まず結論から

  • 1位はいまも明洞。 政府の「2025年外来観光客調査」では、17.3%が韓国で最も良かった場所に明洞を挙げました。ほかのどこよりも2倍以上多い数字です。
  • いちばん伸びているのは聖水。 割合は2023〜2025年に1.1%→2.5%→5.0%と推移し、2026年4〜6月の暫定値では9.6%に。
  • ソウル市の生活人口データを独自に集計すると、2019年7月から2026年7月にかけてエリア間で大きな入れ替わりがありました。聖水は約11倍、東大門エリアは約29%減。一方、市全体の推計値はほぼ横ばいです。
  • 旅のヒントとしては、買い物・両替・屋台グルメなら明洞、カフェとポップアップなら聖水。いまは両方回る旅行者が多くなっています。

韓国の人に「観光客はソウルのどこに行くの?」と聞けば、返ってくる答えはひとつ。明洞です。でも2024年以降にソウルへ2回行った人に聞くと、別の答えが返ってきます。「聖水には行った?」。どちらも正しくて、データを見るとその理由がわかります。

この記事では、いくつかのデータを並べて見ていきます。政府の公式「外来観光客調査」、ソウル市の生活人口データ(洞ごとに自分たちで集計しました)、カード消費額、地下鉄の利用者数、そして店舗の空室率です。データごとに測っているものが違うので、グラフのラベルはよく読んでください。韓国を訪れる人の全体像は、Numbers:旅行者は韓国で何をする?と韓国を訪れる外国人はどの国が多い?でどうぞ。


明洞はいまもソウルで観光客にいちばん人気?

はい。外国人旅行者が「最も良かった場所」としていちばん多く挙げるのは明洞で、2025年はその差がさらに広がりました。 文化体育観光部と韓国文化観光研究院が出国者16,110人を対象に行った「2025年外来観光客調査」では、17.3%が最も良かった場所に明洞を選び、2024年の16.1%から上昇。2026年4〜6月の暫定値では18.3%です。

最も良かった訪問地(2025年、全国トップ10のうちソウルの場所):明洞17.3%、弘大7.4%、景福宮7.0%、聖水5.0%、江南4.5%、東大門2.2%

ほかの指標を見ても、明洞が観光客の集まるエリアとして群を抜いていることは変わりません。

背景:2019年と2025年を単純比較できない理由

  • 2019年の調査は、リストの中から「最も印象に残った」場所を複数回答で選ぶ方式でした。明洞・南大門・北倉が合わせて55.9%、続いて東大門ファッション街(24.7%)、新村・弘大(18.0%)。聖水はリストにすら入っていませんでした。
  • 2023年からは、リストから選ぶのではなく、最も良かった場所を自分で書き込む方式(複数回答可)になりました。どちらの調査にもソウル市内で訪れた場所の一覧はなく、割合は2019年の数字とは比べられません。

聖水は外国人観光客のあいだでどれだけ伸びている?

「最も良かった場所」の回答に占める割合は、2023年以降ほぼ毎年2倍になっています。 調査報告書によると、2025年は調査対象のすべての国・地域の旅行者で聖水の割合が上がりました。2026年4〜6月の暫定値9.6%は、前年同期の5.2%のほぼ2倍です。

聖水を最も良かった場所に挙げた人の割合:2023年1.1%、2024年2.5%、2025年5.0%、2026年4〜6月9.6%(暫定値)

この流れを引っぱっているのは日本人旅行者です。2025年には日本人の11.5%が聖水を最も良かった場所に挙げました。属性別では、女性(7.0%)、20代(8.7%)、4回目以上の訪問者(7.0%)で聖水の割合が最も高くなっています。つまり聖水は、定番をひと通り回ったリピーターが向かう場所なのです。

🌏 聖水を最も良かった場所に挙げた人の割合、国・地域別(2025年外来観光客調査)

国・地域2024年2025年
日本7.6%11.5%
香港2.1%7.2%
シンガポール2.4%5.3%
インドネシア1.2%5.3%
中国1.1%3.8%
台湾1.2%3.4%
アメリカ0.9%2.0%
タイ0.0%0.3%

国別に見ると、明洞は正反対の構図です。明洞を特に強く支持したのは香港(26.9%)とタイ(25.2%)の旅行者で、タイ・ベトナム・フランスの旅行者では景福宮が上位に入りました。

34 → 445人/日
聖水駅の外国人利用者、2017年→2024年。順位は83位→13位(ソウル交通公社)
+36.9%
聖水駅の外国語版1回券の発売数、2026年上半期(前年同期比)(ソウル交通公社、ヘラルド経済経由)
4人に3人
聖水・練武場キル(ヨンムジャンギル)エリアを訪れた外国人のうち、オリーブヤングN聖水に入った人、2024年12月〜2025年10月(CJオリーブヤング)

なぜ聖水なのか。リピーターが探すものが、歩いて回れる数ブロックにぎゅっと詰まっているからです。Kビューティーの旗艦店、韓国のデザイナーズファッション、ポップアップストア、倉庫をリノベしたカフェ。CJオリーブヤングによると、2025年10月、聖水にある同社6店舗の売上のうち外国人客は約70%を占め、旗艦店オープン前の約40%から大きく上がりました。現地での回り方は、聖水カフェ10選と聖水の老舗グルメと新店をどうぞ。


ソウル市のデータで見る、観光客はいまどこにいる?

ソウル市の生活人口データでは、市内の短期滞在外国人の数はコロナ前とほぼ同じで、より多くのエリアに散らばっています。 ソウル・オープンデータ広場の短期滞在外国人の生活人口データ(公共データと通信データから推計)をダウンロードし、行政洞ごとに7月の全時間帯を平均しました。2019年7月と2026年7月はどちらも1か月分そろっているので、同じ条件で比べられます。

短期滞在外国人の1時間あたり平均(7月)、2019年7月→2026年7月:明洞15,945→15,157、西橋洞(弘大)9,070→8,233、光熙洞(東大門)6,836→4,843、聖水(4洞)409→4,443、汝矣洞2,068→3,016、狎鴎亭洞879→2,409

📊 7月の平均的な1時間にいた短期滞在外国人の数、行政洞別(SeoulWindow集計)

エリア(行政洞)2017年7月2019年7月2026年7月2019 → 2026
ソウル全体187,707165,569165,042ほぼ横ばい
明洞23,92915,94515,157−5%
小公洞(市庁、ロッテ百貨店)10,8007,3135,246−28%
会賢洞(南大門)6,2755,7174,411−23%
光熙洞(DDP、東大門)8,3866,8364,843−29%
西橋洞(弘大)6,7689,0708,233−9%
聖水(4洞合計)5834094,443約11倍
汝矣洞(汝矣島)2,5332,0683,016+46%
狎鴎亭洞1,2618792,409約2.7倍
蚕室6洞(ロッテワールド)1,0301,1331,524+35%
梨泰院1洞1,6241,225951−22%

目を引くのは3点です。明洞は2017年7月から2019年7月にかけて大きく落ち込み、その後はほぼ横ばい。周辺の昔ながらのショッピングエリア(小公洞、南大門、東大門)は今も2019年を大きく下回っています。一方で、聖水、汝矣島(ザ・現代ソウルと漢江公園)、狎鴎亭(江南のデザイナーズストリートとクリニック)は伸びました。

集計方法

  • 出典:ソウル・オープンデータ広場 OA-14993「ソウル生活人口(短期滞在外国人、行政洞単位)」。ある時間にその洞に何人の短期滞在外国人がいるかの推計値で、訪問回数ではありません。
  • 各年7月の全時間帯を平均しました。聖水=聖水1街1洞、聖水1街2洞、聖水2街1洞、聖水2街3洞の合計です。
  • 全国の入国者数は2019年の水準を超えたのに、2025〜2026年のソウル全体の数字は2017年を下回っています。推計方法の変化(ローミング、現地SIM)が影響している可能性があるので、絶対数よりもエリア間の相対的な変化として表を読んでください。ソウル市によると、このデータセットは2026年7月以降、250mグリッドのデータに置き換わる予定です。

東亜日報が同じ種類のデータで15の観光エリアの繁忙月(2017〜2025年)を分析した記事も、同じ結論に達しています。1時間あたりの外国人訪問者は明洞(16,034人→9,843人)、東大門(4,194人→2,746人)、南山(1,308人→796人)で減り、弘大・新村(3,854人→4,794人)、蚕室(2,382人→3,901人)、汝矣島・盤浦の漢江公園(2,046人→2,673人)、広蔵市場(387人→806人)、聖水(93人→2,257人)で増えました。エリアの区切り方が行政洞とは違うため、数字は私たちの集計とは一致しません。

外国人観光客がソウルでいちばんお金を使う場所は?

人の足は分散しても、財布はまだ主に明洞と江南に向かっています。 韓国観光公社のカードデータをもとにしたソウル市の2026年4月の数字では、外国人のカード消費額は江南区(29.1%)と明洞のある中区(27.5%)が、麻浦区(7.4%)、瑞草区(6.5%)、鍾路区(5.5%)を大きく引き離しています。消費の45.4%がショッピング、24.8%が医療・ウェルネスでした。

聖水のある区も急速に追い上げています。マネーSが韓国観光データラボの数字をもとに報じたところによると、2026年1〜9月の城東区の外国人カード消費額は4,613億ウォンで、鍾路区(4,572億ウォン)をわずかに上回りました。訪問者数は鍾路のほうが2倍以上多い(999万人対455万人)にもかかわらず、です。訪問1回あたりの消費額は、城東区が約101,000ウォン、鍾路区が46,000ウォンでした。

聖水がある城東区の外国人カード消費:2023年887億ウォン、2025年3,408億ウォン、2026年1〜9月4,613億ウォン
同じブランド、4つのエリア:韓国のベーシックブランド、ムシンサ・スタンダード(Musinsa Standard)では、2025年の売上に占める外国人客の割合が明洞55%、漢南44%、聖水42%、弘大40%だったのに対し、江南はわずか15%でした(CEOスコアデイリーが報じた同社の数字)。観光客は、観光客が歩く場所で買い物をするのです。

明洞はもう終わった?

いいえ。明洞はコロナ禍でいったん空っぽになり、その後また埋まりました。 明洞のメインストリートを対象にしたクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの数字によると、店舗の空室率は2019年の4.5%から2022年上半期には52.5%まで上がり、2024年末には4.4%に戻り、2026年第2四半期も再び4.4%でした。同じ四半期の聖水は4.5%、弘大は10.4%でした。

明洞の大通り沿い店舗の空室率:2019年4.5%、2021年49.9%、2022年上半期52.5%、2023年第4四半期9.4%、2024年第4四半期4.4%、2026年第2四半期4.4%

変わったのは、店を埋めているものの中身です。免税店とコスメのロードショップが並んだ2010年代の中国団体ツアー経済は、Kビューティーのマルチブランドストア、スニーカー・ファッションの店、アジアをはじめ世界中から来る個人旅行者向けの屋台グルメに入れ替わりました。その経緯は明洞のロードショップはどこへ消えた?で書いています。


ソウル旅行にどう活かす?

実用メモ

  • 初めてのソウル? 買い物、両替、夜の屋台グルメの拠点としては、いまも明洞がいちばん楽です。鍾路で宮殿を回る午前と組み合わせましょう。
  • 2回目以上? リピーターにならって、聖水に半日あててみてください。平日の午前中は比較的落ち着いていて、ポップアップや旗艦店はランチ後と週末に混み合います。
  • 観光客の少ないところがいい? いちばん伸びているのは、地元の人も行くエリアです。ソウルっ子には人気でも団体ツアーはまだ来ていない街は、ソウルの地元の人が本当に行く街でどうぞ。
  • 出かける前にリアルタイム混雑ボードで混み具合をチェックしておきましょう。

2025年の調査から、もうひとつだけ数字を。全体の満足度は97.5%でしたが、インフラ項目のなかで評価がいちばん低かったのは「言語コミュニケーション」で79.3%でした。明洞の店員さんは英語・日本語・中国語に慣れていますが、聖水の路地裏では翻訳アプリの出番が増えそうです。