,902機に増え、その37%が趣味・レジャー用です。規制はそのスピードを追いかけている途中で、国土交通部は韓国のドローン規制が主要国と「ほぼ同じ水準」という立場です。ただ旅行者の立場で感じる違いは、規制の強さよりも承認にかかる時間なのです。

データと出典

空域と過料の基準は随時変わります。飛行当日、ドローン・ワンストップの地図またはReady to Flyアプリで必ず再確認してください。