まず結論から

  • いちばん確実なのはデパート・大型書店・複合ショッピングモール。無料で清潔、案内表示も分かりやすく、営業時間中はずっと使える。
  • 地下鉄駅のトイレは改札の内か外かがすべて。外なら無料、内なら交通カードが必要。
  • トイレットペーパーは便器に流すのが原則(2018年の法改正)。ペーパーが個室内ではなく入口にあるケースも多い。

ソウルはトイレのインフラがぎっしり詰まった街だ。ただ、問題は「ぎっしり詰まっているのに見えない」こと。看板は小さく、トイレは建物の奥に引っ込み、なかには暗証番号で鍵がかかっているところもある。以下は「どこへ行けば失敗しないか」を基準にまとめたガイドだ。


ソウルにはトイレがいくつある?

5,483

ソウル25自治区の公衆トイレ数(2011年9月時点、情報公開請求資料)

312

ソウル交通公社1〜8号線の駅舎公衆トイレのデータ登録件数

25

開放トイレを独自に指定・支援する自治区の数

数字より大事なのは分布だ。公衆トイレは公園・公共機関・地下鉄駅・ガソリンスタンドに集中している。江南(カンナム)の大通り沿いや明洞(ミョンドン)のような、人がいちばん多い商業地こそ「公式の公衆トイレ」は少なく、建物の中のトイレに頼っている。ソウルでのトイレ探しは、つまるところどの建物に入るかの問題なのだ。

ソウル市と自治区は、この隙間を開放トイレ制度で埋めている。民間の建物・店舗・ガソリンスタンドがトイレを市民に開放すると、区役所が運営費や非常ベル・CCTVの設置費を支援する仕組みだ。法律上、開放トイレとは「公共機関の施設に設置されたトイレのうち、公衆が利用できるよう開放されたトイレ、または市長・郡守・区庁長が指定したトイレ」を指す。

場所の種類別、いちばん確実なのはどこ?

判断基準は4つ。見つけやすいか、状態が良いか、買い物が必要か、何時まで開いているか。

ソウルの場所タイプ別トイレ格付け表 — 実戦基準

場所の種類アクセスのしやすさ清潔さ無料かどうか利用可能時間
デパート・複合ショッピングモール最高 — 各階にあり、案内表示も大きい最高 — 清掃スタッフ常駐無料、買い物不要概ね10:30〜20:00(週末は延長)
大型マート良好 — 入口階やレジ付近が多い良好無料概ね10:00〜24:00
地下鉄駅(改札外)良好 — 出口案内図に表示中〜良好無料始発〜終電(およそ05:30〜24:30)
地下鉄駅(改札内)普通 — ホーム・コンコースで場所はまちまち中〜良好交通カードが必要始発〜終電
チェーン系カフェ良好 — 都心に密集良好実質購入が期待される、ドアロックも多い店舗営業時間(07:00〜22:00が多い)
公園・漢江(ハンガン)公園普通 — 広くて距離が出ることも普通無料多くは24時間または夜間まで
観光地・宮殿・博物館良好 — 動線上に配置良好無料(観覧券と別のところも)開館時間内
コンビニ普通 — 店舗ごとの差が大きい普通無料だが、ない店舗も多い24時間店舗は24時間
開放トイレ(民間指定)普通 — ステッカーを見て判断普通無料その店の営業時間
バスターミナル・鉄道駅最高良好無料ほぼ24時間

ひとことで言えばこうだ。知らない街で急にトイレに行きたくなったら、いちばん大きな建物に入れ。

本当に急なときの確認順序

  • 最寄りの地下鉄駅の出入口を探す。地下コンコースにトイレがある確率が高い。
  • 駅が遠ければデパート・マート・大型書店・映画館。地下1階か、各階のエレベーター横をチェック。
  • それもなければチェーン系カフェ。ドアロックがあれば、レシートに暗証番号が書いてあるか、店員が教えてくれる。
  • 住宅街ならガソリンスタンド、公営駐車場、住民センター、近隣公園の順。開放トイレのステッカーもこうしたエリアに多い。
  • 入る前にトイレットペーパーを確認。入口の共用ディスペンサーから先に取っておくのが無難。

地下鉄駅のトイレ、切符は必要?

駅によって違う。これがソウル地下鉄トイレの核心であり、訪韓外国人がいちばん混乱するポイントだ。トイレは大きく2種類ある。

古い駅ほど改札の外に、最近リニューアルした駅ほど改札の内にも併設する傾向がある。大きな乗換駅は両方あることが多い。

改札を出て戻っても、運賃は二重に取られない

ソウル市の下車後10分以内の再乗車制度のおかげで、改札の外にしかトイレがない駅では、カードをタッチして出て、10分以内に戻れば追加運賃なしで乗換運賃として処理される。先払い・後払いの交通カード利用者に限り、1乗車につき1回だけ適用。対象区間はソウル市管轄の1〜9号線で、2・5・8・9号線の全区間、1号線ソウル駅〜清凉里(チョンニャンニ)、3号線紙杻(チチュク)〜梧琴(オグム)、4号線榛接(チンジョプ)〜南泰嶺(ナムテリョン)、6号線鷹岩(ウンアム)〜烽火山(ポンファサン)、7号線長岩(チャンアム)〜温水(オンス)だ。

つまり、乗っている途中で急を要したら、次の駅で降りればいい。端末にタッチして出るのがポイントで、戻るときも同じカードを使うこと。

改札内にトイレがある駅を事前に知る方法

ソウル交通公社のトタ地下鉄(トタチハチョル)アプリにこの機能がある。路線図で「改札内トイレ」を選ぶと、該当駅が色で表示される。階数や細かい位置までは出ないが、「この駅で降りても大丈夫か」を判断するには十分だ。対象は1〜8号線。

深夜は?

地下鉄駅のトイレは、駅が開いている間しか使えない。終電は路線と方面によって概ね00:00前後で、終電が過ぎると駅のシャッターが下りる。01:00〜05:00台なら、地下鉄は選択肢にならない。この時間帯に確実なのは、24時間コンビニ(トイレのある店舗)、24時間カフェ、高速バスターミナル・ソウル駅のような交通拠点、24時間営業の漢江公園トイレだ。


カフェのトイレに暗証番号がかかっている理由

都心のカフェで、トイレのドアに数字キーパッドが付いているのをよく見かける。客を疑っているのではなく、複数の店舗が共同で使う建物の共用トイレであることが多いからだ。管理主体があいまいな共用トイレは、清掃の負担や無断使用、安全上の問題から施錠されるようになっていった。

暗証番号を知る方法は3つ。

  1. レシートを見る。下部に暗証番号が印字される店がかなりある。
  2. カウンターで聞く。英語でもほぼ通じる。
  3. キオスクの画面やピックアップ台の案内に書いてあることもある。

スターバックスのように店舗数の多いブランドは、店ごとに方針が分かれる。自前のトイレがある店はだいたい開いており、共用トイレを使う店は施錠されている。買い物せずに使うことが禁止されているわけではないが、実際には何か一つ注文してから使うのが一般的なマナーだ。

覚えておくと便利なフレーズ

화장실 어디예요?(ファジャンシル オディエヨ?)— Where is the restroom?
화장실 비밀번호 알려주세요.(ファジャンシル ピミルボノ アルリョジュセヨ。)— Could you tell me the restroom code?
화장실 좀 써도 될까요?(ファジャンシル チョム ッソド トェルッカヨ?)— May I use the restroom?

最後のフレーズを使えば、たいていは「どうぞ」と言ってくれる。断られても失礼なわけではなく、トイレがないか、建物オーナー管理で鍵がない場合が多い。

コンビニと開放トイレはどう違う?

コンビニのトイレは期待しないほうがいい。都心の小さな店舗はトイレがないか、店員が鍵で管理している。一方、住宅街・道路沿いの大きな店舗、特に駐車場を備えた店舗はトイレがあり、開放していることが多い。

開放トイレは別ものだ。自治区が民間の店舗と協定を結び、「ここのトイレは市民なら誰でも使える」と正式に指定した場所だ。指定店舗には、出入口やトイレのドアに区役所が配布した開放トイレのステッカー・看板が貼ってある。この表示があれば、買い物をしなくても使えるという意味だ。飲食店・薬局・塾・ガソリンスタンド・教会など業種はさまざまで、観光地より住宅地や商店街の路地に多い。

トイレットペーパーは便器に流していい?

基本の答えはいい。そしてそれが原則だ。

2018年1月1日施行の公衆トイレ等に関する法律施行令の改正により、公衆トイレの大便器ブースにはトイレットペーパー用のゴミ箱を置かないことが基準となった。平昌冬季オリンピックを前に衛生水準を引き上げる措置で、女性トイレには生理用品専用の回収箱を別に置くことになった。ただし現実は均一ではない。

建物の築年数が判断基準

  • 新築ビル・リニューアルした駅・デパート・大手チェーン — ブース内にゴミ箱はない。ペーパーは便器に流す。壁に「トイレットペーパーは便器に流してください」の案内が貼ってある。
  • 古い商店街、老朽化した建物、一部の市場・食堂 — まだゴミ箱があり、「ペーパーを便器に入れないでください」と貼ってあることも。配管が狭いか古く、詰まりを心配している場所だ。
  • 判断のルール — ブース内の案内が最終基準。案内がなくゴミ箱もなければ便器に流してよい。ゴミ箱だけあって案内がなければ、ゴミ箱に捨てるのが無難。

韓国が長くゴミ箱文化を保ってきたのは、過去の配管事情と水に溶けにくいトイレットペーパーが重なった結果だ。ペーパーが改善され、新築の配管基準が上がるにつれて制度も変わり、今は建物ごとの過渡期にある。

ブース内にペーパーがない場合

2番目によく出会うカルチャーギャップだ。ブースごとにペーパーホルダーを置く代わりに、洗面台の横や入口に大きな共用ディスペンサーを一つ置く構造が一般的だ。管理の都合と盗難防止のためだ。

だから習慣を一つ身につけたい。ブースに入る前に入口をチェックし、共用のペーパーがあれば必要な分だけ先に取っておく。公園、登山道の入口、古い商店街では特に重要だ。ポケットティッシュをバッグに入れておけば、この問題自体が消える。


ビデ・多目的トイレ・おむつ交換台はある?

ビデ(温水洗浄便座)は家庭への普及率が非常に高いが、公衆トイレは別だ。デパート・ホテル・新築のオフィスビルにはよくあり、地下鉄駅や公園にはほぼない。代わりに温水の洗面台とハンドドライヤーはほぼ備わっている。

多目的トイレとおむつ交換台は、公衆トイレデータで別項目として管理されるほど制度化されている。地下鉄駅はほとんどが車椅子で入れる多目的トイレをエレベーター動線の近くに置いているが、古い駅は階段区間のせいで実際のアクセス性が落ちることがあるので、トタ地下鉄アプリで事前に確認するのがよい。デパート・大型マートはこれに授乳室とファミリートイレまで加わる。子ども連れの旅行者にデパートがいちばん楽なのはこのためだ。

期待できる付帯設備の度合い — 場所別

設備デパート・モール地下鉄駅公園カフェ・食堂
ビデよくあるまれほぼない店舗により差
多目的トイレありほぼありかなりありまれ
おむつ交換台ありかなりあり一部まれ
ファミリートイレ・授乳室あり一部の大型駅一部ほぼない

男女共用トイレと盗撮、実際はどうなっている?

古い小型ビル、特に路地の商店には男女共用トイレが残っている。新築と一定規模以上の施設は男女分離が義務付けられており、ソウル市も分離への転換と女性トイレの拡充を政策課題として進めているが、既存ビルは構造上変えにくい。

盗撮(不法撮影)は韓国で実際に取り組まれている社会問題で、対応も制度化されている。ソウル市は自治区ごとに盗撮市民監視団を運営し、警察とともに地下鉄駅・学校・公園・住民センター・開放トイレを定期点検している。監視団は2人1組で、電波探知機器とカメラを使って天井の照明、壁のタイル、便器、ペーパーホルダーを調べる。旧正月や秋夕など多人数が利用する時期には、高速ターミナルのような拠点で関係機関の合同点検も行われる。

トイレの壁やドアで「盗撮は犯罪です」のステッカーや点検日ラベルを見かけるのはこのためだ。このステッカーは、そのトイレが危険だという表示ではなく、定期点検の対象として管理されているという表示だ。ブース内で怪しい穴や装置を見つけたら、管理者か112番に知らせればよい。

地図アプリでトイレを探す方法

Googleマップは韓国で徒歩ルートと屋内情報が限定的なため、トイレ検索には弱い。実際に使われているのはネイバーマップとカカオマップだ。検索窓に以下の言葉をそのまま入力しよう。

検索したら、ピンをタップして開放時間を確認するのがおすすめ。ソウル市の公衆トイレデータには開放時間、多目的トイレの有無、付帯設備の情報が入っており、地図アプリがそれを利用している。

トタ地下鉄は地下鉄駅トイレ専用で、いちばん正確。改札内・外の区別を路線図の上で直接見せてくれる。iOS・Androidの両方に対応。

ソウルオープンデータ広場(data.seoul.go.kr)では、公衆トイレ位置情報のデータセットを直接ダウンロードできる。道路名住所、座標、開放時間、多目的トイレの状況、付帯設備の項目が含まれ、自分で地図を作るときに便利だ。


最後に、失敗しないための3つの習慣

大きな建物に入ったら、先に行っておく。デパート、美術館、駅に立ち寄ったら、出る前に一度トイレに寄るだけで、この先1時間がぐっと楽になる。

ポケットティッシュをバッグに入れる。ペーパーが入口にしかない、あるいは切れている状況をそのまま通過できる。

地下鉄に乗っているなら、次の乗換駅で降りる。乗換駅はトイレが複数あり、10分以内再乗車のおかげで改札の外に出ても運賃の損がない。

ソウルでトイレに困る確率は、思っているより低い。「見えるところに公衆トイレの看板が立っている」街ではなく、「建物の中に整ったトイレが隠れている」街だということだけ覚えておけばいい。大きな建物、地下鉄駅、開放トイレのステッカー — この3つがソウルでの地図だ。