韓国の交通ルールは第2回で紹介しました。最終回となるこの記事のテーマは暗黙のルール。韓国のドライバーが実際にどう運転しているのか、合図にはどんな意味があるのか、旅行者がストレスなく流れに溶け込むにはどうすればいいのかを解説します。

この記事は韓国ドライブ完全ガイドの第7回です。

まず結論から

  • ウインカーなしの車線変更は当たり前と思っておく。2026年の調査では、車線変更の42%でウインカーが出ていませんでした。
  • ハザード2回点滅=「ありがとう」。入れてもらったら、あなたも同じように。
  • バス、タクシー、配達バイクの運転がいちばん荒め。十分に距離をとりましょう。
  • 高速道路では追い越し以外で左車線に居座らないこと。
  • どの車にもドライブレコーダー。冷静に。あおり運転は韓国では重大な犯罪です。

外国人ドライバーがいちばん驚くことは?

**ウインカーは事実上オプション扱い。**2026年2月、研究チームがソウルと京畿(キョンギ)道の10か所で974回の車線変更を観察したところ、42.4%がウインカーなしで、左折の59%はウインカーなしか出すのが遅すぎました。最もひどかったのはバスとタクシーで、**71%**にのぼります。

42.4%
ウインカーなしの車線変更の割合(ソウル・京畿、2026年)
71%
バス・タクシーのウインカー違反の割合
2,549
2025年の交通事故死者数(1991年は13,429人)

実践的な教訓は、**ウインカーではなく車そのものを見ること。**自分の車線の境界線に寄ってくる車は、もうすぐ入ってきます。混雑時に前に車間をあけておくと、誰かが必ずそこに入ってきます。

韓国のドライバーは合流もぎりぎりで強引です。渋滞中は、はっきりと(ただし予測しやすく)動くほうが車線に入れます。大きな隙間を待っていると、いつまでも入れないかもしれません。

なお、日本と違って韓国は右側通行なので、交差点を曲がった直後や駐車場から出るときは、うっかり左側の車線に入らないよう気をつけましょう。


韓国でハザードランプやクラクションはどんな意味?

💡 非公式の合図のことば

合図意味
ハザードを2回素早く点滅「入れてくれてありがとう」または「すみません」
高速道路で減速しながらハザード点灯「この先で渋滞して止まっています」
青信号で短くクラクション1回「青ですよ、進んで」
高速道路で後ろからパッシング「どいて、追い越したい」
長いクラクション怒り。しかも実は違法

覚えておきたいのは비상등 인사(ハザードのあいさつ)。合流で入れてもらったら、2回点滅させましょう。しないと、韓国のドライバーはちゃんと気づきます。

うっぷん晴らしのクラクションは道路交通法で禁止されていて、全体として見るとソウルは、都市の規模の割に意外なほど静かです。


いちばん運転が荒いのは誰?

ドアは「ダッチ・リーチ」で開ける

運転席のドアは右手で開けましょう。自然と体がひねられて、横から来るバイクが目に入ります。旅行者がソウルでヒヤッとする場面として、これがいちばん多いのです。

韓国の人は高速道路でどう運転する?

左車線は追い越し用で、先に行きたい韓国のドライバーは後ろにぴったり付いてパッシングしてきます。素直に右へ移りましょう。これは法律上のルールでもあります(第2回)。

制限速度はたいてい時速100〜110kmで、高速道路には最低速度時速50kmがあります。流れは制限速度に近く、カメラ(第3回参照)がそれを保っています。カメラの手前ごとに、道路全体が一斉にブレーキを踏む光景が見られます。


なぜみんなドライブレコーダーを付けているの?

ドライブレコーダー(블랙박스、「ブラックボックス」)は、レンタカーも含め韓国の車では標準装備です。事故を記録し、保険のもめごとでドライバーを守り、ほかのドライバーが政府の安全通報アプリを通じて違反を警察に通報することもできます。

だからこそ、あおり運転は厳しく扱われます。急ブレーキでの威嚇や故意の割り込みなどの報復運転(보복운전)は特殊脅迫罪として起訴され、最大7年の懲役刑。年間4,000件を超える事件があります。誰かに攻撃的な運転をされても、応じないこと。先に行かせて、必要ならドライブレコーダーの映像で通報しましょう。

事故に遭ってしまったら、交通事故ガイドで対処法を解説しています。

駐車中の車には電話番号が置いてある。韓国では、車が邪魔になったときに連絡してもらえるよう、ダッシュボードに電話番号を置いておきます。マンションの駐車場では、押して動かせるようギアをニュートラルにして二重駐車していることもよくあります。失礼ではなく、ごく普通のことです。

韓国の高速道路のサービスエリアはどんなところ?

韓国の高速道路のサービスエリア(휴게소)は、それ自体がちょっとした観光スポット。ご当地グルメが並ぶフードコート、クルミ焼き(ホドゥグァジャ)や焼きジャガイモといった名物おやつ、清潔なトイレ、ガソリンスタンドがそろっています。どのサービスエリアに寄るかを軸にドライブ旅行を計画する韓国の家族も多いほどです。

ちょっと休憩したいなら、眠気休憩所(졸음쉼터)もあります。トイレ付きの小さな駐車スペースで、仮眠がとれます。ぜひ使ってください。2020年から2024年の間に、韓国の道路では居眠り運転の事故で252人が亡くなっています。

韓国で落ち着いて運転するコツ

  • カメラ情報と車線案内のため、ナビアプリは起動したままに。
  • 車間距離を多めにとり、ウインカーなしの割り込みを想定しておく。
  • 高速道路では中央か右側の車線を走る。
  • 入れてもらったらハザードを2回点滅。
  • ソウルのラッシュアワー(07:30〜09:30、17:30〜20:00)と大型連休の初日は避ける。